ワーズワスと湖水地方案内の伝統

A5判 / 704ページ / 上製 / 価格 8,800円 (消費税 800円) 
ISBN978-4-588-49519-9 C3098 [2021年10月 刊行]

内容紹介

十六世紀から十九世紀半ばまでの膨大な湖水地方関連書を徹底的に読み込み、その流れを歴史的に辿るとともに、ワーズワス『湖水地方案内』の内容とその革新性、この案内書に至るまでの彼の湖水地方観の変遷、フランス革命の理念に対する賛同と幻滅の経緯を、詩や書簡等の綿密な検討により明らかにする。ワーズワスとイギリス・ロマン派文学の研究はもとより、旅行文学、観光の歴史、美術史、環境問題の研究にも寄与する画期的な労作。

著訳者プロフィール

小田 友弥(オダ トモヤ)

1947年、新潟県に生まれる。1970年弘前大学人文学部卒業。1973年東北大学大学院文学研究科修士課程修了。高知女子大学文学部助教授、山形大学教育学部教授などを経て、現在山形大学名誉教授。
主な著訳書等: 『ロマンティック・エコロジーをめぐって』(共著、英宝社、2006)、『揺るぎなき信念 ── イギリス・ロマン主義論集』新見肇子・鈴木雅之編(共著、彩流社、2012)、ジョナサン・ベイト著『ロマン派のエコロジー ── ワーズワスと環境保護の伝統』(共訳、松柏社、2000)、ウィリアム・ワーズワス著『湖水地方案内』(訳、法政大学出版局、2010)。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

   口 絵  巻頭
   地 図  v
   凡 例/書名の略記  vii

 序 論  1

第Ⅰ部 主要な湖水地方旅行記・案内書  5

 第1章 十八世紀前半までの湖水地方旅行  6
   1 リーランドとキャムデン  7
   2 ファインズとデフォーの旅行記  16
   3 リーランド、キャムデンからデフォーまで  30

 第2章 湖水地方に注がれた新しい視点 ── ドルトンとブラウン  35
   1 ドルトンの『二人の令嬢に宛てた叙景詩』  36
   2 ブラウンの書簡  42
   3 ドルトンとブラウンの役割  48

 第3章 初期の旅行記に見られる湖水地方描写  55
   1 農業改良家ヤング  55
   2 博物学者ペナント  61
   3 古事物研究家ハッチンソン  69
   4 三人の旅行記が語ること  80

 第4章 グレイとギルピンの湖水地方旅行記  86
   1 グレイの『湖水地方旅日記』  86
   2 ギルピンの『湖水地方のピクチャレスク美の観察記』  97
   3 グレイとギルピンの類似性と対照性  113

 第5章 ウェストの『湖水地方旅行案内』── 湖水地方旅行大衆化の幕開け  119
   1 『湖水地方旅行案内』の概要  120
   2 コッキンによる編集  133
   3 『湖水地方旅行案内』と旅行の大衆化  137
   4 『湖水地方旅行案内』の波紋  140

 第6章 包括的な旅行の一部としての湖水地方  144
   1 サリバンとニュートの大旅行  144
   2 憩いの地を求めて ── ウォーカーの帰郷旅行  157
   3 ウォーナーの『イングランド北部州とスコットランド国境の旅』  166
   4 湖水地方の何を紹介すべきか  171

 第7章 ユニークな旅行記・旅行案内  176
   1 クラークの『湖水地方通覧』(一七八七)── 裏話を通して  176
   2 バドワースの『湖水地方二週間ぶらり歩き』── 歩行、登山、住民との交流  184
   3 サウジーの『イングランドからの手紙』── イギリスの近代化  195
   4 なにがユニークか  201

 第8章 女性の旅行記  204
   1 ラドクリフの湖水地方旅行 ── 募る失望  205
   2 マリー夫人のスコットランドと湖水地方での冒険  215
   3 プリセラ・ウェイクフィールド ── 旅行と少年教育  222
   4 女性と湖水地方旅行  230

 第9章 湖水地方出身者、定住者による旅行案内  232
   1 ハウスマン ── 湖水地方の総合的提示  232
   2 グリーン ── 湖水地方を極める  241
   3 オトリー ── ケジックのギルバート・ホワイト  250
   4 三人が切り開いたもの  260

 第10章 挿画にウェイトを置いた旅行記・旅行案内  264
   1 ファリントンとクックソン  265
   2 ファリントンとホーン  271
   3 同一人物による挿画と説明文  279
   4 その後の挿画つき案内書  287

 第11章 旅行記・旅行案内の新しい流れ  298
   1 旅行記と案内書の長所の結合  299
   2 出版社による案内書  305
   3 景色よりも文学  310
   4 労働者の湖水地方  319

 第12章 詩に描かれた湖水地方  326
   1 ドレイトンの『多幸の国』   326
   2 湖水地方の自然に目をつむる詩人たち  330
   3 新たな関心の芽生え  339
   4 自然に導かれて  349
   5 湖水地方と関わる詩の流れ  356

 第13章 湖水地方の歴史、農業、住民生活  359
   1 地方史と古事物研究  359
   2 農業論  371
   3 住民の生活習慣をめぐって  380
   4 総合書  383

 第14章 旅行者は湖水地方に何を求めたのか  390
   1 景観の魅力  391
   2 田舎生活の礼賛  401
   3 湖畔派詩人の世界  416
   4 湖水地方で遊び学ぶ  421

第Ⅱ部 ワーズワスの湖水地方  425

 第1章 少年期のワーズワスと湖水地方旅行  427
   1 ピクチャレスクと青少年期のワーズワス  427
   2 旅行者向けアトラクションと「ボート盗み」、「フルート演奏」  433
   3 ワーズワス少年と湖水地方ピクチャレスク旅行の慣行  440

 第2章 ワーズワスの初期の詩作での湖水地方  445
   1 「エススウェイトの谷」  445
   2 『夕べの散策』  451
   3 旅行書と詩のコンベンション  457

 第3章 ワーズワスとフランス革命  461
   1 『序曲』に見る ワーズワスのフランス革命体験  463
   2 『情景素描』  470
   3 「ランダフ主教に宛てた公開書簡」  475
   4 『国境の人々』  480
   5 一七九〇年代中期までのワーズワス  483

 第4章 ワーズワスと詩の革新1──『叙情民謡集』  488
   1 ロンドンからレイスダウン、オールフォックスデンへ  488
   2 『叙情民謡集』の「広告」と「序文」  490
   3 『序曲』が語る『叙情民謡集』  502

 第5章 ワーズワスと詩の革新2──「隠棲者」と湖水地方  508
   1 「隠棲者」構想の芽生え  509
   2 執筆再開までの道のり  514
   3 『グラスミアのわが家』  522
   4 「隠棲者」の構想の革新性  530
   5 「隠棲者」と湖水地方  540

 第6章 案内書執筆に向けて  544
   1 『グラスミアのわが家』での『序曲』第一二巻の繰り返し  544
   2 政治的パンフレットから窺えること  549
   3 湖水地方に忍び寄るもの  555
   4 清貧に甘んじるとしても  559
   5 案内書の執筆依頼と準備  562

 第7章 ワーズワスの『湖水地方案内』の概要  568
   1 《一八一〇》の概要  569
   2 「未刊の案内」と「崇高と美」  584
   3 《一八二〇》の変化  596
   4 《一八二二》と《一八二三》の概要  599
   5 《一八三五》、ワーズワスの案内書の到達点  605
   6 ハドソン社の『完全な湖水地方ガイド』へ  607

 第8章 ワーズワスが『湖水地方案内』で目指したこと  610
   1 『湖水地方案内』の案内部分の変化  610
   2 湖水地方の「構成要素間の調和」と「静かな崇高感」  620
   3 湖水地方史をめぐって  628
   4 湖水地方の景観の危機  634

 結 び  641

   参考文献  646
   あとがき  668
   索 引  巻末

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