16世紀末にフィレンツェで誕生した「オペラ」。その黎明期には、音楽を用いた舞台芸術の制作・上演にかかわるすべてを裏方で統括し、オペラの成立に決定的に貢献した知られざる役職「コラーゴ」の存在があった。同時代の書簡や文献を渉猟し、音楽劇の萌芽と発展を考えるうえで欠かせない「コラーゴ」の実態に初めて焦点をあてる。従来のオペラ誕生史の空白を埋め、西洋音楽史研究を刷新する労作。
萩原 里香(ハギハラ リカ)
萩原 里香(ハギハラ リカ)
石川県出身。日本大学芸術学部音楽学科音楽理論コース卒業、芸術学部長賞受賞。東京藝術大学大学院音楽研究科音楽文化学専攻音楽文芸修士課程、及び博士後期課程修了。博士(学術)。博士在学中にイタリア政府給費奨学生としてボローニャ大学へ留学(2011~2013年度)。東京藝術大学声楽科教育研究助手等を経て、現在、武蔵野音楽大学、横浜市立大学、日伊学院にて非常勤講師。早稲田大学総合研究機構オペラ/音楽劇研究所招聘研究員。専門は音楽学(西洋音楽史、イタリア・オペラ、リブレット、イタリア語)。
はじめに
序 章 コラーゴとは何か
第1節 音楽劇前史とコラーゴ
第2節 『コラーゴ──よき舞台を作るための考察』
1 写本“Il Chorago”
2 不詳の著者について
3 コラーゴの語源
4 コラーゴの定義
第1部 コラーゴの歴史
第1部の概要
第1章 レオーネ・デ・ソンミ
第1節 レオーネ・デ・ソンミの生い立ちと活動
第2節 コラーゴとしてのレオーネ・デ・ソンミ
第3節 『上演芸術に関する四つの対話』の写本
1 執筆時期
2 概要
第4節 『上演芸術に関する四つの対話』から読み取れるデ・ソンミの仕事
1 作家として
2 役者の選出と教育
3 衣装家として
4 ステージマネージャーとして
5 照明デザイナーとして
第5節 ムツィオ・マンフレーディからの依頼
第2章 アンジェロ・インジェニェーリ
第1節 アンジェロ・インジェニェーリの生い立ちと活動
第2節 アッカデーミア・オリンピカとアンジェロ・インジェニェーリ
第3節 コラーゴとしてのアンジェロ・インジェニェーリ
第4節 『劇詩についておよび寓話を上演する方法』とコラーゴの仕事
1 第一部:台本選考者(意見陳述者)として──作家たちへの助言
2 第二部:上演するための三つの要素
2‐1 舞台装置について
2‐2 演技について
2‐3 音楽について
第3章 エミーリオ・デ・カヴァリエーリ
第1節 エミーリオ・デ・カヴァリエーリの生い立ちと活動
第2節 コラーゴとしてのエミーリオ・デ・カヴァリエーリ
1 一五八九年「フェルディナンド・デ・メディチの婚礼」
2 作曲家として
3 コレオグラファーとして
4 カヴァリエーリの役割
第3節 一六〇〇年《魂と肉体の劇》
1 作品の独自性
2 出版譜の序文等
第4章 エンツォ・ベンティヴォッリオ
第1節 エンツォ・ベンティヴォッリオの生い立ちと活動
第2節 一六一七~一六一九年「コジモ・デ・メディチ歓待計画」
1 エンツォ・ベンティヴォッリオとファルネーゼ家の関係
2 劇場について
3 台本について
4 音楽について
5 プロジェクトの中止、政略結婚に向けて
第3節 一六二七~一六二八年「オドアルド・ファルネーゼの婚礼」
1 台本について
2 劇場について
3 音楽について
3‐1 クラウディオ・モンテヴェルディの音楽
3‐2 歌い手の選出
第4節 采配者としてのコラーゴ
第1部の総括──コラーゴ職の成立
エンツォ・ベンティヴォッリオの新奇性
第2部 舞台芸術の虚構と真実性
第2部の概要
第5章 音楽劇の不自然さ
第1節 「真実らしさ」という概念
第2節 不自然さの問題
第3節 スティーレ・レチタティーヴォ
1 三つの舞台表現法
2 音楽に合わせた三つの表現法
第6章 「真実らしさ」を重視した作品づくり
第1節 真実らしい対話のための作詩法
第2節 歌による会話がありえそうだと思える登場人物
第3節 真実らしさを生み出す題材
第4節 真実味に欠ける独白への対応
1 独白の導入例①(合唱とともに)
2 独白の導入例②(リトルネッロとともに)
第5節 真実味のある語りを実現するために作曲家が気をつけるべきこと
第7章 真実味のある舞台のために
第1節 楽器の使用と配置
第2節 真実味のある演技
第3節 合唱隊の存在が作り出す真実味
第4節 舞台装置が作り出す真実らしさ
1 真実味のあるプロシェーニオの想定
2 遠近法
第5節 真実らしさを引き出す衣装・化粧
第2部の総括──歌う劇を自然なものにすること
音楽劇特有の「真実らしさ」と「驚異」に対する認識
終 章 「コラーゴ」を通すことで新しく見えてくる歴史的側面
オペラ誕生と発展における「アッカデーミア」の貢献
文化としての音楽劇の浸透
あとがき
図版出典
参考文献
註
事項索引
人名索引
ゴンザーガ家系図
ベンティヴォッリオ家系図
エステ家系図
ファルネーゼ家系図
序 章 コラーゴとは何か
第1節 音楽劇前史とコラーゴ
第2節 『コラーゴ──よき舞台を作るための考察』
1 写本“Il Chorago”
2 不詳の著者について
3 コラーゴの語源
4 コラーゴの定義
第1部 コラーゴの歴史
第1部の概要
第1章 レオーネ・デ・ソンミ
第1節 レオーネ・デ・ソンミの生い立ちと活動
第2節 コラーゴとしてのレオーネ・デ・ソンミ
第3節 『上演芸術に関する四つの対話』の写本
1 執筆時期
2 概要
第4節 『上演芸術に関する四つの対話』から読み取れるデ・ソンミの仕事
1 作家として
2 役者の選出と教育
3 衣装家として
4 ステージマネージャーとして
5 照明デザイナーとして
第5節 ムツィオ・マンフレーディからの依頼
第2章 アンジェロ・インジェニェーリ
第1節 アンジェロ・インジェニェーリの生い立ちと活動
第2節 アッカデーミア・オリンピカとアンジェロ・インジェニェーリ
第3節 コラーゴとしてのアンジェロ・インジェニェーリ
第4節 『劇詩についておよび寓話を上演する方法』とコラーゴの仕事
1 第一部:台本選考者(意見陳述者)として──作家たちへの助言
2 第二部:上演するための三つの要素
2‐1 舞台装置について
2‐2 演技について
2‐3 音楽について
第3章 エミーリオ・デ・カヴァリエーリ
第1節 エミーリオ・デ・カヴァリエーリの生い立ちと活動
第2節 コラーゴとしてのエミーリオ・デ・カヴァリエーリ
1 一五八九年「フェルディナンド・デ・メディチの婚礼」
2 作曲家として
3 コレオグラファーとして
4 カヴァリエーリの役割
第3節 一六〇〇年《魂と肉体の劇》
1 作品の独自性
2 出版譜の序文等
第4章 エンツォ・ベンティヴォッリオ
第1節 エンツォ・ベンティヴォッリオの生い立ちと活動
第2節 一六一七~一六一九年「コジモ・デ・メディチ歓待計画」
1 エンツォ・ベンティヴォッリオとファルネーゼ家の関係
2 劇場について
3 台本について
4 音楽について
5 プロジェクトの中止、政略結婚に向けて
第3節 一六二七~一六二八年「オドアルド・ファルネーゼの婚礼」
1 台本について
2 劇場について
3 音楽について
3‐1 クラウディオ・モンテヴェルディの音楽
3‐2 歌い手の選出
第4節 采配者としてのコラーゴ
第1部の総括──コラーゴ職の成立
エンツォ・ベンティヴォッリオの新奇性
第2部 舞台芸術の虚構と真実性
第2部の概要
第5章 音楽劇の不自然さ
第1節 「真実らしさ」という概念
第2節 不自然さの問題
第3節 スティーレ・レチタティーヴォ
1 三つの舞台表現法
2 音楽に合わせた三つの表現法
第6章 「真実らしさ」を重視した作品づくり
第1節 真実らしい対話のための作詩法
第2節 歌による会話がありえそうだと思える登場人物
第3節 真実らしさを生み出す題材
第4節 真実味に欠ける独白への対応
1 独白の導入例①(合唱とともに)
2 独白の導入例②(リトルネッロとともに)
第5節 真実味のある語りを実現するために作曲家が気をつけるべきこと
第7章 真実味のある舞台のために
第1節 楽器の使用と配置
第2節 真実味のある演技
第3節 合唱隊の存在が作り出す真実味
第4節 舞台装置が作り出す真実らしさ
1 真実味のあるプロシェーニオの想定
2 遠近法
第5節 真実らしさを引き出す衣装・化粧
第2部の総括──歌う劇を自然なものにすること
音楽劇特有の「真実らしさ」と「驚異」に対する認識
終 章 「コラーゴ」を通すことで新しく見えてくる歴史的側面
オペラ誕生と発展における「アッカデーミア」の貢献
文化としての音楽劇の浸透
あとがき
図版出典
参考文献
註
事項索引
人名索引
ゴンザーガ家系図
ベンティヴォッリオ家系図
エステ家系図
ファルネーゼ家系図