国境を越えて活動する人は増加の一途をたどり、多文化主義/多文化共生という言説は一定の地位を占めるようになった。一方、新自由主義は経済的に役に立つか立たないかで人間を選別する姿勢を鮮明にし、外国人労働者の扱いにそれが端的に表れている。著者は、オーストラリアでの調査で見出した多文化主義の限界を乗り越える方向性を、日本社会の現状を踏まえつつ模索する。〔社会〕
塩原 良和(シオバラ ヨシカズ)
1973年埼玉県生まれ。慶應義塾大学大学院社会学研究科後期博士課程単位取得退学。博士(社会学)。
慶應義塾大学法学部卒。株式会社三和総合研究所,日本学術振興会特別研究員,同海外特別研究員,東京外国語大学外国語学部准教授等を経て,現在は慶應義塾大学法学部准教授(社会学・社会変動論)。
主要著作に,『ネオ・リベラリズムの時代の多文化主義』三元社,2005年;『多文化交差世界の市民意識と政治社会秩序形成』(共編)慶應義塾大学出版会,2008年;『アジア系専門職移民の現在』(共著)慶應義塾大学出版会,2009年。邦訳に,ガッサン・ハージ著『ホワイト・ネイション』(共訳)平凡社,2003年;ガッサン・ハージ著『希望の分配メカニズム』御茶の水書房,2008年など。
序 章 岐路に立つ多文化主義
第1章 「統合」と「管理」の論理としての
多文化主義
第2章 福祉多文化主義とその「改革」
第3章 ネオリベラル多文化主義とグローバル化
する「選別/排除」の論理
第4章 ミドルクラス多文化主義の再構築
第5章 日本の「多文化共生」への介入
終 章 グローバル化のなかで
「つながりを欲する」ということ
第1章 「統合」と「管理」の論理としての
多文化主義
第2章 福祉多文化主義とその「改革」
第3章 ネオリベラル多文化主義とグローバル化
する「選別/排除」の論理
第4章 ミドルクラス多文化主義の再構築
第5章 日本の「多文化共生」への介入
終 章 グローバル化のなかで
「つながりを欲する」ということ