叢書・ウニベルシタス 1090
社会的なものを組み直す
アクターネットワーク理論入門
ISBN978-4-588-01090-3 C1336 [2019年01月 刊行]
ブリュノ・ラトゥール(ラトゥール ブリュノ)
(Bruno Latour)
1947年、フランス東部ブルゴーニュ地方のボーヌ生まれ。1975年にトゥール大学より哲学で博士号を取得。1982年から2006年までパリ国立高等鉱業学校教授、その後、2017年までパリ政治学院で教授を務めた。現在は、同学院名誉教授。主な日本語訳に、『科学が作られているとき──人類学的考察』(川崎勝・高田紀代志訳、産業図書、1999年)、『科学論の実在──パンドラの希望』(川崎勝・平川秀幸訳、産業図書、2007年)、『虚構の「近代」──科学人類学は警告する』(川村久美子訳、新評論、2008年)、『法が作られているとき──近代行政裁判の人類学的考察』(堀口真司訳、水声社、2017年)、『近代の〈物神事実〉崇拝について──ならびに「聖像衝突」』(荒金直人訳、以文社、2017年)、近著に、Face à Gaïa: Huit conférences sur le nouveau régime climatique (La Découverte – Les Empêcheurs, 2015)、Où atterrir?: Comment s’orienter en politique (La Découverte, 2017)などがある。
伊藤 嘉高(イトウ ヒロタカ)
1980年生まれ。2007年、東北大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。山形大学大学院医学系研究科助教、講師を経て、2018年から新潟医療福祉大学医療経営管理学部講師。主な論文に‘Working condition of nurses in Japan: awareness of work-life balance among nursing personnel at a university hospital’, Journal of Clinical Nursing,20: 12–20, 2010、‘Employment status among non-retired cancer survivors in Japan’, European Journal of Cancer Care, 24 (5): 718–23, 2015、翻訳にJ. アーリ『社会を越える社会学』(吉原直樹監訳、法政大学出版局、2006年)、J. アーリ『グローバルな複雑性』(吉原直樹監訳、法政大学出版局、2014年)、J. アーリ『モビリティーズ』(吉原直樹と共訳、作品社、2015年)。
※上記内容は本書刊行時のものです。序章──連関をたどる務めに立ち帰るには
第Ⅰ部 社会的世界をめぐる論争を展開させるには
はじめに──論争を糧にすることを学ぶ
第一の不確定性の発生源──グループではなく、グループ形成だけがある
グループ形成が残す痕跡のリスト
ノー・ワーク、ノー・グループ──働きかけがなければ、グループはない
媒介子 対 中間項
第二の不確定性の発生源──行為はアクターを超えてなされる
〈アクターが行為する〉ように他の多くのものがしている
実地に根ざした形而上学を探究する
エージェンシーをめぐる論争を地図に示すためのリスト
誰かに何かをさせる方法
第三の不確定性の発生源──モノにもエージェンシーがある
働いているアクターの種類を増やさなくてはならない
モノを行為の進行に与するものにする
モノはところどころでしか痕跡を残さない
モノの活動が簡単に可視化される状況のリスト
権力関係を忘却してきたのは誰なのか
第四の不確定性の発生源──〈厳然たる事実〉対〈議論を呼ぶ事実〉
構築主義 対 社会構築主義
科学社会学の幸いなる難破
社会的説明は必要ない
翻訳 対 移送
経験には目に映る以上のものがある
〈議論を呼ぶ事実〉を展開するのに資するリスト
第五の不確定性の発生源──失敗と隣り合わせの報告を書きとめる
テクストを書くのであって、窓ガラスを通して見るのではない
ついにネットワークが何であるのかを定義する
基本に帰る──ノートのリスト
批判ではなく、展開
アリ/ANTであることの難しさについて──対話形式の幕間劇
導入──消極的な理論と積極的な理論
ネットワークと、記述の重要性について
解釈的なパースペクティブと客観主義的なパースペクティブについて
相対主義、ANT、コンテクストについて
文字による記述、作り話、論文について
痕跡を残さないアクターと、研究から学ぶ必要のないアクターについて
反省性と説明について
構造主義とANTの果てしない隔たり
科学、権威、意義について
第Ⅱ部 連関をたどり直せるようにする
はじめに──社会的なものをたどることは、なぜ難しいのか?
社会的なものをフラットな状態に保つ方法
第一の手立て──グローバルなものをローカル化する
パノプティコンからオリゴプティコンへ
パノラマ
第二の手立て──ローカルなものを分散させ直す
分節化、ローカル化の装置
対面的な相互作用という場の怪しさ
プラグイン
アクターから、分かちがたい結合へ
第三の手立て──複数の場を結びつける
規格から収集型の言表へ
ついに媒介子
プラズマ──ミッシング・マス
結章 社会から集合体へ──社会的なものを組み直すことは可能か
どのような政治認識論なのか?
数あるなかの一学問分野
政治の異なる定義
訳 註
訳者あとがき
文献一覧
事項索引
人名索引
書評掲載
「建築討論」(2019年8月7日付/藤田直哉氏・評)に紹介されました。
「図書新聞」(2019年8月10日号/山本泰三氏・評)に紹介されました。
「科学史研究」(第三期第60巻 No.297、2021年04月号/金信行氏・評)に紹介されました。
「FAB(国際ファッション専門職大学紀要)」(第3号/2022年12月01日発行/高橋幸治氏・評)に紹介されました。