サピエンティア 7
半開きの〈黄金の扉〉
アメリカ・ユダヤ人と高等教育

四六判 / 334ページ / 上製 / 価格 3,520円 (消費税 320円) 
ISBN978-4-588-60307-5 C3336 [2009年04月 刊行]

内容紹介

20世紀初頭のアメリカの高等教育機関では、「割当制」の名のもとにユダヤ人に対する入学の制限が行なわれていた。いったい「割当制」とはどのようなものだったのか。そして、教育における差別を克服するため、ユダヤ人たちはいかなる活動を展開していったのか。本書は、教育をめぐる権利を求めて闘ったユダヤ人の姿を通して、彼らの「平等」観やアメリカ社会の統合の理想像を探る。

目次

プロローグ

第1章 高等教育をめぐるユダヤ人の社会史――前史と問題提起
 一 ー九世紀末までのアメリカ・ユダヤ人
 二 先行研究と本書の分析視角
 三 「カラー・ブラインド」とるつぼ/文化多元主義

第2章 ユダヤ人学生「割当制」とその展開
 一 高等教育機関における「ジューイッシュ・プロブレム」の発生
 二 ユダヤ人学生「割当制」導入の過程――ハーヴァード・カレッジを中心に
 三 ユダヤ人学生「割当制」のインパクト

第3章 「割当制」廃止運動とユダヤ人団体
 一 「紳士協定」としての「割当制」
 二 ニューヨーク州における公正教育実施法の制定――州立大学設立議論との関連で
 三 「割当制」廃止運動の歴史的・政治的意味

第4章 世俗的ユダヤ人大学の創設――「割当制」をめぐる議論から
 一 ユダヤ系高等教育機関の歴史的展開
 ニ ー九二〇年代のユダヤ人大学設立議論
 三 ブランダイス大学の創設に向けて

第5章 ブラウン判決への道のり
 一 「割当制撤廃迎動」にみる黒人差別
 二 高等教育における人種隔離の撤廃に向けて
 三 ユダヤ人と公民権連動

第6章 「割当」の現代的視点
 一 アファーマティヴ・アクションの登場
 二 バツキ事件とユダヤ人
 三 「目標」と「割当」

エピローグ

 註  記
 あとがき
 図版出典一覧
 主要参考文献
 事項索引
 人名索引