叢書・ウニベルシタス 1034
他者のための一者
レヴィナスと意義
ISBN978-4-588-01034-7 C1310 [2015年10月 刊行]
ディディエ・フランク(フランク ディディエ)
(Didier Franck)
1947年パリ近郊ヌイイ生まれ。アグレガシオン、第三期博士号、国家博士号を取得。高等師範学校講師、トゥール大学教授等を経て、1996年よりパリ第十大学ナンテール校(現在はパリ西大学ナンテール/ラ・デファンス)教授を務め、2010年よりフランス大学協会会員、2015年9月よりパリ西大学名誉教授。同志社大学客員教授、日本学術振興会外国人招聘研究者、関西学院大学客員教授として2011年、2013年、2015年に来日。ジャン=リュック・マリオン、ジャン=フランソワ・クルティヌとともに1980年代以降のフランスでの現象学研究を牽引してきた一人であり、本書以外に、『現象学を超えて』、『ハイデッガーとキリスト教──黙せる対決』(いずれも萌書房)、『身体と物体──フッサール現象学について』、『ハイデガーと空間の問題』、『ニーチェと神の影』の著作がある。
米虫 正巳(コメムシ マサミ)
1967年大阪生まれ。大阪大学大学院文学研究科博士課程中退。博士(大阪大学)。関西学院大学文学部教授。専門はフランス哲学。論文に「出来事と存在──ドゥルーズとハイデガー」(『アルケー』第23号)、共著に『ドゥルーズ/ガタリの現在』(平凡社)、『エピステモロジー』(慶應義塾大学出版会)、共訳書にフランク『現象学を超えて』(萌書房)ほか。
服部 敬弘(ハットリ ユキヒロ)
1981年大阪生まれ。パリ西大学大学院博士課程修了。博士(同志社大学・パリ西大学)。日本学術振興会特別研究員(PD)。論文に、«La réception ambivalente de Fichte dans L’essence de la manifesta-tion»(Revue internationale de Michel Henry, no 6, 2015)、「行為の自由と感情の不自由──アンリにおける「倫理」の問題」(『倫理学研究』第42号、2012年)ほか。
※上記内容は本書刊行時のものです。第一章 問いのなかの問い=問いについての問い
第一節 ある問いからもう一つの問いへ=他者へ向けたある問いについて
第二節 主体は存在の関数でしかないのか
第二章 名詞、動詞、存在論的差異
第一節 動詞から名詞へ──同一化
第二節 命題の両義性──〈語られること〉と〈語ること〉
第三章 ある曝露からもう一つの曝露へ=他者への曝露について
第一節 意義性を賦与すること
第二節 ケノーシスと意義
第三節 方法としての激化
第四章 自己に反する唯一者
第一節 〈召喚された者〉の忍耐
第二節 推移と老化
第三節 拒絶不可能な=不変の〔格変化しない〕唯一性
第四節 善から存在へ
第五章 志向性なき感受性
第一節 感覚の麻痺
第二節 意義性としての心性
第三節 抗いえない=不可避な享受
第四節 正義の地位
第六章 魂と身体
第一節 意義のなかの地平
第二節 身体の賦活
第三節 諸々の魂の身体化=合体
第七章 接触と近しさ
第一節 最上級の近しさ
第二節 遺 物
第三節 世界の詩
第八章 意識の遅れ
第一節 近しさから主観性へ
第二節 接 触
第三節 前‐意識的過去
第九章 現象の欠損
第一節 自己自身に不在となる現前
第二節 全く別の戦慄
第三節 態度=容量の喪失と欲望
第四節 彼 性
第十章 痕跡から謎へ
第一節 〈汝〉の根底における〈彼〉
第二節 攪 乱
第三節 謎へ応答すること
第四節 倫理学と第一哲学
第十一章 自己の再帰性
第一節 無起源的強迫
第二節 自己の絶対的受動性
第三節 存在の外なる自己のうちへ追放されて
第十二章 絶対的対格
第一節 カテゴリーのドラマ
第二節 自我の〈存在からの‐超脱〉
第三節 自己との非同等性と同等性
第四節 開示性の誇張
第十三章 〈一人の他者のための一者〉と〈あらゆる他者のための一者〉
第一節 記号とその地平
第二節 〈受動=受難〉
第三節 メシア的自己性
第十四章 善──、存在と悪
第一節 聖書のなかにある見えないものと存在の彼方にある〈善〉
第二節 無責任と存在の遊び
第三節 エロスに瀕して存在すること
第十五章 自由と身代わり
第一節 自己から自由になること、存在から自由になること
第二節 存在の贖罪としての自由
第十六章 〈語ること〉の真摯さ
第一節 体系と主体
第二節 「われここに」
第三節 証 し
第十七章 神という語
第一節 無限者の賛美〔栄光化〕
第二節 預言──始源と仲介
第三節 語られることなしに意義を表すこと
第四節 〈語ること〉のための語
第十八章 言語の誤用
第一節 〈語られること〉から〈前言撤回〉へ
第二節 哲学的言説
第十九章 第三者の介在
第一節 デュオか、それともトリオか
第二節 非対称性の修正
第三節 出発点への回帰
第二十章 正義の時
第一節 近しさと正義の拒否〔裁判拒否〕
第二節 記号の重さと神の正義
第三節 三人称からもう一つの三人称=〔神という〕他者へ
第二十一章 存在の意味、あるいは無‐意味
第一節 イリヤ=ある(il y a)
第二節 無意義性の意義性
第三節 懐疑論とそれへの反駁
第二十二章 〈彼=それ〉 ?
第一節 第三者から神へ
第二節 対話者
第三節 ニヒリズムの果て=境界に
結論
解説 意味概念の拡張とニヒリズムの克服(服部敬弘)
訳者あとがき(米虫正巳)
原註
人名索引
書評掲載
「図書新聞」(2016年2月27日号/馬場智一氏・評)に紹介されました。