国家主権が揺らいでいる今日、これまでの市民資格の制度が解体されるとともに、新しい成員資格の様態も現われつつある。本書は、外国人、移民や難民、亡命者などの他者を政体に編入するための原理と実践に焦点をあて、ある者を成員、ほかの者を外国人と定義してきた近代以降の政治共同体の境界線を、カントによる道徳的普遍主義とコスモポリタン的連邦主義の伝統に従って再考する。
セイラ・ベンハビブ(ベンハビブ セイラ)
セイラ・ベンハビブ(Seyla Benhabib)
イスタンブール出身。1977 年、イェール大学にて哲学の博士号を取得。現在、同大学の政治学・政治哲学教授。討議倫理学を応用したフェミニズム、多文化主義の研究で近年注目されている。主著に、Situating the Self: Gender, Comnunity, and Postmodernism in Contemporary Ethics (New York & London, 1992, 全米教育協会年間最優良図書賞); The Reluctant Modernism of Hannah Arendt (Thousand Oaks, CA, 1996); The Claims of Culture: Equality and Diversity in the Global Era (Princeton, NJ, 2002); The Rights of Others (Cambridge, 2004, 本書、北米哲学会賞、アメリカ政治学会ラルフ・バンチ賞); Another Cosmopolitanism (New York, 2006)などがある。
向山 恭一(サキヤマ キョウイチ)
1964 年生まれ。新潟大学教授。政治思想専攻。
訳書にウェンデイ・ブラウン『寛容の帝国』(法政大学出版局、2010 年)、ナンシー・フレイザー『正義の秤』(法政大学出版局、2013 年)などがある。
序論
1 歓待について──カントのコスモポリタン的権利の再読
2 「権利をもつ権利」──国民国家の矛盾をめぐるハンナ・アレント
3 〈諸国家の法〉、配分的正義、移住
4 市民資格の変容──ヨーロッパ連合
5 民主的反復──ローカルなもの、国家的なもの、グローバルなもの
結論──コスモポリタン的連邦主義
訳者あとがき
1 歓待について──カントのコスモポリタン的権利の再読
2 「権利をもつ権利」──国民国家の矛盾をめぐるハンナ・アレント
3 〈諸国家の法〉、配分的正義、移住
4 市民資格の変容──ヨーロッパ連合
5 民主的反復──ローカルなもの、国家的なもの、グローバルなもの
結論──コスモポリタン的連邦主義
訳者あとがき