叢書・ウニベルシタス 1044
真理と正当化
哲学論文集
ISBN978-4-588-01044-6 C1310 [2016年06月 刊行]
J.ハーバーマス(ハーバーマス ユルゲン)
(Jürgen Habermas)
1929年ドイツのデュッセルドルフ生まれ。ゲッティンゲン,チューリヒ,ボンの各大学でドイツ文学,心理学,社会学,哲学を修め,56年フランクフルト社会研究所のアドルノの助手となり,フランクフルト学派第二世代としての歩みを始める。61年『公共性の構造転換』で教授資格を取得し,ハイデルベルク大学教授となる。64年フランクフルト大学教授,71年マックス・プランク研究所所長を歴任,82年以降はフランクフルト大学に戻り,ホルクハイマー記念講座教授を務め,94年退官。60年代末のガダマーらとの解釈学論争,ルーマンとの社会システム論争,さらに『コミュニケーション的行為の理論』(81)をはじめとする精力的な仕事,86年の歴史家論争以降の多方面にわたる社会的・政治的発言を通じて,ドイツ思想界をリードし,国際的にも大きな影響を与えてきた。2004 年11月には「京都賞」を受賞。主な著書に,『近代の哲学的ディスクルス』(85),『遅ればせの革命』(90),『討議倫理*』(91),『事実性と妥当性』(92),『他者の受容*』(96),『人間の将来とバイオエシックス*』(01),『引き裂かれた西洋*』(04),『自然主義と宗教の間*』(05),『ああ,ヨーロッパ』(08)などがある(*は小局刊)。
三島 憲一(ミシマ ケンイチ)
1942年生まれ。大阪大学名誉教授。専攻:社会哲学・ドイツ思想史。著書:『ベンヤミン──破壊・収集・記憶』(講談社学術文庫),『歴史意識の断層──理性批判と批判的理性のあいだ』『ニーチェ以後──思想史の呪縛を越えて』(以上,岩波書店),訳書:ハーバーマス『人間の将来とバイオエシックス』(法政大学出版局),レーヴィット『ヘーゲルからニーチェへ──十九世紀思想における革命的断絶(上下)』(岩波文庫)など。
大竹 弘二(オオタケ コウジ)
1974年生まれ。南山大学外国語学部ドイツ学科准教授。専攻:現代ドイツ政治理論・政治思想史。著書:『正戦と内戦──カール・シュミットの国際秩序思想』(以文社),『統治新論──民主主義のマネジメント』(共著,太田出版),訳書:デュットマン『思惟の記憶──ハイデガーとアドルノについての試論』(月曜社)同『友愛と敵対──絶対的なものの政治学』(共訳,月曜社)など。
木前 利秋(キマエ トシアキ)
1951年生まれ。大阪大学大学院人間科学研究科教授。専攻:社会思想・現代社会論・フランクフルト学派・批判理論。著書:『理性の行方──ハーバーマスと批判理論』『メタ構想力──ヴィーコ・マルクス・アーレント』(以上,未來社)。『ハーバーマスと現代』(共編,新評論)『葛藤するシティズンシップ──権利と政治』『変容するシティズンシップ──境界をめぐる政治』(以上,共編,白澤社)など。2013 年12 月逝去。
鈴木 直(スズキ タダシ)
1949年生まれ。東京経済大学経済学部教授。専攻:ドイツ思想史。著書:『マルクス思想の核心──21世紀の社会理論のために』(NHK出版),『輸入学問の功罪──この翻訳わかりますか?』(ちくま新書),訳書:ハーバーマス『ああ,ヨーロッパ』(共訳,岩波書店),同『引き裂かれた西洋』(共訳,法政大学出版局),シュトレーク『時間かせぎの資本主義──いつまで危機を先送りできるか』(みすず書房)など。
※上記内容は本書刊行時のものです。第一節 コミュニケーションか、叙述か?
第二節 内容とテーマ設定
第三節 超越論的な問題設定──プラグマティズム以後のゆくえ
第四節 結果として生じるふたつの問題──認識の客観性が脅かされ、世界と世界内的なものとの差異が消し去られること
第五節 弱い自然主義──カントとダーウィン以後
第六節 鏡像論をともなわない実在論
第七節 真理と正当化
第八節 合法性における進歩
第一部 解釈学から形式語用論へ
第一章 解釈学的哲学と分析哲学──言語論的転回のふたつの相互補完的バージョンについて
第一節
第二節
第三節
第二章 相互了解の合理性──コミュニケーション的合理性という概念に関するスピーチアクト理論からの解説
第一節 合理性の三つの根
第二節 言語使用の様相
第三節 コミュニケーション的行為対戦略的行為
第四節 コミュニケーション的合理性と言語による世界開示
第五節 付論 語用論的意味理論
第二部 間主観性と客観性
第三章 カントからヘーゲルへ──ロバート・ブランダムの言語語用論
第一節
第二節
第三節
第四節
第五節
第六節
第四章 脱超越論化の道──カントからヘーゲルへ、そしてヘーゲルからカントへ
第一節
第二節
第三節
第四節
第五節
第三部 ディスクルスと生活世界における真理
第五章 真理と正当化──リチャード・ローティの語用論的転回
第一節 プラトン主義的衝動に駆られた反プラトン主義者
第二節 語用論的転回
第三節 パラダイム固有の問題としてのコンテクスト主義と懐疑主義
第四節 真理と正当化
第五節 意味論的な真理概念と語用論的パースペクティヴ
第六節 語用論的パースペクティヴから見た認識論的真理概念
第七節 語用論的な真理概念
第八節 言語化された理性の自然化
第六章 価値と規範──ヒラリー・パトナムのカント的プラグマティズムへの注釈
第一節
第二節
第七章 「正当性」対「真理」──道徳的な判断と規範が当為として妥当することの意味について
第一節
第二節
第三節
第四節
第五節
第六節
第七節
第八節
第四部 哲学の限界
第八章 再び、理論と実践の関係について
訳者解説
訳者あとがき
人名索引
書評掲載
「出版ニュース」(2016年9月上旬号)にて紹介されました。
「週刊読書人」(2016年9月9日号/大河内泰樹氏・評)にて紹介されました。