叢書・ウニベルシタス 1031
中欧の詩学
歴史の困難
ISBN978-4-588-01031-6 C1310 [2015年08月 刊行]
ヨゼフ・クロウトヴォル(クロウトヴォル,J.)
(Josef Kroutvor)
1942年生まれ。父は靴小売業を営んでいたが、1948年の共産党政権成立後、店は没収される。高校卒業後、働きながらカレル大学哲学部で哲学・歴史学・芸術史を専攻。フランス・ブザンソン大学に留学後、プラハ工芸博物館に勤務。カフカにちなんだ“Josef K.”の筆名で、地下出版や亡命出版で執筆。1989年の「ビロード革命」後はウィーンに研究員として滞在、プラハ工芸大学やカレル大学で非常勤講師も務める。美術から文学まで幅広く論じる評論家であり、特に多民族・多文化地域としての中欧の文化に造詣が深い。
著書に『メドゥーサの首』(1985年)、『運命のカフェ──プラハとウィーンとパリの間』(1998年)、『私のマーハ』(2003年)、『フラバルとの出会い──回想とエッセイ』(2014年)などがある。その著作はドイツ語、フランス語、イタリア語などに訳されている。
石川 達夫(イシカワ タツオ)
1956年東京生まれ。東京大学文学部卒業。プラハ・カレル大学留学の後、東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。広島大学助教授、神戸大学教授を経て、現在、専修大学文学部教授・神戸大学名誉教授。スラヴ文化論専攻。
著書に『チェコ民族再生運動──多様性の擁護、あるいは小民族の存在論』(岩波書店、2010年)、『プラハのバロック──受難と復活のドラマ』(みすず書房、2015年)、『マサリクとチェコの精神──アイデンティティと自律性を求めて』(成文社、1995年、サントリー学芸賞および木村彰一賞受賞)、『黄金のプラハ──幻想と現実の錬金術』(平凡社選書、2000年)、『プラハ歴史散策──黄金の劇場都市』(講談社+α新書、2004年)など、訳書にヤン・パトチカ『歴史哲学についての異端的論考』(みすず書房、2007年)、カレル・チャペック『マサリクとの対話──哲人大統領の生涯と思想』(成文社、1993年)、ボフミル・フラバル『あまりにも騒がしい孤独』(松籟社、2007年)などがある。
──トランスナショナリティーとマージナリティー ──
まえがき──円卓の中欧
第 I 章 中欧の困難さ──アネクドートと歴史
第 II 章 実存の困難さ──神話とチェコ文学
第 III 章 第一次共和国の困難さと希望──概念と社交生活
第 IV 章 亡命の困難さ──逃走する知識人
第 V 章 文学の困難さ──物語と歴史
あとがき──アルマリウムと、もう少しの言葉
訳者あとがき
人名索引
書評掲載
「出版ニュース」(2015年9月下旬号)に紹介されました。