江戸の食商い
知恵・洒落・粋の百花繚乱

四六判 / 318ページ / 並製 / 価格 2,750円 (消費税 250円) 
ISBN978-4-588-30054-7 C0039 [2025年06月 刊行]

内容紹介

江戸の町には大人気のそば・寿司・鰻・天ぷらをはじめ、庶民の腹を満たし暮らしを活気づける食の商いが溢れていた。米や野菜、豆腐や魚、味噌・醤油・油などの基本食材、茶や酒やさまざまな料理を販売するあまたの職業に光をあて、棒手振りや飴売り、七輪屋台、居酒屋文化、歌舞伎の仕出し、茶屋看板娘や料理番付までを豊富なカラー図版とコラムで描く。大好評『日本のお弁当文化』に続く好著!

著訳者プロフィール

権代 美重子(ゴンダイ ミエコ)

権代 美重子(ゴンダイ ミエコ)
1950年生まれ。大阪府立三国丘高校卒業。日本女子大学卒業、立教大学大学院修了(経営管理学修士)。(株)住友銀行秘書、日本航空(株)国際線客室乗務員・文化事業部講師を経て、1997年より(財)日本交通公社嘱託講師、国土交通省・観光庁・自治体の観光振興アドバイザーや委員を務める。2009年より横浜商科大学、文教大学、高崎経済大学の兼任講師(ホスピタリティ論、アーバンツーリズム、ライカビリティの心理と実践、他)。著書:『日本のお弁当文化──知恵と美意識の小宇宙』(法政大学出版局、2020年)、『新現代観光総論』(共著、学文社、2019)。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

はじめに

第1章 江戸のまちと人々の暮らし
1 「江戸」のまち
2 江戸に住む人々──町人は「家持」と「家守」だけ
3 庶民の住む長屋──「表店」と「裏店」
4 長屋の住人と暮らし

第2章 江戸から始まる食文化
1 一日二食から三食へ
2 江戸っ子自慢の白い飯──白米飯の主食化
3 流通システムの整備──魚河岸と青物市場
4 調味料の発達と普及

第3章 「棒手振り」の食商い
1 棒手振りの仕事
2 棒手振りの一日と生活
3 長屋の朝と振売り

第4章 明暦の大火と外食商いの登場
1 江戸の復興まちづくりと外食商いの登場
2 奈良茶飯屋の登場
3 手軽な惣菜店「煮売り屋」「菜屋」
4 屋台の登場

第5章 屋台から生まれた江戸四大名物料理
1 蕎 麦
2 鰻蒲焼
3 天麩羅
4 寿 司

第6章 初物狂騒曲
1 初物人気
2 熱狂的「初鰹」人気
3 初茄子一個一両なり?
4 初 茸
5 初物の幕府統制と促成栽培

第7章 季節の食商い
1 江戸の夏の食商い──まちなか
2 江戸の夏の食商い──水辺
3 江戸の冬の食商い──おやつ
4 江戸の冬の食商い──鍋料理屋

第8章 江戸の飴売り
1 人気の甘味「飴」
2 飴専門店「桐屋」「川口屋」
3 飴売りパフォーマンス

第9章 話題の看板娘、引き札、大道芸
1 話題のアイドル「看板娘」
2 話題の「引き札」
3 話題の「大道芸」

第10章 居酒屋繁盛記
1 居酒屋の登場
2 居酒屋商い
3 「豊島屋」の酒商い

第11章 歌舞伎と食商い
1 人気の歌舞伎見物
2 接待施設「芝居茶屋」
3 土間客と「かべす」の楽しみ
4 「万久」ブランド弁当「幕の内」
5 うなぎ飯

第12章 食で遊ぶ
1 読んで楽しい料理本の流行
2 順位をつけて楽しむ──「見立番付」の流行
3 飲食の量を競う「大酒大食大会」

第13章 高級料理茶屋「八百善」の繁栄
1 高級料理茶屋の登場
2 八百善の始まりと歴代の食商い
3 二代目善四郎──八百屋から一代で築いた年商二千両
4 四代目善四郎──八百善の全盛期
5 時代に咲く花

おわりに
参考文献
江戸時代 社会と食商い年表

【コラム】
①「江戸わずらい」と江戸庶民の食事
②「七輪」の普及と食商いの発達
③「土用の丑の日」と鰻
④「天ぷら」のはじまり
⑤江戸砂村の野菜の促成栽培
⑥江戸の夏商い「虫売り」
⑦「極暑あそび」
⑧彦根藩の牛肉味噌漬「反本丸」
⑨山東京伝の商才と「判じもの引き札」
⑩話題の「配置薬商法」
⑪江戸の酒事情
⑫投機人生「大久保今助」
⑬出版プロデューサー「甘泉堂和泉屋市兵衛」
⑭「八百善」と文化人

関連書籍

『日本のお弁当文化』
権代 美重子:著