遠隔地交易の発展と商業都市の勃興にともない、富をなす事業家、銀行家が次々に現れた中世後期ヨーロッパ。しかし、教会法はウスラ=利子をむさぼる行為を許されざる大罪とみなしていた。ウスラをめぐる聖職者達の言葉と、メディチ家の巨人コジモの生涯をたどり、そのパトロネージに秘められた贖罪の悲願を明らかにする。
西藤 洋(ニシフジ ヒロシ)
1943年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒業、同大学大学院経済学研究科博士後期課程中退。成蹊大学名誉教授。著書に『枢機卿ベッラルミーノの手紙──科学思想史への一つの扉』(未來社、2012年)。
※上記内容は本書刊行時のものです。 はじめに
第一章 ウスラをむさぼる者を待ち受けているのは
一 永遠の死を招く大罪
二 時間を盗む者
三 ゆるされることがあるとすれば
四 キリスト教徒としての埋葬の拒否
五 地獄、その第七の圏谷
第二章 宥恕されうる利得、されえない利得
一 消費貸借、使用貸借、ソキエタス
二 ウスラをめぐるトマス・アクィナスの理解
三 返済の遅滞と逸失利益への補償
四 ソキエタスからの利益──トマス・アクィナスの理解
五 教会法学者の逡巡
六 シエナのベルナルディーヌスとフィレンツェのアントニーヌス
七 新たな生き様解放への一歩
第三章 十三、十四世紀のフィレンツェとメディチの事業の創業
一 十三、十四世紀のフィレンツェ
二 ムジェッロからフィレンツェへ
三 メディチの事業の創業──ヴィエーリ・ディ・カンビオとジョヴァンニ・デ・メディチ
第四章 コジモの追放、帰還とメディチ・レジームの形成
一 フィレンツェからの追放と帰還
二 メディチ・レジームの形成
三 〈ローディの和〉
第五章 コジモの時代のメディチの事業(I)──その概容、組織、そしてひと
一 コジモの時代のメディチの事業
二 為替手形の引き受け
三 寄託とローマの拠点
四 事業組織の統轄と総支配人
第六章 コジモの時代のメディチの事業(II)──その収益は宥恕されうるものであったか?
一 ソキエタスから分配される利益
二 〈乾燥手形〉と〈初年度献上金〉の立て替え
三 寄託と危険の共有
四 〈教皇官房付き受寄者総代〉
第七章 コジモ・デ・メディチのパトロネージ
一 大パトロンの時代
二 富者コジモ
三 コジモ・デ・メディチのパトロネージ
第八章 それはつぐないの行為であったか?
一 大度量のひとコジモ
二 返還の容易なウスラと容易でないウスラ
三 それはつぐないの行為であったか?
四 コジモの胸中に去来したもの
結びにかえて──煉獄のコジモ
一 コジモは今、どこに?
二 第三の場、煉獄
三 煉獄のコジモ?
あとがき
初出一覧
引用・参考文献
人名索引
第一章 ウスラをむさぼる者を待ち受けているのは
一 永遠の死を招く大罪
二 時間を盗む者
三 ゆるされることがあるとすれば
四 キリスト教徒としての埋葬の拒否
五 地獄、その第七の圏谷
第二章 宥恕されうる利得、されえない利得
一 消費貸借、使用貸借、ソキエタス
二 ウスラをめぐるトマス・アクィナスの理解
三 返済の遅滞と逸失利益への補償
四 ソキエタスからの利益──トマス・アクィナスの理解
五 教会法学者の逡巡
六 シエナのベルナルディーヌスとフィレンツェのアントニーヌス
七 新たな生き様解放への一歩
第三章 十三、十四世紀のフィレンツェとメディチの事業の創業
一 十三、十四世紀のフィレンツェ
二 ムジェッロからフィレンツェへ
三 メディチの事業の創業──ヴィエーリ・ディ・カンビオとジョヴァンニ・デ・メディチ
第四章 コジモの追放、帰還とメディチ・レジームの形成
一 フィレンツェからの追放と帰還
二 メディチ・レジームの形成
三 〈ローディの和〉
第五章 コジモの時代のメディチの事業(I)──その概容、組織、そしてひと
一 コジモの時代のメディチの事業
二 為替手形の引き受け
三 寄託とローマの拠点
四 事業組織の統轄と総支配人
第六章 コジモの時代のメディチの事業(II)──その収益は宥恕されうるものであったか?
一 ソキエタスから分配される利益
二 〈乾燥手形〉と〈初年度献上金〉の立て替え
三 寄託と危険の共有
四 〈教皇官房付き受寄者総代〉
第七章 コジモ・デ・メディチのパトロネージ
一 大パトロンの時代
二 富者コジモ
三 コジモ・デ・メディチのパトロネージ
第八章 それはつぐないの行為であったか?
一 大度量のひとコジモ
二 返還の容易なウスラと容易でないウスラ
三 それはつぐないの行為であったか?
四 コジモの胸中に去来したもの
結びにかえて──煉獄のコジモ
一 コジモは今、どこに?
二 第三の場、煉獄
三 煉獄のコジモ?
あとがき
初出一覧
引用・参考文献
人名索引
書評掲載
「出版ニュース」(2015年10月中旬号)に紹介されました。
「週刊文春」(2015年10月29日 秋の特大号/鹿島茂氏・評)に紹介されました。