証券市場の構造が劇的に変化し、高度かつ複雑な金融商品が登場する中、資本蓄積を進める一方で、どのように投資家・消費者を保護することができるのか。金融商品取引法、民法・消費者法、刑事法を専門とする気鋭の研究者・第一線で活躍の実務家が、比較法的に得られた知見や実務の運用を踏まえつつ、規制のあるべき方向性や姿を提示する共同研究の成果。
柳 明昌(ヤナギ アキマサ)
法政大学法学部教授
※上記内容は本書刊行時のものです。はしがき
第1章 金融商品取引法における投資者保護に関する予備的考察
──米国における私募概念の再検討を通して考える
(柳明昌)
一 はじめに
1 問題の所在
2 本稿の課題およびアプローチ
二 我が国における情報開示規制及び適用除外等の根拠
1 従来の規制枠組み
2 勧誘レベルに係る議論
3 新たな規制枠組み
三 米国における私募概念の変遷
1 大恐慌における証券規制導入当初──「情報の完全開示」哲学への転換
2 Ralston Purina(1953)判決とその後の裁判例
3 レギュレーションD──Ralston Purina判決からの離反
4 JOBS Act of 2012──証券規制史上の最大の規制緩和
四 結びに代えて──情報開示規制の在り方への示唆
1 「被勧誘者の数」規制から「取得者」規制へ
2 情報開示と情報の入手可能性
3 特定投資家概念
4 熟練投資家と情報開示
5 消費者法との関係
第2章 インターネット取引における適合性の原則と説明義務
(田名網 尚)
一 問題の所在
二 金融商品取引における適合性の原則と説明義務の法的論点の検討
1 金商法の適合性の原則
2 金商法における説明義務
3 金販法の適合性の原則と説明義務
三 インターネット取引における適合性原則と説明義務への取組み
1 インターネット取引における適合性原則と説明義務への取組みの概要
2 「金融サービスの電子取引の進展と監督行政」(平成12年4月)の概要
3 日証協「インターネット取引において留意すべき事項について(ガイドライン)」(平成17年12月)の概要
4 金商業者等のインターネット取引における適合性原則と説明義務への取組み
四 インターネット取引における適合性原則・説明義務にかかる金商業者等と顧客との紛争
1 金融商品取引における金商業者等と顧客との紛争
2 インターネット取引にかかる判例(その1:ライブドア事件関連)
3 インターネット取引にかかる判例(その2:オー・エイチ・ティー株式相場操縦事件関連)
4 インターネット取引にかかる判例(東日本大震災時の日経225オプション取引損失関連)
五 インターネット取引における適合性原則と説明義務の課題
1 判例から見たインターネット取引における適合性原則と説明義務への示唆
2 インターネット取引における適合性原則と説明義務における対処すべき課題
六 本論のまとめ
第3章 消費者の「脆弱性」をめぐる立法論的課題・序論
──『適合性原則』から「濫用」へ
(大澤 彩)
一 はじめに
二 日本法の議論状況
1 消費者契約法改正論議における議論状況
2 提案に至る背景
3 小括
三 比較対象──フランスにおける「脆弱性の濫用」
1 概要
2 要件
3 効果
四 分析
1 「脆弱性」概念
2 「特に脆弱な消費者」と「消費者」
3 脆弱性の「濫用」の意味
4 法規定のあり方──試論
5 おわりに──今後の課題
第4章 HFTに対する金商法の規制について
(野間敬和)
一 高頻度取引(HFT)とは
1 HFTとは
2 取引の高速化のためのツール
3 HFTの弊害と規制当局が検討すべき論点
4 本稿の分析
二 HFTと現物取引における相場操縦
1 現物取引における相場操縦
2 HFTは現物取引の相場操縦に該当するか
3 相場操縦行為に関する金融商品取引業者の行為規制
三 HFTに対する空売り規制
1 空売り規制
2 HFTと空売り規制
四 フラッシュ・クラッシュ
1 HFTとフラッシュ・クラッシュ
2 HFTによる流動性の消失への寄与
3 異常時における対応
五 HFT業者と他の投資家間の不公平
1 はじめに
2 特別の利益提供の禁止
第5章 エンフォースメント
(須藤純正)
一 総説
二 エンフォースメントの組織
1 沿革
2 証券取引等監視委員会
3 委員会以外のエンフォースメントの主体
三 エンフォースメントの手段
1 刑事罰
2 課徴金
3 過料
第1章 金融商品取引法における投資者保護に関する予備的考察
──米国における私募概念の再検討を通して考える
(柳明昌)
一 はじめに
1 問題の所在
2 本稿の課題およびアプローチ
二 我が国における情報開示規制及び適用除外等の根拠
1 従来の規制枠組み
2 勧誘レベルに係る議論
3 新たな規制枠組み
三 米国における私募概念の変遷
1 大恐慌における証券規制導入当初──「情報の完全開示」哲学への転換
2 Ralston Purina(1953)判決とその後の裁判例
3 レギュレーションD──Ralston Purina判決からの離反
4 JOBS Act of 2012──証券規制史上の最大の規制緩和
四 結びに代えて──情報開示規制の在り方への示唆
1 「被勧誘者の数」規制から「取得者」規制へ
2 情報開示と情報の入手可能性
3 特定投資家概念
4 熟練投資家と情報開示
5 消費者法との関係
第2章 インターネット取引における適合性の原則と説明義務
(田名網 尚)
一 問題の所在
二 金融商品取引における適合性の原則と説明義務の法的論点の検討
1 金商法の適合性の原則
2 金商法における説明義務
3 金販法の適合性の原則と説明義務
三 インターネット取引における適合性原則と説明義務への取組み
1 インターネット取引における適合性原則と説明義務への取組みの概要
2 「金融サービスの電子取引の進展と監督行政」(平成12年4月)の概要
3 日証協「インターネット取引において留意すべき事項について(ガイドライン)」(平成17年12月)の概要
4 金商業者等のインターネット取引における適合性原則と説明義務への取組み
四 インターネット取引における適合性原則・説明義務にかかる金商業者等と顧客との紛争
1 金融商品取引における金商業者等と顧客との紛争
2 インターネット取引にかかる判例(その1:ライブドア事件関連)
3 インターネット取引にかかる判例(その2:オー・エイチ・ティー株式相場操縦事件関連)
4 インターネット取引にかかる判例(東日本大震災時の日経225オプション取引損失関連)
五 インターネット取引における適合性原則と説明義務の課題
1 判例から見たインターネット取引における適合性原則と説明義務への示唆
2 インターネット取引における適合性原則と説明義務における対処すべき課題
六 本論のまとめ
第3章 消費者の「脆弱性」をめぐる立法論的課題・序論
──『適合性原則』から「濫用」へ
(大澤 彩)
一 はじめに
二 日本法の議論状況
1 消費者契約法改正論議における議論状況
2 提案に至る背景
3 小括
三 比較対象──フランスにおける「脆弱性の濫用」
1 概要
2 要件
3 効果
四 分析
1 「脆弱性」概念
2 「特に脆弱な消費者」と「消費者」
3 脆弱性の「濫用」の意味
4 法規定のあり方──試論
5 おわりに──今後の課題
第4章 HFTに対する金商法の規制について
(野間敬和)
一 高頻度取引(HFT)とは
1 HFTとは
2 取引の高速化のためのツール
3 HFTの弊害と規制当局が検討すべき論点
4 本稿の分析
二 HFTと現物取引における相場操縦
1 現物取引における相場操縦
2 HFTは現物取引の相場操縦に該当するか
3 相場操縦行為に関する金融商品取引業者の行為規制
三 HFTに対する空売り規制
1 空売り規制
2 HFTと空売り規制
四 フラッシュ・クラッシュ
1 HFTとフラッシュ・クラッシュ
2 HFTによる流動性の消失への寄与
3 異常時における対応
五 HFT業者と他の投資家間の不公平
1 はじめに
2 特別の利益提供の禁止
第5章 エンフォースメント
(須藤純正)
一 総説
二 エンフォースメントの組織
1 沿革
2 証券取引等監視委員会
3 委員会以外のエンフォースメントの主体
三 エンフォースメントの手段
1 刑事罰
2 課徴金
3 過料
[著者一覧] (*は編著者)
柳 明昌(ヤナギ アキマサ)*
法政大学法学部教授
田名網 尚(タナアミ ヒサシ)
マネックスグループ株式会社執行役、マネックス証券株式会社代表取締役副社長、法政大学理工学部兼任講師
大澤 彩(オオサワ アヤ)
法政大学法学部准教授
野間敬和(ノマ ヨシカズ)
弁護士(TMI総合法律事務所)
須藤純正(スドウ スミマサ)
法政大学法学部教授
柳 明昌(ヤナギ アキマサ)*
法政大学法学部教授
田名網 尚(タナアミ ヒサシ)
マネックスグループ株式会社執行役、マネックス証券株式会社代表取締役副社長、法政大学理工学部兼任講師
大澤 彩(オオサワ アヤ)
法政大学法学部准教授
野間敬和(ノマ ヨシカズ)
弁護士(TMI総合法律事務所)
須藤純正(スドウ スミマサ)
法政大学法学部教授