「美しい日本の私」を語った川端康成も、「あいまいな日本の私」でそれを否定した大江健三郎も、自国へのこだわりから自由ではなかった。本書は、日本文化論の古典『菊と刀』から、幕末・明治以来のフランス人や中国人の日本観、欧米人による能楽研究等、外からの眼差しを検討しつつ、映画やアニメ、ゲーム等に見られる国家の枠組みを超えた越境現象を通して〈日本文化〉の相対化をめざす。
星野 勉(ホシノ ツトム)
法政大学国際日本学研究所所長・文学部教授。専攻:西洋近・現代哲学、倫理学。
※上記内容は本書刊行時のものです。 まえがき
第1章 『菊と刀』にみる「日本文化」──ルース・ベネディクトの視点 (星野 勉)
1 『菊と刀』の研究姿勢と方法論
2 「日本をして日本人の国たらしめているもの」
3 恥の文化
第2章 150年前に日本に来たフランス人 (相良匡俊)
1 東アジア情勢とフランス
2 交通と情報
3 日本に来たフランス人
4 フランス人の体験
第3章 モーツァルトと日本──『魔笛』における「日本の狩衣」 (ヨーゼフ・クライナー)
『魔笛』におけるタミーノの「日本の狩衣」
1 モーツァルトの日本についての情報
2 ヨーロッパにおける着物
3 東インド会社の役人とモーツァルト
第4章 日本の妖怪とアジアの妖怪 (横山泰子)
1 オバケが文化を超える可能性
2 中国の「飛頭蛮」から日本の「ろくろ首」へ
3 十返舎一九のろくろ首
4 ラフカディオ・ハーンのろくろ首から現代へ
第5章 東アジア文化の交差点としての日本文化 (川村 湊)
1 『喪失の時代』と『ノルウェイの森』
2 『桃太郎』から『もののけ姫』へ
3 “波濤を越える”アクション映画
第6章 現代中国における一つの日本観 (王 敏)
1 近代西洋の衝撃に対する日中の違い
2 日本に体系的に学ぶ
3 日本文化イン中国
4 二重性の日本観
第7章 欧米人の能楽発見 (西野春雄)
1 能とは何か
2 欧米人による能・狂言への関心
3 欧米人の能楽発見
4 フリードリヒ・ペルツィンスキーの能面研究
5 欧米人からのメッセージ
6 再び欧米人の能楽発見
7 能の根底を貫くものを求めて
第8章 二人のノーベル賞作家──川端康成と大江健三郎 (勝又 浩)
第1章 『菊と刀』にみる「日本文化」──ルース・ベネディクトの視点 (星野 勉)
1 『菊と刀』の研究姿勢と方法論
2 「日本をして日本人の国たらしめているもの」
3 恥の文化
第2章 150年前に日本に来たフランス人 (相良匡俊)
1 東アジア情勢とフランス
2 交通と情報
3 日本に来たフランス人
4 フランス人の体験
第3章 モーツァルトと日本──『魔笛』における「日本の狩衣」 (ヨーゼフ・クライナー)
『魔笛』におけるタミーノの「日本の狩衣」
1 モーツァルトの日本についての情報
2 ヨーロッパにおける着物
3 東インド会社の役人とモーツァルト
第4章 日本の妖怪とアジアの妖怪 (横山泰子)
1 オバケが文化を超える可能性
2 中国の「飛頭蛮」から日本の「ろくろ首」へ
3 十返舎一九のろくろ首
4 ラフカディオ・ハーンのろくろ首から現代へ
第5章 東アジア文化の交差点としての日本文化 (川村 湊)
1 『喪失の時代』と『ノルウェイの森』
2 『桃太郎』から『もののけ姫』へ
3 “波濤を越える”アクション映画
第6章 現代中国における一つの日本観 (王 敏)
1 近代西洋の衝撃に対する日中の違い
2 日本に体系的に学ぶ
3 日本文化イン中国
4 二重性の日本観
第7章 欧米人の能楽発見 (西野春雄)
1 能とは何か
2 欧米人による能・狂言への関心
3 欧米人の能楽発見
4 フリードリヒ・ペルツィンスキーの能面研究
5 欧米人からのメッセージ
6 再び欧米人の能楽発見
7 能の根底を貫くものを求めて
第8章 二人のノーベル賞作家──川端康成と大江健三郎 (勝又 浩)