福祉国家と呼ばれる社会保障システムは、19世紀末の生成期以来、その出現をみた社会では常に激しい論争の的であり、改革の対象であり続けてきた。どの集団の、どのようなリスクを、誰が、どのようにして担っていくのか。本書は、ドイツ型福祉国家である社会国家の発展を通時的に捉え、社会保障の対象とされる人々の包摂と排除という往復運動との関連から多角的に分析する。
第1章 社会国家の世紀 川越 修
一 ニ〇世紀社会の歴史化
二 ドイツ近現代史のなかの社会国家
三 社会国家の家族政策
四 「二つ」のドイツ社会のリスク化と家族政策
第Ⅰ部 生成する社会国家
第2章 社会改革のための合意形成 辻 英史
アドルフ・ダマシュケとドイツ土地改革者同盟の挑戦
一 ダマシュケと土地改革運動
二 「住宅改革は土地改革である」――ダマシュケの主張
三 「拝金主義でもなく、共産主義でもなく」――ダマシュケの敵たち
四 社会改革を目指して――国民的合意のための活動と戦略
第3章 子どもの病気をめぐる「社会的不平等」 馬場わかな
世紀転換期ハンブルクを事例として
一 「病と死をめぐる社会的不平等」と社会国家
二 ザンクト・ゲオルク小児病院の成立
三 ザンクト・ゲオルク小児病院の変化
四 子どもの病気をめぐる病院と家族の役割
第4章 誰が年金をもらうべきか 原 葉子
遺族保険(ー九ーー年)導入時の議論にみるジェンダー・世代・階層
一 廃疾・老齢保険法(一八八九年)とジェンダー
二 世代のポリティクス
三 階層のポリティクス
四 差別化する社会国家
第Ⅱ部 制度としての社会国家
第5章 社会のなかの「戦争障害者」 北村 陽子
第一次世界大戰の傷跡
一 「戦争障害者」とは
二 第一次世界大戦中の戦争障害者支援
三 共和国のなかでの戦争障害者支援
四 戦争障害者へのまなざし
第6章「詐病」への意志? 石井 香江
「災害神経症」をめぐる〈知〉のせめぎあい
一 「災害神経症」からみるドイツ近代史
二 戦間期の「いわゆる災害神経症」論
三 ドイツにおける粘神技術の誕生と展開
四 近代日独における「災害神経症」――課題としての比較という視点
第7章 「家族の強化」とソーシャルワーク 中野 智世
マリー・バウムの「家族保護」構想から
一 社会国家とソーシャルワーク
二 「女性の手による社食改良」――バウ厶の家族保護構想
三 家族保護の制度化――一九二〇~一九四〇年代
四 家族保護の「再建」――一九五〇年代
第三部 模索する社会国家
第8章 私のおなかは社会のもの? 水戸部由枝
一九七〇年代の妊娠中絶法改正にみるポリティクス
一 戦前の妊娠中絶合法化論
二 妊娠中絶法による戦後建て直し
三 一九七〇年代の妊娠中絶合法化をめぐる論争と法改正
四 妊娠中絶法の東西ドイツ統一
第9章 一九七〇年代後半における若者と西ドイツ社会国家 白川 耕一
連邦議会の討論を中心に
一 転換期としての一九七〇年代
ニ 一九七〇年代後半のドイツ人の若者――「潮流転換の世代」
三 若者の行動に対するまなざし――連邦議会の議論
四 外国人労働者の若者の統合
あとがきにかえて
文献一覧
事項索引
人名索引
一 ニ〇世紀社会の歴史化
二 ドイツ近現代史のなかの社会国家
三 社会国家の家族政策
四 「二つ」のドイツ社会のリスク化と家族政策
第Ⅰ部 生成する社会国家
第2章 社会改革のための合意形成 辻 英史
アドルフ・ダマシュケとドイツ土地改革者同盟の挑戦
一 ダマシュケと土地改革運動
二 「住宅改革は土地改革である」――ダマシュケの主張
三 「拝金主義でもなく、共産主義でもなく」――ダマシュケの敵たち
四 社会改革を目指して――国民的合意のための活動と戦略
第3章 子どもの病気をめぐる「社会的不平等」 馬場わかな
世紀転換期ハンブルクを事例として
一 「病と死をめぐる社会的不平等」と社会国家
二 ザンクト・ゲオルク小児病院の成立
三 ザンクト・ゲオルク小児病院の変化
四 子どもの病気をめぐる病院と家族の役割
第4章 誰が年金をもらうべきか 原 葉子
遺族保険(ー九ーー年)導入時の議論にみるジェンダー・世代・階層
一 廃疾・老齢保険法(一八八九年)とジェンダー
二 世代のポリティクス
三 階層のポリティクス
四 差別化する社会国家
第Ⅱ部 制度としての社会国家
第5章 社会のなかの「戦争障害者」 北村 陽子
第一次世界大戰の傷跡
一 「戦争障害者」とは
二 第一次世界大戦中の戦争障害者支援
三 共和国のなかでの戦争障害者支援
四 戦争障害者へのまなざし
第6章「詐病」への意志? 石井 香江
「災害神経症」をめぐる〈知〉のせめぎあい
一 「災害神経症」からみるドイツ近代史
二 戦間期の「いわゆる災害神経症」論
三 ドイツにおける粘神技術の誕生と展開
四 近代日独における「災害神経症」――課題としての比較という視点
第7章 「家族の強化」とソーシャルワーク 中野 智世
マリー・バウムの「家族保護」構想から
一 社会国家とソーシャルワーク
二 「女性の手による社食改良」――バウ厶の家族保護構想
三 家族保護の制度化――一九二〇~一九四〇年代
四 家族保護の「再建」――一九五〇年代
第三部 模索する社会国家
第8章 私のおなかは社会のもの? 水戸部由枝
一九七〇年代の妊娠中絶法改正にみるポリティクス
一 戦前の妊娠中絶合法化論
二 妊娠中絶法による戦後建て直し
三 一九七〇年代の妊娠中絶合法化をめぐる論争と法改正
四 妊娠中絶法の東西ドイツ統一
第9章 一九七〇年代後半における若者と西ドイツ社会国家 白川 耕一
連邦議会の討論を中心に
一 転換期としての一九七〇年代
ニ 一九七〇年代後半のドイツ人の若者――「潮流転換の世代」
三 若者の行動に対するまなざし――連邦議会の議論
四 外国人労働者の若者の統合
あとがきにかえて
文献一覧
事項索引
人名索引