叢書・ウニベルシタス 1107
殺人区画
大量虐殺の精神性
アブラム・デ・スワーン:著, 大平 章:訳
四六判 / 478ページ / 上製 / 価格 5,280円 (消費税 480円)
ISBN978-4-588-01107-8 C1336 [2020年05月 刊行]
ISBN978-4-588-01107-8 C1336 [2020年05月 刊行]
二十世紀、非戦闘員に向けられた集団的暴力は戦争の三倍以上の人命を奪ったと言われる。ホロコーストをひとつの頂点として、ホロドモールやポル・ポト派による虐殺、ユーゴスラヴィア、ルワンダの虐殺にいたる無数の悲劇はいかなる人びとにより、いかにして実行されたのか。権力者の命令で、あるいは自ら進んで大量殺戮に従事した人びとの置かれた状況と、彼らを殺戮へと駆り立てる方法を社会学的に分析する。
アブラム・デ・スワーン(デ スワーン アブラム)
(Abram de Swaan)
1942年、オランダに生まれる。アムステルダム大学名誉教授、社会学者。アムステルダム社会科学研究所の共同設立者であり、1987年より同所所長、会長を歴任。コーネル大学、コロンビア大学でも客員教授として教鞭を執り、著書は十数か国で翻訳されている。著書にIn Care of the State (1988), The Management of Normality (1990)などがある。
大平 章(オオヒラ アキラ)
1949年、広島に生まれる。1972年、早稲田大学第一文学部英文科卒業。1980年、同大学大学院文学研究科英文学専攻博士課程満期修了。早稲田大学教授。著書に『ノルベルト・エリアスの全体像』(2018年)、訳書にエリアス『シンボルの理論』(2017年)『エリアス回想録』(2017年)などがある。
※上記内容は本書刊行時のものです。 序 文
第一章 序論
第二章 普通の加害者と近代性──状況に条件づけられた合意
エルサレムのアイヒマン──悪の陳腐化
ミルグラムによる、苦痛を与える実験とそのあいまいな結果
普通の人間もしくは普通のドイツ人
大量虐殺と近代性
第三章 同一化と非同一化の広がる輪
同一化、非同一化、および集団形成
原始的同一化──類似性と近接性
出現する国民国家と拡大する一体化の輪
無知と無関心、一体化と非一体化
第四章 人間の歴史における暴力の変容
暴力の前史
歴史における大量虐殺
第五章 ルワンダ──自己破壊的な破滅
植民地主義によって構築されるフツ族とツチ族の分割
他者認識に関するエピソード
フツ族とツチ族──個人的な一体化から一般的な非一体化へ
幻想の結集
ルワンダにおける集団虐殺
第六章 集団虐殺の体制と社会の区分化
国家形成と集団虐殺体制
区分化
大量虐殺の四つの方法
第七章 大量虐殺の四つの方法──事例の歴史
征服者の逆上
帝国主義の大量虐殺
入植者が行った殺戮
メキシコ革命における殺戮
東部戦線の陰で行われたナチスによる大量絶滅
恐怖による支配
ソビエト連邦
中 国
北朝鮮
一九六五年のインドネシアの大量殺人
グアテマラにおける原住民の大量殺人
敗北者の勝利──受動性から能動性へ
トルコによるアルメニア人の絶滅
ナチス・ドイツふたたび──最終解決
バングラデシュにおけるパキスタンの大量殺人
クメール・ルージュとカンボディアにおける大量絶滅
ユーゴスラヴィアの崩壊
メガポグロム
ドイツの敗北以後、中欧で起きた大量追放と大量殺人
独立と分離以後のインドとパキスタンにおける共同体の殺戮
第八章 集団虐殺の犯人と人格の区分化
共有される記憶、集団的精神性、および非文明化
社会的脈絡における集団虐殺の状況
犯人と他の普通の人々──その違い
気の進まない犯人、冷淡な犯人、熱心な犯人
犯人と他の普通の人々──良心・発動力・共感
精神化と精神化不全──共感とその欠如
「殺人区画」における「精神化不全」
集団虐殺のあとの集団虐殺者
結 語
第九章 結論
訳 註
訳者あとがき
文献一覧
事項索引
人名索引
第一章 序論
第二章 普通の加害者と近代性──状況に条件づけられた合意
エルサレムのアイヒマン──悪の陳腐化
ミルグラムによる、苦痛を与える実験とそのあいまいな結果
普通の人間もしくは普通のドイツ人
大量虐殺と近代性
第三章 同一化と非同一化の広がる輪
同一化、非同一化、および集団形成
原始的同一化──類似性と近接性
出現する国民国家と拡大する一体化の輪
無知と無関心、一体化と非一体化
第四章 人間の歴史における暴力の変容
暴力の前史
歴史における大量虐殺
第五章 ルワンダ──自己破壊的な破滅
植民地主義によって構築されるフツ族とツチ族の分割
他者認識に関するエピソード
フツ族とツチ族──個人的な一体化から一般的な非一体化へ
幻想の結集
ルワンダにおける集団虐殺
第六章 集団虐殺の体制と社会の区分化
国家形成と集団虐殺体制
区分化
大量虐殺の四つの方法
第七章 大量虐殺の四つの方法──事例の歴史
征服者の逆上
帝国主義の大量虐殺
入植者が行った殺戮
メキシコ革命における殺戮
東部戦線の陰で行われたナチスによる大量絶滅
恐怖による支配
ソビエト連邦
中 国
北朝鮮
一九六五年のインドネシアの大量殺人
グアテマラにおける原住民の大量殺人
敗北者の勝利──受動性から能動性へ
トルコによるアルメニア人の絶滅
ナチス・ドイツふたたび──最終解決
バングラデシュにおけるパキスタンの大量殺人
クメール・ルージュとカンボディアにおける大量絶滅
ユーゴスラヴィアの崩壊
メガポグロム
ドイツの敗北以後、中欧で起きた大量追放と大量殺人
独立と分離以後のインドとパキスタンにおける共同体の殺戮
第八章 集団虐殺の犯人と人格の区分化
共有される記憶、集団的精神性、および非文明化
社会的脈絡における集団虐殺の状況
犯人と他の普通の人々──その違い
気の進まない犯人、冷淡な犯人、熱心な犯人
犯人と他の普通の人々──良心・発動力・共感
精神化と精神化不全──共感とその欠如
「殺人区画」における「精神化不全」
集団虐殺のあとの集団虐殺者
結 語
第九章 結論
訳 註
訳者あとがき
文献一覧
事項索引
人名索引