叢書・ウニベルシタス 1117
平等をめざす、バブーフの陰謀

四六判 / 854ページ / 上製 / 価格 9,020円 (消費税 820円) 
ISBN978-4-588-01117-7 C1310 [2020年06月 刊行]

内容紹介

著者はイタリア生まれでフランスに帰化した革命家。平等をめざし、自由で幸福で平和で持続する形態を社会に与えることをめざしたとされる、いわゆる「バブーフの陰謀」に加担。バブーフは処刑されたが、ブォナローティは処刑を免れ、30年後に亡命先で資料・証言を収集し本書を著した。あらゆる革命理論に多大な影響を与える重要文献。本篇と、裁判などの証拠資料も合わせた全訳。

著訳者プロフィール

フィリップ・ブォナローティ(ブォナローティ フィリップ)

(Philippe Buonarroti)
1761年イタリア・ピサ生まれ、1837年パリで没。洗礼時のフルネームはフィリッポ・ジュゼッペ・マリーア・ロドヴィーコ・ブォナローティFilippo Giuseppe Maria Lodovico Buonarrotiであった。フランス革命勃発後にコルシカ島で親仏派の革命運動に参加。1793年5月にフランスに帰化。 93年4月にはパリに赴き、ロベスピエールとも接触。オネーリアを統治する革命委員として当地で社会変革に、またイタリア民族統一に向けた拠点形成に努力。恐怖政治家と訴えられてパリに召喚、収監されたル・プレシ監獄でバブーフらと結びつき。釈放後、〈パンテオン・クラブ〉の設立に参加。「バブーフの陰謀」指導部(秘密総裁府)のひとりとして逮捕、ヴァンドーム裁判で流刑宣告。しかし、「殺人的風土」の地への流刑は免れ、97年から1801年までペレ島、オレロン島に、1806年からはジュネーヴに移り、カルボナリ党の活動への参加、フリーメーソン支部の結成など、秘密結社活動を続行。23年にはスイスから追放され、24年からブリュッセルに。当地で本書『陰謀』を執筆、28年に出版。30年7月革命の報せにパリに戻り、ブランキ、ルイ・ブランなど、またイタリア統一運動(リソルジメント)の指導者マッツィーニへの助言者。

田中 正人(タナカ マサト)

1944年生まれ。京都大学大学院法学研究科博士課程満期終了。愛知県立大学外国語学部(フランス学科)教授を経て、愛知大学法学部教授。愛知大学名誉教授。著書に、『1848 国家装置と民衆』(共著,ミネルヴァ書房,1985年)、『規範としての文化』(共著、平凡社、1990年)、『世界史大系 フランス史3』(共著、山川出版社、1995年)、訳書に,フーリエ『産業的共同社会的新世界』(『世界の名著 続8』、中央公論社、1974年),プーランツァス『ファシズムと独裁』(社会評論社、1978;批評社、1983年)、同『資本の国家─現代資本主義国家の諸問題』(ユニテ、1983年)、モラン『ソ連の本質──全体主義的複合体と新たな帝国』(法政大学出版局、1986年)、ボードリヤール『アメリカ──砂漠よ永遠に』(法政大学出版局、1988年)、レモン『フランス 政治の変容』(共訳、ユニテ、1995年)、シアパ『革命家グラッキュス・バブーフ伝』(彩流社、2019年)など。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

凡例

序言

第一章 革命の諸局面──テルミドールまで

第二章 平等擁護派──〈パンテオン・クラブ〉の創設と解散

第三章 秘密総裁府──設置とその組織

第四章 蜂起に向けて──警察隊の叛乱、そして山岳派との提携

第五章 蜂起直前──情勢判断と戦術会議

第六章 平等者の共和国──財産・労働共同体と人民主権

第七章 市民の共和主義的紐帯と統治機構

第八章 教 育──新しい社会道徳の涵養

第九章 蜂起後の施策。しかし密告による挫折

終 章 ヴァンドーム高等法廷

証拠書類篇:
証拠書類 1〜30

補足資料:
補足資料 1〜4

訳者解題
人名注解
関連略年表

書評掲載

「図書新聞」(2020年11月28日号/竹中幸史氏・評)に紹介されました。

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