新しい都市空間
都市理論とスケール問題

A5判 / 520ページ / 上製 / 価格 5,170円 (消費税 470円) 
ISBN978-4-588-64550-1 C3030 [2024年05月 刊行]

内容紹介

いま世界で最も影響力のある都市研究者ニール・ブレナーの初の邦訳単著。過去から現代にいたる都市研究の達成を、地理学・社会学・政治学・環境学・建築学の横断領域で網羅的に整理する最先端の探究。資本主義のもとで国家空間が引き起こす分節化の枠組みから現代都市の多様性をとらえる「スケール」理論や、近年の社会科学を席捲する「惑星的都市化」の理論を解説・展開する代表的著作。

著訳者プロフィール

ニール・ブレナー(ブレナー ニール)

ニール・ブレナー(Neil Brenner)
シカゴ大学社会学部教授(Lucy Flower Professor of Urban Sociology)。代表的著作として単著New State Spaces(Oxford, 2004)、New Urban Spaces(Oxford, 2019)、共編著Implosions/Explosions(Jovis, 2014)がある。1990年代いらい約30年間にわたり、スケール、リスケーリング、国家空間、資本主義的都市化、惑星的都市化といった概念を彫琢し、それらに基づく比較研究を行うことで、学際的・国際的な理論構築を旺盛に行ってきた。「都市理論(化)」というアプローチそのものの重要性を世界的に認知させ、また都市理論における批判的な方法論や地図作製を体系的にアップデートしてきた、都市研究分野の中心人物である。過去にニューヨーク大学やハーバード大学で教授職を歴任。Ph.D.(Political Science)

林 真人(ハヤシ マヒト)

林 真人(ハヤシ マヒト)[監訳および1・2・3・6・7章]
金城学院大学国際情報学部教授。代表的著作として単著Rescaling Urban Poverty(Wiley/Royal Geographical Society with IBG、2023)、『ホームレスと都市空間』(明石書店、2014)、“Any Labour geographies in urban theory?”(Antipode 55(2)、2023)がある。博士(社会学)。

玉野 和志(タマノ カズシ)

玉野 和志(タマノ カズシ)[10章]
放送大学教授。代表的著作として単著『東京のローカル・コミュニティ』(東京大学出版会、2005)、『創価学会の研究』(講談社現代新書、2008)、『実践社会調査入門』(世界思想社、2008)がある。博士(社会学)。

中澤 秀雄(ナカザワ ヒデオ)

中澤 秀雄(ナカザワ ヒデオ)[4章]
上智大学総合人間科学部社会学科教授。代表的著作として共著/復刻『戦後日本の出発と炭鉱労働組合』(御茶の水書房、2022)、共編著『炭鉱と「日本の奇跡」』(青弓社、2018)、単著『住民投票運動とローカルレジーム』(ハーベスト社、2005)がある。博士(社会学)。

齊藤 麻人(サイトウ アサト)

齊藤 麻人(サイトウ アサト)[5章]
横浜国立大学都市イノベーション研究院教授。代表的著作として共編著Locating Neoliberalism in East Asia(Blackwell、2011)、共著Struggling Giants(University of Minnesota Press、2012)、単著
“Recentralization of Tokyo”(International Journal of Japanese Sociology 30(1)、2021)がある。PhD(Regional and Urban Planning)

平田 周(ヒラタ シュウ)

平田 周(ヒラタ シュウ)[9章]
南山大学外国語学部フランス学科准教授。代表的著作として単著「尋問、モラル・エコノミー、罰の不公平な配分」(『予測と創発』春風社、2022)、共編著『惑星都市理論』(以文社、2021)がある。博士(哲学)。

金澤 良太(カナザワ リョウタ)

金澤 良太(カナザワ リョウタ)[8章]
東洋大学社会学部社会学科助教。代表的著作として単著「市街地再開発事業における周辺住民への対応」(『せたがや自治政策』26、2019)、「都市間競争とイデオロギーとしての創造都市」(『年報社会学論集』26、2013)共著「二子玉川の再開発過程」(『人文学報』513、2017)がある。修士(社会学)。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

1章 都市問題はスケール問題なのか?
 問題設定の筋道
 国家のリスケーリングと都市問題
 都市化の組織体
 探究の輪郭線
 議論のアウトライン
 理論の位置

2章 「動かないこと」と「動くこと」のあいだで──都市組織体のスケール化
 不動性/有動性の矛盾とスケール問題
 アンリ・ルフェーブルとスケール問題
 スケール間の網目──都市化、国家空間、空間物流
 国家空間、スケール不動、都市化の組織体
 都市組織体のリスケーリング──調査に向けて

3章 再編成、リスケーリング、都市問題
 空間、スケール、都市問題
 都市問題の(再)スケール化?
 スケール的分析の課題と陥穽
 リスケーリングをめぐる九つの提案
 スケールに照準した都市理論へのアプローチに向けて

4章 世界都市の形成と都市化のリスケーリング
 「都市的なもの」の新しいスケール化──世界都市の理論と世界都市の群島
 世界都市と国民空間──批判と再定式化
 ポストケインズ主義的な地理のリスケーリング
 グローバル化する都市と新しいスケール政治──ポストケインズ主義の欧州を例に
 都市問題からスケール問題へ

5章 都市と「ニュー」エコノミーの政治地理
 都市化、領域的組織、そして不均等発展のレギュレーション
 空間ケインズ主義の頂点における領域レギュレーションの地理
 危機管理、そして内発的発展の新しい政治
 国家空間のリスケーリングと「新たな」都市経済の追求
 一九九〇年代における大都市地域主義の曖昧な再興
 ニューエコノミー、そしてレギュレーションの新しい景観

6章 競争的な都市地域主義とスケール政治
 大都市地域主義と資本主義の歴史地理
 競争的な都市地域主義へ向けて?
 「新しい地域主義」という解釈の限界
 国家のリスケーリングと都市化のレギュレーション
 大都市レギュレーション空間とスケール政治

7章 都市成長マシン──しかし、どのスケールにおいて?
 問われる地方主義
 都市開発をとりまく国民的な制度パラメター
 成長マシンと不均等発展の政治地理
 多スケールな政治戦略としての都市成長マシン

8章 サウザンド・レイヤーズ──不均等発展の地理
 複数の基礎
 ミルフィーユ、または千の葉
 場所と不均等空間発展
 領域と不均等空間発展
 スケールと不均等空間発展
 ネットワークと不均等空間発展
 資本主義的な都市組織体への同質異像なアプローチに向けて

9章 惑星的都市化──都市問題の変容
 「都市の時代」とその限界
 構成的外部の内部化
 緊張下にある都市的なものの認識論
 かつて都市研究として知られた領域?
 都市的なものの問題設定に、ふたたび枠組みを与える

10章 結論──都市化の新しい空間
 メタ理論的な総合をめざして
 都市(化)空間への、理論的に再帰的で、プロセス重視のアプローチ
 都市化のパターンと経路、際限なきそれら
 集中的都市化と拡大的都市化の弁証法
 国家の空間戦略、そして都市組織体の刷新
 批判的都市理論と「シティ効果」
 最後に──惑星的な大変貌と都市問題

謝辞
監訳者あとがき
文献一覧
索引