地球のあらゆる海域に、規模も経済状況もさまざまに分布する幾千もの島々。それらがもつ遠隔性、狭小性、隔絶性、周辺性といった「島嶼性」ゆえの制約に光をあて、境界を限られた陸地ならではの自然と人間社会との関わりを、自然地理学および人文地理学の視点から総合的に描き出す。移民の政治やエスニシティ、ツーリズムの問題も扱った、グローバルな島嶼地理学の定評ある決定版!
スティーヴン・A.ロイル(ロイル スティーヴン ロイル スティーヴン アーサー)
(Stephen A. Royle)
1952年イングランド生まれ。ケンブリッジ大学セントジョンズカレッジで地理学を専攻し、レスター大学でPh.D.を取得。1975年から北アイルランド・ベルファストのクイーンズ大学で地理学を教える。現在は同大学名誉教授。アイルランド地理学協会会長など歴任。
本書のほか主な著書に、Enduring City: Belfast in the Twentieth Century(Boal, F.と共著.Blackstaff, 2006)、 The Company’s Island: St Helena, Company Colonies and the Colonial Endeavour(I.B.Tauris, 2007)、Islands: Nature and Culture(Reaktion Books, 2014)などがある。
中俣 均(ナカマタ ヒトシ)
1952年新潟県生まれ。1976年東京大学理学部卒。1980年東京大学大学院理学系研究科博士課程中退。島根大学助手、法政大学専任講師、同助教授を経て1993年法政大学文学部地理学科教授。現在、法政大学沖縄文化研究所所長、日本島嶼学会会長も務める。博士(理学)。専攻は文化地理学・島嶼地理学。主な編著書に、『国土空間と地域社会』(朝倉書店、2004年)、『空間の文化地理』(朝倉書店、2011年)、『渡名喜島──地割制と歴史的集落景観の保全』(古今書院、2014年)などがある。
※上記内容は本書刊行時のものです。謝 辞
第1章 島──その夢と現実
はじめに
島──その所在地と総数
島という概念
芸術的想像力のなかの島
夢の島
島と科学
島の現実
第2章 島──その形成と性質
島の分布と形成
火山性弧状列島/海洋上の島/大陸沿岸の島
島の生物地理学
島の生物種の危機/島の危機
第3章 島嶼性──そのプロセスと影響
隔絶性と辺境性
隔絶性という問題
資源としての隔絶性
あらゆるものから自由に/踏み石としての島/監獄としての島
戦略的立地/遠く離れた場所にある島
島の微力さ
資 源
すべての卵を一つのバスケットに/職業的複合性/資源と島の環境
第4章 島の過去
キリバスでもまたミレニアム
島のコネクション
防衛上の要点かつ踏み石としての島
チェスの駒としての島
クレタ島の場合
資源と職業的複合性の島
一八二一年のアラン諸島/原初的な共産制
第5章 島──人々と移住
人口と経済的調整
島からの出移民とその影響/アイルランドの島々からの出移民
他の出移民の場合
島への移住
キリバスの例/対照的なマーシャル諸島の例
島のエスニシティ
小さな島の人口──その将来像
第6章 コミュニケーションとサービス
コミュニケーション
輸 送/遠隔通信
サービス
小売業/行政サービス
健康と保健制度
島での医療供給制度
教 育
第7章 政治と小さな島々
島の微力さ
フォークランド諸島の場合/内部と外部の植民地主義
島──外部の支配と依存
島──冷戦と基地
島とその政治的地位
限定的なローカル自治/分割された島
領有が争われている島
“植民地”としての島
独立国家としての島
第8章 島で暮らすこと──現代の島の経済
資源への依存
ニューファンドランド島の事例
継続的な資源利用
フォークランド諸島の事例/タークス・カイコス諸島の事例
スケール問題の克服──規模拡大
島の生活協同組合/スケール問題の克服──規模縮小
スケール問題の克服──島のブランド化
オフショアファイナンス
島と世界労働市場
モーリシャスの事例/バタム島の事例
自己援助・外部からの援助・そしてMIRAB経済
結 論
第9章 夢の島──観光は島の問題解決への万能薬か?
序 論
島にとってのツーリズムがもたらす利益
ヘルゴラント島の事例/商品・サービス・そして雇用
観光客輸送とクルージング/夢の島と他の魅力
島という状況でのツーリズムの問題点
過度の特化の危険性/マヨルカ島の事例/環境へのツーリズムの影響
島の社会へのツーリズムの影響/ツーリズムが伝統的な島の経済に与える影響
クルサック島の事例
結 論
第10章 結論──セントヘレナ島、再び表舞台に
序 論
セントヘレナ島の地質とエコシステム
人口と経済の歴史──島の物語
現在の経済的状況──大西洋のMIRAB国家
微力さ
孤 立
スケールと依存
隔絶性の利益──監獄としての島
結論──セントヘレナ島、再び表舞台に
訳者あとがき
参考文献
島名索引
第1章 島──その夢と現実
はじめに
島──その所在地と総数
島という概念
芸術的想像力のなかの島
夢の島
島と科学
島の現実
第2章 島──その形成と性質
島の分布と形成
火山性弧状列島/海洋上の島/大陸沿岸の島
島の生物地理学
島の生物種の危機/島の危機
第3章 島嶼性──そのプロセスと影響
隔絶性と辺境性
隔絶性という問題
資源としての隔絶性
あらゆるものから自由に/踏み石としての島/監獄としての島
戦略的立地/遠く離れた場所にある島
島の微力さ
資 源
すべての卵を一つのバスケットに/職業的複合性/資源と島の環境
第4章 島の過去
キリバスでもまたミレニアム
島のコネクション
防衛上の要点かつ踏み石としての島
チェスの駒としての島
クレタ島の場合
資源と職業的複合性の島
一八二一年のアラン諸島/原初的な共産制
第5章 島──人々と移住
人口と経済的調整
島からの出移民とその影響/アイルランドの島々からの出移民
他の出移民の場合
島への移住
キリバスの例/対照的なマーシャル諸島の例
島のエスニシティ
小さな島の人口──その将来像
第6章 コミュニケーションとサービス
コミュニケーション
輸 送/遠隔通信
サービス
小売業/行政サービス
健康と保健制度
島での医療供給制度
教 育
第7章 政治と小さな島々
島の微力さ
フォークランド諸島の場合/内部と外部の植民地主義
島──外部の支配と依存
島──冷戦と基地
島とその政治的地位
限定的なローカル自治/分割された島
領有が争われている島
“植民地”としての島
独立国家としての島
第8章 島で暮らすこと──現代の島の経済
資源への依存
ニューファンドランド島の事例
継続的な資源利用
フォークランド諸島の事例/タークス・カイコス諸島の事例
スケール問題の克服──規模拡大
島の生活協同組合/スケール問題の克服──規模縮小
スケール問題の克服──島のブランド化
オフショアファイナンス
島と世界労働市場
モーリシャスの事例/バタム島の事例
自己援助・外部からの援助・そしてMIRAB経済
結 論
第9章 夢の島──観光は島の問題解決への万能薬か?
序 論
島にとってのツーリズムがもたらす利益
ヘルゴラント島の事例/商品・サービス・そして雇用
観光客輸送とクルージング/夢の島と他の魅力
島という状況でのツーリズムの問題点
過度の特化の危険性/マヨルカ島の事例/環境へのツーリズムの影響
島の社会へのツーリズムの影響/ツーリズムが伝統的な島の経済に与える影響
クルサック島の事例
結 論
第10章 結論──セントヘレナ島、再び表舞台に
序 論
セントヘレナ島の地質とエコシステム
人口と経済の歴史──島の物語
現在の経済的状況──大西洋のMIRAB国家
微力さ
孤 立
スケールと依存
隔絶性の利益──監獄としての島
結論──セントヘレナ島、再び表舞台に
訳者あとがき
参考文献
島名索引
書評掲載
「出版ニュース」(2018年10月中旬号)に紹介されました。
「産經新聞」(2018年12月2日付/中条潮氏・評)に紹介されました。
「人文地理」(2018年第70巻4号/須山聡氏・評)に紹介されました。