ヨーゼフ・フォーグル(フォーグル ヨーゼフ)
(Joseph Vogl)
1957年、ドイツのバイエルン州生まれ。ミュンヘン大学で文学、思想などを学び、1990年にミュンヘン大学より現代ドイツ文学研究で博士号、2001年にミュンヘン大学で教授資格を取得。2006年から、ベルリン・ヴィルヘルム・フォン・フンボルト大学哲学部教授。主な研究分野は、知の歴史と理論、金融・権力・リスクの現代史、ディスクールとメディア理論、18世紀から20世紀の文学史。映画監督のアレクサンダー・クルーゲとのさまざまなメディアを通しての対話でも知られている。主な著作に、フランツ・カフカを扱って、その世界から響きだす「暴力」の音色を解明しようとするOrt der Gewalt (diaphanes, 1990)、「ためらい」をキーワードとしてそれが「行為・行動」の歴史のなかで果たしてきた役割を多角的に論じるÜber das Zaudern (diaphanes, 2007)、金融資本主義社会における国家と市場の関係から「主権」、「統治」について論及したDer Souveränitätseffekt (diaphanes, 2015)などがある。クロード・レヴィ゠ストロースの『はるかなる視線』、ジャン゠フランソワ・リオタールの『文の抗争』、ジル・ドゥルーズの『差異と反復』や『フランシス・ベーコン 感覚の論理学』、ドゥルーズ/フェリックス・ガタリの『哲学とは何か』のドイツ語翻訳者でもある。
羽田 功(ハダ イサオ)
1954年生まれ。慶應義塾大学経済学部教授。専門は「ユダヤ人問題」。著書に、『禁忌の構造──フランツ・カフカとユダヤ人のプラハ』」(林道舎、1989年)、『洗礼か死か──ルター・十字軍・ユダヤ人』」(林道舎、1993年)、『雷文化論』(共著、慶應義塾大学出版会、2007年)、『ユダヤ人と国民国家──「政教分離」を再考する』(共著、岩波書店、2008年)など、翻訳に、エードゥアルト・フックス『ユダヤ人カリカチュア──風刺画に描かれた「ユダヤ人」』(柏書房、1993年)など、編著に、フォーグルが「資本と人種」を寄稿した『民族の表象』(慶應義塾大学出版会、2006年)がある。
※上記内容は本書刊行時のものです。第1章 ブラック・スワン
コズモポリス
資本主義の精神
銃の安全装置をはずす
描写の不可能性
当惑
オイコディツェー
第2章 市場の牧歌Ⅰ
社会物理学
個人の悪徳……
利益
見えざる手
経済的人間
自然主義
価格システム
第3章 資本の時代
均衡
競争
物理学主義
信用経済
イングランド銀行
一七九七年
アッシニア紙幣
銀行券
時間化
資本の使徒信条
第4章 市場の牧歌Ⅱ
金融経済の時代
新自由主義
先物取引
効率的市場
ランダム・ウォーク
数式
情報
新たなオイコディツェー
歴史の終わり
第5章 経済的再生産と社会的再生産
オイコノミアー
クレマティスティク
暗いエンテレケイア
無名の職業
貨幣と繁殖力
認知的資本
生の政策
経済帝国主義
金融サガ
第6章 断裂帯
手のつけられない領域
混乱した経験主義
歴史の領域
金融市場
流動性
臆見
フィードバック
不安定性理論
二〇〇七年以降
リソースとしての時間
未来からの帰還
オイコディツェーの終焉
日本語版へのあとがき:予測と挫折―─あるいは不思議なことに経済学のなかに神の存在証明が生き残っているということ
訳者あとがき
訳註
原註
参考文献
図版出典
書評掲載
「西日本新聞」(2019年2月9日付/梁木靖弘氏・評)に紹介されました。
「出版ニュース」(2019年3月上旬号)に紹介されました。
「三田評論」(2019年3月号 No.1231)に紹介されました。
「京都新聞」(2019年5月12日付/宇城輝人氏・評)に紹介されました。