日本史学が蓄積してきた研究は、豊かな土壌を形成する一方で、「通説」という枷をも生み出した。「通説」を再生産しながら細分化する研究のありようを克服するには、研究史と時代認識を疑い、見過ごされてきた小さな史実を丹念に掘り起こさなければならない。土地制度や資源利用のあり方など、社会の基盤をなす時代と地域の特殊性にまなざしを向け、「通説」に縛られた歴史像に楔を打ち込む、先鋭的な論集(全2巻)。
荒武 賢一朗(アラタケ ケンイチロウ)
1972年生.関西大学大学院文学研究科博士後期課程修了.東北大学東北アジア研究センター准教授.日本近世史.『近世史研究と現代社会──歴史研究から現代社会を考える』(編著,清文堂出版,2011年),『屎尿をめぐる近世社会──大坂地域の農村と都市』(清文堂出版,2015年).
太田 光俊(オオタ ミツトシ)
1978年生.大阪大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得満期退学.三重県総合博物館学芸員.織豊期の研究,三重県周辺の地域を素材とした歴史研究.「中世・部会報告 大坂退去から見た織豊期本願寺教団の構造」(『ヒストリア』第218号),「豊臣期本願寺の吏僚──益田少将発給文書から」(『織豊期研究』第11号).
木下 光生(キノシタ ミツオ)
1973年生.大阪大学大学院文学研究科博士後期課程修了.奈良大学文学部准教授.日本近世の貧困史研究.「村の「貧困」「貧農」と日本近世史研究」(『奈良史学』第29号),「働き方と自己責任を問われる賤民たち」(荒武賢一朗編『近世史研究と現代社会』清文堂出版,2011年).
※上記内容は本書刊行時のものです。第二巻
序章(荒武賢一朗・太田光俊・木下光生)
第一部 社会秩序の構築
古代中世における自然大災害と社会の転換(市村高男)
──復旧・復興過程に着目した視点の提示
中世仏教史の〈分水嶺〉(大田壮一郎)
──ポスト「顕密体制」を探る
〈障害者〉への眼差し(高野信治)
──近世日本の人間観という観点から
商人と権力が交差する都市(荒武賢一朗)
──近世後期の大坂を事例として
土地丈量からみる近世・近代の土地把握(矢野健太郎)
第二部 生業と資源利用
江戸時代における百姓生業の多様性・柔軟性と村社会(平野哲也)
近世後期における災害と資源利用(高橋陽一)
──飢饉と温泉
漁業史研究と水産資源変動(高橋美貴)
──資源保全史の再考から環境史研究へ
序章(荒武賢一朗・太田光俊・木下光生)
第一部 社会秩序の構築
古代中世における自然大災害と社会の転換(市村高男)
──復旧・復興過程に着目した視点の提示
中世仏教史の〈分水嶺〉(大田壮一郎)
──ポスト「顕密体制」を探る
〈障害者〉への眼差し(高野信治)
──近世日本の人間観という観点から
商人と権力が交差する都市(荒武賢一朗)
──近世後期の大坂を事例として
土地丈量からみる近世・近代の土地把握(矢野健太郎)
第二部 生業と資源利用
江戸時代における百姓生業の多様性・柔軟性と村社会(平野哲也)
近世後期における災害と資源利用(高橋陽一)
──飢饉と温泉
漁業史研究と水産資源変動(高橋美貴)
──資源保全史の再考から環境史研究へ
[著者紹介](執筆順)
市村 高男(イチムラ タカオ)
1951年生.東京都立大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学.高知大学教育研究部総合科学系教授.日本中世史.『戦争の日本史』第10巻「東国の戦国合戦」(吉川弘文館,2009年),『中世宇都宮氏の世界──下野・豊前・伊予の時空を翔る』(編著,彩流社,2013年).
大田 壮一郎(オオタ ソウイチロウ)
1976年生.大阪大学大学院文学研究科博士後期課程修了.奈良大学文学部准教授.日本中世史,日本宗教史.『室町幕府の政治と宗教』(塙書房,2014年),「摂津国箕面寺(瀧安寺)の復興と修験道本山派──霊場から聖地へ」(光華会編『光華会宗教研究論集』第4巻,永田文昌堂,2013年).
高野 信治(タカノ ノブハル)
1957年生.九州大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学.九州大学大学院比較社会文化研究院教授.日本近世史.『大名の相貌──時代性とイメージ化』(シリーズ士の系譜1,清文堂出版,2014年),『武士の奉公 本音と建前──江戸時代の出世と処世術』(歴史文化ライブラリー393,吉川弘文館,2015年).
矢野 健太郎(ヤノ ケンタロウ)
1975年生.九州大学人文科学府博士課程単位取得退学.島根県教育庁文化財課主任研究員.日本近世史,地租改正史.「明治初期山口県の地域財政の再編」(『地方史研究』第319号).
平野 哲也(ヒラノ テツヤ)
1968年生.筑波大学大学院博士課程歴史・人類学研究科単位取得退学.常磐大学人間科学部准教授.日本近世史,村落史.『江戸時代村社会の存立構造』(御茶の水書房,2004年),「V 近世」(木村茂光編『日本農業史』吉川弘文館,2010年).
高橋 陽一(タカハシ ヨウイチ)
1977年生.東北大学大学院文学研究科博士後期課程修了.東北大学東北アジア研究センター助教.日本近世史.『湯けむり復興計画──江戸時代の飢饉を乗り越える』(蕃山房,2014年),「一八世紀の検見制度改革と藩領社会──仙台藩を事例に」(『歴史』第122輯).
高橋 美貴(タカハシ ヨシタカ)
1966年生.東北大学大学院文学研究科博士課程後期修了.東京農工大学大学院農学府准教授.日本近世史,近世・近代漁業史.『「資源繁殖の時代」と日本の漁業』(山川出版社,2007年),『近世・近代の水産資源と生業──保全と繁殖の時代』(吉川弘文館,2013年).
市村 高男(イチムラ タカオ)
1951年生.東京都立大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学.高知大学教育研究部総合科学系教授.日本中世史.『戦争の日本史』第10巻「東国の戦国合戦」(吉川弘文館,2009年),『中世宇都宮氏の世界──下野・豊前・伊予の時空を翔る』(編著,彩流社,2013年).
大田 壮一郎(オオタ ソウイチロウ)
1976年生.大阪大学大学院文学研究科博士後期課程修了.奈良大学文学部准教授.日本中世史,日本宗教史.『室町幕府の政治と宗教』(塙書房,2014年),「摂津国箕面寺(瀧安寺)の復興と修験道本山派──霊場から聖地へ」(光華会編『光華会宗教研究論集』第4巻,永田文昌堂,2013年).
高野 信治(タカノ ノブハル)
1957年生.九州大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学.九州大学大学院比較社会文化研究院教授.日本近世史.『大名の相貌──時代性とイメージ化』(シリーズ士の系譜1,清文堂出版,2014年),『武士の奉公 本音と建前──江戸時代の出世と処世術』(歴史文化ライブラリー393,吉川弘文館,2015年).
矢野 健太郎(ヤノ ケンタロウ)
1975年生.九州大学人文科学府博士課程単位取得退学.島根県教育庁文化財課主任研究員.日本近世史,地租改正史.「明治初期山口県の地域財政の再編」(『地方史研究』第319号).
平野 哲也(ヒラノ テツヤ)
1968年生.筑波大学大学院博士課程歴史・人類学研究科単位取得退学.常磐大学人間科学部准教授.日本近世史,村落史.『江戸時代村社会の存立構造』(御茶の水書房,2004年),「V 近世」(木村茂光編『日本農業史』吉川弘文館,2010年).
高橋 陽一(タカハシ ヨウイチ)
1977年生.東北大学大学院文学研究科博士後期課程修了.東北大学東北アジア研究センター助教.日本近世史.『湯けむり復興計画──江戸時代の飢饉を乗り越える』(蕃山房,2014年),「一八世紀の検見制度改革と藩領社会──仙台藩を事例に」(『歴史』第122輯).
高橋 美貴(タカハシ ヨシタカ)
1966年生.東北大学大学院文学研究科博士課程後期修了.東京農工大学大学院農学府准教授.日本近世史,近世・近代漁業史.『「資源繁殖の時代」と日本の漁業』(山川出版社,2007年),『近世・近代の水産資源と生業──保全と繁殖の時代』(吉川弘文館,2013年).