技術者直観形成論
理論と実践

A5判 / 228ページ / 上製 / 価格 4,620円 (消費税 420円) 
ISBN978-4-588-78612-9 C3050 [2020年01月 刊行]

内容紹介

少子高齢化の進む日本で今後ますます深刻化する、建設分野の技術者不足を改善するにはどうすればいいのか? 従来、仕事の現場で漠然と「カン・コツ」と呼ばれていた「直観」の概念をさまざまな視点から考察し、ベテラン技術者へのインタビューなどから独自の「技術者直観」および「5つの方法の循環」の理論を形成する。企業の人材育成と、現場で働く労働者のキャリア意識形成にも資する参考書。

著訳者プロフィール

山﨑 雅夫(ヤマサキ マサオ)

1981年島根県生まれ。博士(政策学)。人的資源管理論専攻。現在、法政大学兼任講師。広島工業大学大学院工学研究科土木工学専攻を修了後、建設技術者(コンサルタント)として従事。退職後、法政大学大学院イノベーション・マネジメント研究科に入学し、MBAを取得。続いて、法政大学大学院政策創造研究科博士後期課程に進学し、博士(政策学)を取得。
著作に、“Succession of intuition and pertinent engineering experience in an ageing society with a low birth rate”(Journal of Asian Public Policy, Volume 7, Issue 2, pp. 200–210, 2014年)、「技術者直観形成のための5つの方法による循環──建設業界における予備的調査」(『キャリアデザイン研究』 Vol. 11, pp. 143–148, 2015年)、“Engineer’s Intuition in the Construction Industry”(Advances in Psychology Research, Volume 115, pp. 147–169, 2016年)、「建設技術者の能力開発とキャリア形成──技術者直観の水準評価」(『キャリアデザイン研究』 Vol. 13, pp. 5–19, 2017年)、“Succession of ‘Engineer’s Intuition’ in Japan ─ Theory and Method”(International Society for Professional Innovation Management, 2018年)、「情報工学技術者の能力開発とキャリア形成──IT業界ベテラン技術者へのインタビュー調査の分析」(日本キャリアデザイン学会, 2019年)などがある。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序論 本研究の問題設定

第1章 本研究における問題設定と目的
 第1節 問題設定と目的
 第2節 言葉の定義
 第3節 本書の構成

第2章 少子高齢化社会および建設業界の現状と課題
 第1節 少子高齢化社会の現状
 第2節 将来の人口推計
 第3節 建設業界の現状
 第4節 本章のまとめ

第1部 「技術者直観」理論

第3章 理論に関わる先行研究
 第1節 基盤とする領域(経営学)
 第2節 理論生成のための分析の枠組み
 第3節 本章のまとめ

第4章 「技術者直観」理諭の生成
 第1節 技術伝承研究会における議論
 第2節 インタビュー調査
 第3節 本章のまとめ

第5章 技術者直観の事例
 第1節 はじめに
 第2節 事例(道路設計)の全体像
 第3節 事例の分析
 第4節 本章のまとめ

第2部 「5つの方法の循環」という方法論

第6章 「人材育成論」に関わる先行研究
 第1節 直観形成系
 第2節 教育学系
 第3節 技術・技能系
 第4節 経営学系
 第5節 本章のまとめ

第7章 卓越したベテラン技術者の能力開発・キャリア形成
 第1節 はじめに
 第2節 調査の方法と概要
 第3節 分析の結果
 第4節 本章のまとめ

第8章 技術者直観が伝わる人材育成方法の検証
 第1節 研究の方法と概要
 第2節 「5つの方法の循環」という方法論
 第3節 実験の内容
 第4節 方法論の検証
 第5節 本章のまとめ

結論 本研究のまとめと提言

第9章 これからの技術伝承と人材育成の方向性
 第1節 はじめに
 第2節 問題・課題に対する理論的意義の提示
 第3節 今後の研究の方向性
 第4節 本章のまとめ

第10章 提言:実践的意義としての人事政策への展開
 第1節 経営者
 第2節 管理職
 第3節 個人
 第4節 人事部
 第5節 労働組合・企業内共済会等
 第6節 本章のまとめ

参考文献
謝辞
索引