叢書・ウニベルシタス 177
真理と方法 III
哲学的解釈学の要綱

四六判 / 334ページ / 上製 / 価格 4,180円 (消費税 380円) 
ISBN978-4-588-00177-2 C1310 [2012年11月 刊行]

内容紹介

西洋哲学史の伝統に根ざし、テクストの理解および世界認識の方法を独自の解釈学として深化させたガダマーの主著。歴史解釈における経験の媒体であり存在論の地平でもある〈言語〉に光を当てた第三部に、「解釈学と歴史主義」論文および「原著第三版あとがき」を併録。ディルタイやハイデガーの問題を受け継ぎ、20世紀後半の人文社会科学に画期をなした名著の邦訳、待望の完結。

著訳者プロフィール

H.-G.ガダマー(ガダマー ハンス ゲオルク)

(Hans-Georg Gadamer)
1900年マールブルク生まれの現代ドイツを代表する哲学者。マールブルク大学などで学び、1922年同大学でナートルプに師事し博士学位を、28年ハイデガーのもとで教授資格を取得。68年にハイデルベルク大学を退官するまで、マールブルク、ライプツィヒ、フランクフルト各大学の哲学教授を務め、占領下のライプツィヒ大学では学長の要職にあった。ハイデガー哲学の影響のもと、自身の古代哲学・近代哲学研究を生かし、主著『真理と方法』でロマン主義的・歴史主義的な解釈学を超える存在論的な“哲学的解釈学”を確立し現代思想界に多大な影響をあたえた。その後、精神科学論に限定されない世界経験論・言語論を展開し、またツェラーンなどの詩を解釈し、さらに適用論を実践哲学論として展開するなど、その解釈学を発展させ精錬した。「ガダマー著作集10巻」(J. C. B. Mohr)が刊行されている。邦訳書に、『真理と方法』『科学の時代における理性』『理論を讃えて』『詩と対話』『健康の神秘』『芸術の真理』『哲学の始まり』(以上、法政大学出版局)、『哲学・芸術・言語』『ヘーゲルの弁証法』『ガーダマー自伝──哲学修業時代』(以上、未來社)などがある。2002年3月ハイデルベルクにて死去。

轡田 收(クツワダ オサム)

1934年生まれ。1959年東京大学大学院修了。ドイツ文学専攻。慶応義塾大学、学習院大学教授を歴任、現在、学習院大学名誉教授。訳書:『挑発としての文学史』(岩波現代文庫)、イーザー『行為としての読書』(岩波モダンクラシックス)、プレッサー『書物の本』(法政大学出版局)、ハーバーマス『近代の哲学的ディスクルスⅡ』(共訳、岩波書店)ほか。

三浦 國泰(ミウラ クニヤス)

1948年生まれ。1971年北海道大学文学部独語・独文科卒業。同大学大学院修士課程、博士課程に学ぶ。ドイツ学術交流会(DAAD)給費生としてボン大学哲学部留学。ドイツ語学文学振興会奨励賞。現在、成蹊大学文学部教授。文学博士。専門はドイツ文学・芸術理論。訳書:ガダマー『健康の神秘』『芸術の真理』(以上、法政大学出版局)ほか。

巻田 悦郎(マキタ エツロウ)

1961年生まれ。1991年筑波大学大学院哲学・思想研究科修了。92-93年フンボルト財団奨励研究員(ハイデルベルク大学)。現在、東京理科大学准教授。訳書:ドゥット編『ガーダマーとの対話──解釈学・美学・実践哲学』(未來社)、ガダマー『詩と対話』、『真理と方法Ⅱ』(以上、法政大学出版局)ほか。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

凡例

第三部 言語を導きの糸とした解釈学の存在論的な転回
 第1節 解釈学的経験の媒体としての言語
  a 解釈学的な対象を規定するものとしての言語性
  b 解釈学の遂行を規定するものとしての言語性
 第2節 〈言語〉の概念に対する西洋思想史の刻印
  a 言語とロゴス
  b 言語とことば(verbum)
  c 言語と概念形成
 第3節 解釈学的存在論の地平としての言語
  a 世界経験としての言語
  b 言語という中間とその思弁的構造
  c 解釈学の普遍相

付論 I―VI
付録 解釈学と歴史主義
第三版あとがき

原注
訳注
訳者あとがき
全巻索引