法政大学現代法研究所叢書 55
自治体議会改革と議会事務局
議会を支える機構の制度・組織・機能

廣瀬 克哉:編著, 土山 希美枝:編著
A5判 / 178ページ / 上製 / 価格 2,750円 (消費税 250円) 
ISBN978-4-588-63055-2 C3331 [2026年03月 刊行]

内容紹介

自治体議会改革に議会事務局のありようは大きな影響を与えうるが、その機能と役割はこれまで十分に研究されてこなかった。本書は自治体議会事務局に焦点をあて、実務家の証言を得ながら進めた共同研究の成果であり、議会事務局の状況や特性、議会改革に与える影響、また歴史的分析をふまえ、議会事務局に焦点をあてその機能と役割を多角的に分析した稀有な研究書である。

著訳者プロフィール

廣瀬 克哉(ヒロセ カツヤ)

廣瀬 克哉(ヒロセ カツヤ)
法政大学法学部教授 法学博士 序章

土山 希美枝(ツチヤマ キミエ)

土山 希美枝(ツチヤマ キミエ)
法政大学法学部教授 博士(政治学) 第5章・終章

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序章 自治体議会改革下における議会事務局研究の諸論点 【廣瀬克哉】
I 分権改革後の自治体議会改革という文脈
II 政府編制の中における議会の位置づけによる相違
III 政治的代表を補佐する機能の中立性という課題
IV 本書の構成と各章の概要

第1章 議会制度形成期における議会事務局の位置と役割──標準委員会条例・標準会議規則をめぐる動向を中心に 【岡﨑加奈子】
はじめに
I 自治体議会制度の形成
1 占領政策としての自治体議会制度
2 地方自治法の制定
3 議会事務局の制度化
II 自治体議会運営ルールの形成をめぐる動向
1 「委員会条例準則」・「会議規則準則」の制定
2 国会実務家による議会イメージ
III 自治体議会運営ルールの共有化
1 職員研修会(講習会)の実施
2 「研修会」が担った役割
3 議会運営の「修正」をめぐる動向
IV 「標準委員会条例」・「標準条例」の制定
1 制定までの経緯
2 「標準委員会条例」・「標準規則」の特質
3 自治体議会制度・運営の形成
おわりに

第2章 市区町村における議会事務局の組織人員体制について 【伊藤哲也】
I はじめに
II 先行研究等
III 組織体制についての分析
1 分析方法
2 分析
3 小括
IV 人員体制についての分析
1 分析方法
2 分析
3 小括
V おわりに

第3章 議会事務局の中立性──国会と自治体議会の比較を踏まえて 【宮﨑一徳】
はじめに
I 国会事務局と自治体議会事務局
1 国会事務局の組織の規模と内容
2 自治体議会事務局の組織の規模と内容
(1) 「多摩市議会事務局や茅ヶ崎市議会事務局」
(2) 横浜市会議会局
II 議院内閣制と二元代表制
1 議院内閣制の検証
2 二元代表制とチーム議会
3 国会職員と自治体議会職員の補佐の比較
(1) 「議事」の委員会担当職員について
(2) 「調査」担当職員について
III 「中立性」についての考察
1 議会事務局職員の「中立性」は「専門知の適切な提供」
2 国会の調査員の更なる特殊性
3 職務の分担による「中立性」のすみ分け

第4章 市町村議会改革が持つ自治体政策運営への影響 【長野 基】
I 議会基本条例時代の議会改革の成果を考える
1 研究の背景と目的
2 研究の位置づけ
II 研究方法
1 自治体議会改革の統計分析における調査対象選択
2 自治体議会が行う事業評価の調査対象選択
III 分析モデルの構築
1 政策パフォーマンス変数の選択
2 議会による政策出力変数の選択
3 観測項目の設定
4 分析の基本モデル
IV 自治体議会改革(全国データ)の統計分析
1 変数の記述統計量
2 議会改革からの政策パフォーマンスへの影響
V 議会による事業評価の事例分析
1 多摩市議会「議会による評価」
2 飯田市議会「議会の行政評価」
3 小括
VI 考察
VII 結語
1 研究のまとめ
2 今後の研究課題

第5章 自治体議会機構の事務局 【土山希美枝】
I 地方自治における市民と議会の現在形
1 議会改革と市民の「理解」
2 本稿の目的と構成
II 議会を動かす主体と主体を動かす「力」
1 自治体議会の機構
2 「政策議会」と行政機構
III 政策議会の議会事務局
1 議会事務局を動かす主体、とりまく主体
2 自治体機構が意識すべき「力」
IV 政策議会を機能させるもの
1 市民のための政策議会は可能か
2 自治体議会改革と事務局

終章 自治の萎縮をこえられるか──政策議会の議会事務局 【土山希美枝】
I 「自治の萎縮」というあやうさ
II 議会事務局とはなにものか
III 謝辞

資料1 研究会報告「議会改革は議員・議会・首長・行政職員へどのような影響を与えたか」
I 井島慎一氏による報告「議会改革は議員・議会・首長・行政職員へどのような影響を与えたか──2004年〜2022年の会津若松の政策過程を例として──」
1 はじめに(報告の概要)
2 経歴と会津若松市の紹介
3 報告の枠組み
4 議会改革前の議員、市職員
5 議会改革後の議員、市職員
(1) 政策サイクルとバックキャストモデル、その成果
(2) 企画・総務部職員として感じる変化
(3) 市職員の意識・行動変容の背景にあるもの
(4) 首長主導の政策をめぐって
6 議会改革の副作用
7 補論①:市議会のデジタル化の取り組み
8 補論②:法制化・デジタル化を生かすための条件
9 総括と今後への期待
II 質疑応答・意見交換
1 政策サイクルの設計構想
2 意見交換会の状況の変化
3 課題をこえていく人材像
4 会派と政策サイクル
5 議会の行政化・均質化の危惧とこれから

資料2 研究会報告「議会局による補佐の射程」
I 清水克士氏による報告「議会局による補佐の射程」
1 自治体規模と議会事務局の多様性
(1) 自治体規模
(2) 議員気質
(3) 議長任命権の実質性
(4) 局職員気質
2 流動的な局職員の行動規範
(1) 首長との政治的関係性
(2) 政治的中立性の考察
3 「チーム議会」確立の条件
4 局改革の方向性
(1) 執行部職員との併任
(2) 事務局共同設置
(3) 軍師ネットワーク(大学連携による県域での局職員育成事業)
II 意見交換
1 中立性をめぐって
2 官僚制の世代効果と萎縮
3 中立性の制度化と条例の限界
4 党派性と議会(事務)局の立ち位置
5 政策形成における誠実性と判断
6 都議会・米英制度との比較

著者
岡﨑 加奈子(オカザキ カナコ)
法政大学法学部兼任講師 博士(政治学) 第1章

伊藤 哲也(イトウ テツヤ)
法政大学院公共政策研究科兼任講師 博士(公共政策学)  第2章

宮崎 一徳(ミヤザキ カズノリ)
法政大学院公共政策研究科兼任講師 博士(公共政策学) 第3章

長野 基(ナガノ モトキ)
東京都立大学都市環境学部准教授 博士(政治学) 第4章