叢書・ウニベルシタス 707
われわれと他者 〈新装版〉
フランス思想における他者像

四六判 / 658ページ / 上製 / 価格 7,480円 (消費税 680円) 
ISBN978-4-588-14002-0 C1312 [2015年02月 刊行]

内容紹介

モンテスキュー、モンテーニュ、ルソーからレヴィ=ストロースにいたるフランスの思想家や作家たちは、人種や民族の問題をどのように捉えてきたか──彼らとの対話を通してその思想的系譜を仔細に検討し、人種差別や外国人排斥という近代の病理の淵源を探りつつ、現代世界に生きる人間の倫理を問う。

著訳者プロフィール

T.トドロフ(トドロフ ツヴェタン)

(Tzvetan Todorov)
1939年、ブルガリアに生まれる。1973年、フランスに帰化。ロラン・バルトの指導のもとに『小説の記号学』(67)を著して構造主義的文学批評の先駆をなす。『象徴の理論』(77)、『象徴表現と解釈』(78)、『言説の諸ジャンル』(78)、『批評の批評』(84)で文学の記号学的研究をすすめるかたわら、『他者の記号学──アメリカ大陸の征服』(82)以後、記号学的見地から〈他者〉の問題に関心を深め、『ミハイル・バフチン──対話の原理』(81)、『アステカ帝国滅亡記──インディオによる物語』(83)、『はかない幸福─ルソー』(85)、『われわれと他者』(89)、『極限に面して』(91)、『歴史のモラル』(91)、『フランスの悲劇』(94)、『共同生活』(95)、『異郷に生きる者』(96)、『未完の菜園』(98)、『悪の記憶・善の誘惑』(2000)、『越境者の思想』(02)、『イラク戦争と明日の世界』(03)、『絶対の冒険者たち』『啓蒙の精神』(06)などを刊行している。91年、『歴史のモラル』でルソー賞を受賞。

小野 潮(オノ ウシオ)

1955年宮城県に生まれる。東北大学大学院博士課程単位取得修了。中央大学文学部教授。19世紀フランス文学専攻。著書に『〈来るべき〉民主主義』(共著)、『グローバル化と文化の横断』(共著)など、訳書にL.フェリー/A.ルノー『68年の思想──現代の反 ?人間主義への批判』『68年? 86年 個人の道程』、トドロフ『バンジャマン・コンスタン』『越境者の思想』『異郷に生きる者』『文学が脅かされている』『ゴヤ 啓蒙の光の影で』、G.ティヨン『ジェルメーヌ・ティヨン』などがある。

江口 修(エグチ オサム)

1950年広島県に生まれる。東北大学大学院博士課程単位取得終了。現在小樽商科大学言語センター特任教授。16世紀フランス文学専攻。訳書にC.ベーネ/G.ドゥルーズ『重合』、M.ヤグェーロ『言語の夢想者』(共訳)、Th.パヴェル『ペルシャの鏡』、J.ドリュモー『罪と恐れ』(共訳)などがある。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

 序

第一章 普遍と相対
 自民族中心主義
 科学主義
 モンテーニュ
 相対主義の展開
 レヴィ=ストロース

第二章 人種
 人種と人種差別
 ゴビノー
 ルナン
 人種理論の道

第三章 国民
 国民とナショナリズム
 トクヴィル
 ミシュレ
 ルナンとバレス
 ペギー
 ナショナリズムがもたらしたもの

第四章 異国的なもの
 他者の正しい使用法
 シャトーブリアン
 ロチ
 セガレン
 近代の旅行者たち

第五章 中庸(モデラシオン)
 『ペルシャ人の手紙』
 『法の精神』
 穏やかな人間主義

 訳者あとがき
 人名索引
 参考文献

関連書籍

『越境者の思想』
T.トドロフ:著
『異郷に生きる者』
T.トドロフ:著
『外国人 〈新装版〉』
J.クリステヴァ:著
『他者の受容 〈新装版〉』
J.ハーバーマス:著
『他者の権利 〈新装版〉』
セイラ・ベンハビブ:著