叢書・ウニベルシタス 1077
ベラスケスのキリスト
ISBN978-4-588-01077-4 C1398 [2018年04月 刊行]
M.デ・ウナムーノ(ウナムーノ ミゲール デ)
(Miguel de Unamuno)
1864–1936。スペインを代表する哲学者、詩人。バスク地方出身。スペインの憂国の思想、文学、芸術グループである、九八年世代の指導者。オックスフォード大学名誉博士。読書家であり言語の名手であった父親の影響で、幼少から膨大な読書量をこなし、また言語に対する興味を培った。スペイン国内の内戦を幼少より経験、その憂国の思想を形成していった。マドリッド大学文・哲学部に入学し、バスクの起源に関する博士論文を提出。独学で言語を学び、ギリシャ語、ラテン語、ドイツ語、イタリア語、デンマーク語初め17ヶ国語を習得。その言語に対する深い教養が、ウナムーノの膨大な文学作品を生み出した。『ドン・キホーテとサンチョの生涯』で、独自のドン・キホーテ論を展開、その後も『生の悲劇的感情』、『詩集』、『ベラスケスのキリスト』、『霧』など、数々の作品を発表。大きな文学的名声を得て世界的に有名となる。また、36歳にして教授職を務めていたサラマンカ大学の総長に任命され、教育・文筆活動をより一層積極的に行う。1898年の米西戦争と、親交の厚かった憂国の思想家であり外交官のアンヘル・ガニベットの死をきっかけに、スペイン社会への問題提起を促し、またスペインとは何かという根本となる思想を追求し続けた。政治的理由から、サラマンカ大学総長を罷免され、また国外追放などを経験するも、『小説はいかにして作られるか』、『亡命詩集』などを発表。プリモ・デ・リベラ独裁政権が倒れてからスペインに帰国するが、再びフランコが独裁政権を取った後も、自らの反戦の姿勢を曲げることなく、亡くなるまで闘い続けた。
執行 草舟(シギョウ ソウシュウ)
1950年、東京都生まれ。立教大学法学部卒業。実業家、著述家、歌人。ウナムーノの哲学思想に深く影響を受け、独自の生命論を確立し、実業に生かしている。また、戸嶋靖昌記念館 館長、執行草舟コレクション主宰を務める。蒐集する美術品には、安田靫彦、白隠、東郷平八郎、南天棒、山口長男、平野遼等がある。洋画家 戸嶋靖昌とは、深い親交を結び、画伯亡きあと全作品を譲り受け、記念館を設立。駐日スペイン大使館等と協力の元、戸嶋靖昌の展覧会を実施。また、コレクションを千代田区麴町の展示フロアで公開している。
著書に、『「憧れ」の思想』『おゝポポイ!』(以上、PHP研究所)、『生くる』『友よ』『根源へ』(以上、講談社)、『孤高のリアリズム』『憂国の芸術』『生命の理念 Ⅰ/Ⅱ』(以上、講談社エディトリアル)、『魂の燃焼へ』(共著/イースト・プレス)、『耆に学ぶ』(共著/エイチエス)、『見よ銀幕に』(戸嶋靖昌記念館)等、また『情熱の哲学──ウナムーノと「生」の闘い』(佐々木孝著、法政大学出版局)を監修。日本菌学会終身会員。
安倍 三﨑(アベ ミサキ)
1980年、福井県生まれ。東京外国語大学スペイン語学科言語学コース卒業。在学中、セルバンテス、ガルシア・ロルカ等、スペイン文学に関し、牛島信明氏に師事。2年間のサラマンカ留学を経て、2002年、サラマンカ大学外国人コースにてスペイン政府によるスペイン語認定証最上級D.E.L.E. superior取得。現在、戸嶋靖昌記念館 主席学芸員。スペイン・ラテンアメリカ美術史研究会会員。駐日スペイン大使館、スペイン国営セルバンテス文化センターにて、スペインで画業を続けた洋画家 戸嶋靖昌の展覧会企画、運営に携わる。『情熱の哲学──ウナムーノと「生」の闘い』(佐々木孝著、法政大学出版局)内論文「ウナムーノと漱石」翻訳。佐々木孝、ホアン・マシアにウナムーノ研究師事。
※上記内容は本書刊行時のものです。ベラスケスのキリスト
─ Ⅰ ─
一 「しばしのちに、世は…」…
二 深き淵の頂より来たる風は…
三 魂の現前が、この肉体なのだ…
四 汝は何を考えておられるのか…
五 月
六 エッケ・ホモ
七 神なる闇
八 嵐のような苦痛の雲で覆われ…
九 血
十 人生は夢
十一 戦いの中の平和
十二 夜明け
十三 薔薇
十四 小川そして泉
十五 雲そして音楽
十六 小羊
十七 聖体
十八 葡萄酒
十九 亜麻
二十 鷲
二十一 黒い雲
二十二 獅子
二十三 雄牛
二十四 ケルビムそして巻物
二十五 門
二十六 百合
二十七 剣
二十八 壺
二十九 鳩
三十 乳
三十一 木
三十二 聖体の秘跡
三十三 舟
三十四 緒巻
三十五 階段
三十六 蛇
三十七 釘そして業
三十八 鹿
三十九 沈黙
─ Ⅱ ─
一 孤独
二 「成し遂げられた」…
三 海
四 焔
五 「私の霊を御手にゆだねます」…
六 魂と肉体
七 汝の友ラザロ…
八 ミカエル
九 汝の死んだ、その日の夕暮れに…
十 嵐
十一 裸
十二 秤
十三 王
十四 シナイからカルヴァリオの丘へ
─ Ⅲ ─
一 罪状書
二 冠
三 頭
四 髪
五 額
六 顔
七 目
八 耳
九 鼻
十 頬
十一 従順
十二 肉体
十三 胸
十四 空気
十五 骨格
十六 腕
十七 汝は、十字架に打ち付けられた…
十八 大地
十九 肩
二十 手
二十一 右手の人差し指
二十二 脇腹の傷
二十三 肚
二十四 下腹部
二十五 膝
二十六 足
二十七 支柱そして自然
─ Ⅳ ─
一 死
二 健全なる身体
三 言
四 反復説
五 真理
六 神の王国
七 愛の渇き
八 サドカイなるもの
最後の祈り
注 釈
引用聖句
解題 「夜明けに向かって」 【ホアン・マシア】
翻訳を終えて 【安倍三﨑】
文献一覧
ホアン・マシア(マシア、ホアン)
(Juan Masiá)
1941年生まれ。スペインの神学者、イエズス会司祭。マドリッド、コミーリャス大学でウナムーノ研究により哲学博士号取得。同大で生命倫理学研究所長も務めた。1966年に初来日、以降スペインと日本を行き来しながら、40年近く日本で活動。上智大学神学部で教授も務めた。世界宗教者平和会議で諸宗教間の協力と執筆活動に従事。『ウナムーノ著作集』(法政大学出版局、解説その他)、『ドン・キホーテの死生観──スペインの思想家ミゲル・デ・ウナムーノ』(教友社)、『ウナムーノ、オルテガの研究』、『ウナムーノ、オルテガ往復書簡』(A・マタイス共著、以文社)、『生命の哲学』(教友社)等。スペイン語への日本語文献翻訳書『法華経』、『小止観』、和辻哲郎『風土』、西田幾多郎『無の論理と宗教世界観』等。
書評掲載
「産経新聞」(2018年4月22日付/桑原聡氏・評)にて紹介されました。
「月刊美術」(No.513 2018年6月号)にて紹介されました。
「山形新聞」(2018年6月10日付/山本和弘氏・評)にて紹介されました。
「図書新聞」(2018年9月8日号/大楠栄三氏・評)に紹介されました。
「カトリック新聞」(2018年9月16日付)に紹介されました。