サピエンティア 46
共生への道と核心現場
実践課題としての東アジア
ISBN978-4-588-60346-4 C1320 [2016年07月 刊行]
白永瑞(ペク ヨンソ)
1953年生まれ。専門は中国現代史、東アジア現代史。ソウル大学校大学院博士課程修了。文学博士。翰林大学校史学科副教授などを経て、現在、延世大学校文科大学史学科教授兼文科大学長。(韓国)現代中国学会会長、(韓国)中国近現代史学会会長、延世大学校国学研究院長などを歴任。『創作と批評』の編集主幹、『台灣社會硏究』の編集委員なども務め、研究者・教育者だけでなく編集者としても活躍。主な著作に、『ポスト〈東アジア〉』(共編、東京:作品社、2006)、『核心現場から東アジアを問う――共生社会のための実践課題』(ソウル:創批、2013)、『社会人文学の道――制度としての学問、運動としての学問』(ソウル:創批、2014)、『思想東亞:韓半島視角的歷史與實踐』(臺北:台灣社會研究雜誌社、2009)、『思想東亞:朝鮮半島視角的歷史與實踐』(北京:三聯書店、2011)、『橫觀東亞:從核心現場重思東亞歷史』(臺北:聯經出版公司、2016)など。朝日新聞取材班『歴史は生きている――東アジアの近現代がわかる10のテーマ』(朝日新聞出版、2008)、新崎盛暉『新崎盛暉が説く構造的沖縄差別』(高文研、2012)の韓国語版共訳者でもある。
趙慶喜(チョウ キョンヒ)
聖公会大学東アジア研究所HK(Humanities Korea)教授。専門は社会学。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学。東京外国語大学にて博士号(学術)取得。主な著作に、「温情と教化の植民地主義――1910年代朝鮮総督府の社会救済事業」(『歴史問題研究』25号、2011)、「不安全な領土、密航する日常――解放後〜70年代における済州人の日本密航」(『歴史と社会』106号、2015)、「在韓在日朝鮮人の現在――曖昧な同胞の承認にむけて」(『インパクション』185号、2012)、『戦後の誕生』(共著、ソウル:Greenbee、2013)、『アジアの接触地帯』(共著、ソウル:Greenbee、2013)、『コリアン・ディアスポラと東アジア社会』(共著、京都大学学術出版会、2013)、金東椿『朝鮮戦争の社会史――避難・占領・虐殺』(共訳、平凡社、2008)など。
中島 隆博(ナカジマ タカヒロ)
東京大学東洋文化研究所教授。専門は中国哲学、比較哲学。主な著作に、『残響の中国哲学――言語と政治』(東京大学出版会、2007)、『荘子――鶏となって時を告げよ』(岩波書店、2009)、『共生のプラクシス――国家と宗教』(東京大学出版会、2011)、『悪の哲学――中国哲学の想像力』(筑摩書房、2012)、『コスモロギア――天・化・時』(編著、法政大学出版局、2015)、『法と暴力の記憶――東アジアの歴史経験』(共編、東京大学出版会、2007)、『宗教とこころの新時代』(共著、岩波書店、2016)、アンヌ・チャン『中国思想史』(共訳、知泉書館、2010)など。
※上記内容は本書刊行時のものです。1 なぜ「新しい普遍」を語るのか──「共有する普遍」と「コミュニケーション的普遍」
2 「新天下主義」の内部秩序と「複合国家論」
3 「新天下主義」の外部秩序と東アジア分断体制論
4 おわりに──核心現場から新しい普遍を
第一部 東アジア論
第一章 核心現場に見いだす東アジア共生への道
1 「沖縄帰属論争」再燃の意味
2 核心現場とは
3 核心現場と主権の再構成
4 核心現場における自治権の拡大
5 東アジアの共生の条件
第二章 連動する東アジア、問題として朝鮮半島──言説と連帯運動の二〇年
1 なぜ今も東アジアなのか
2 東アジア論の知的系譜と新しい状況
3 東アジアの範囲と東アジア共同体という問題
4 東アジア論と分断体制が出会う三つの層位
5 複合国家という媒介項と現場のネットワーク
第三章 東アジア論と近代適応・近代克服の二重課題
1 韓国発東アジア論を振り返る
2 竹内好の「近代の超克」論からすくいだせるもの
3 東アジア共同体──中短期的効果と長期的展望
4 分断された朝鮮半島における複合国家論
第四章 平和に対する想像力の条件と限界──東アジア共同体論の省察
1 東アジア的文脈における平和とは
2 中国の和平屈起と東アジア共同体
3 「普通の国」日本と東アジア共同体論
4 「東北アジア時代」韓国の平和への道
5 戦略的知性の結集と「実感としての東アジア」
第二部 中国︲韓国︲台湾
第五章 中華帝国論の東アジアにおける意味──批判的中国研究の模索
1 なぜ「帝国としての中国」か?
2 帝国言説の批判的検討(一)──朝貢体制再考
3 帝国言説の批判的検討(二)──文明国家論と天下観の現在的機能
4 周辺から模索される主権の再構成と帝国言説
5 「帝国」論と「複合国家」論の(非対称的)対話
第六章 変わるものと変わらないもの──韓中関係の過去、現在、未来
1 中国は私たちの運命なのか?
2 韓中関係を規定する歴史的条件
3 朝貢秩序は復活するのか
4 文化大国論と新天下主義
5 周辺の視座、互いを映す鏡
第七章 私たちにとって台湾とは何か──韓国︲台湾関係を問い直す
1 私が「発見」した台湾
2 韓国人の歴史経験のなかの台湾──媒介された出会いと直接向き合うこと
3 台湾人のアイデンティティを理解するうえで必要な問い
4 韓国︲台湾関係の未来を描く
5 戦略的知性の結集と「実感としての東アジア」
第三部 社会人文学と批判的学問
第八章 社会人文学の地平を開く──その出発点としての「公共性の歴史学」
1 問題提起──なぜ社会人文学なのか
2 「危機の人文学」の代案
3 人文精神と社会人文学の構想
4 社会人文学と「公共性の歴史学」
第九章 共感と批評の歴史学──東アジアの歴史和解のための提言
1 「良い歴史学」と公共性の歴史学
2 共感を通じた歴史和解
3 共感の歴史の事例を検討する──加藤陽子の著書を中心に
4 「批評としての歴史学」の諸特徴
第十章 地球地域学としての韓国学の(不)可能性──東アジアの歴史和解のための提言
1 はじめに
2 内外から見た韓国学のアイデンティティ
3 地球地域学としての韓国学
4 地球地域学の兆候──地球的思考と地域的実践の事例
5 結び
第十一章 「東洋史学」の誕生と衰退──東アジアにおける学術制度の伝播と変形
序
2 日本帝国大学で創設された「東洋史学」と民間史学
3 植民地朝鮮の東洋史学と朝鮮学運動
4 中国の新史学の科学化・制度化
結論──東洋史学を越えて
補論
第十二章 韓国における中国学の軌跡と批判的中国研究
1 問題の所在
2 北学、支那学、そして漢学
3 解放以後の中国学の軌跡と主な特徴──人文学分野
4 結び──批判的中国研究の課題
解説と対話
白永瑞──同時代の証言者
1 経歴
2 主要業績
3 本書の問題意識と概要
4 同時代の証言者との対話
監訳者あとがき
初出一覧
人名索引
書評掲載
「日刊ゲンダイ」(2016年8月24日付/佐々木寛氏・評)にて紹介されました。
「出版ニュース」(2016年9月下旬号)にて紹介されました。
「沖縄タイムス」(2016年9月10日付/新崎盛暉氏・評)にて紹介されました。
「図書新聞」(2016年11月12日号/鈴木将久氏・評)にて紹介されました。
「けーし風」(2017年1月第93号/池上善彦氏・評)にて紹介されました。