叢書・ウニベルシタス 1147
カントと人権

四六判 / 466ページ / 上製 / 価格 6,600円 (消費税 600円) 
ISBN978-4-588-01147-4 C1310 [2022年08月 刊行]

内容紹介

貧困や戦争の絶えない世界で、いまなお喫緊の実現課題である「人権」。その思想的根拠を与えたとみなされる哲学者カントはしかし、道徳や政治や法をめぐる著作において、決して現代的な意味での「人権」を思索していたわけではなかった。カント哲学が今日の課題に寄与しうる点を明確にするとともに、齟齬や欠落を生じる難点も摘出することで、倫理学・法哲学の現在を読み直す12本の論文集。

著訳者プロフィール

レザ・モサイェビ(モサイェビ レザ)

(Reza Mosayebi)
ボーフム・ルール大学高等研究所有期研究員(哲学Ⅰ)。チュービンゲンで博士号を取得後、ハーヴァード大学(アメリカ合衆国)訪問研究員などを務める。主な研究領域は道徳哲学と法哲学、政治哲学の複合領域、メタ倫理学、カント哲学。〔主な業績〕Das Minimum der reinen Praktischen Vernunft. Vom Kategorischen Imperativ zum allgemeinen Rechtsprinzip bei Kant(De Gruyter, 2013).

石田 京子(イシダ キョウコ)

1979年生。慶應義塾大学大学院文学研究科後期博士課程単位取得退学。博士(哲学)。現在、慶應義塾大学文学部准教授。〔主な業績〕『カント 自律と法──理性批判から法哲学へ』(晃洋書房、2019年)。

舟場 保之(フナバ ヤスユキ)

1962年生。大阪大学大学院文学研究科博士後期課程単位修得退学。博士(文学)。現在、大阪大学大学院人文学研究科教授。〔主な業績〕『批判的社会理論の今日的可能性』(晃洋書房、2022年、共編)。

高畑 菜子(タカハタ ナコ)

1987年生。新潟大学大学院現代社会文化研究科博士後期課程単位取得退学。現在、新潟大学教育学部非常勤講師。〔主な業績〕「カント倫理学における「理性の事実」再考」(『現代社会文化研究』62号、現代社会文化研究科、2016年)、「カント倫理学成立史における「判定」と「執行」」(『東北哲学会年報』33号、東北哲学会、2017年)。

田原 彰太郎(タハラ ショウタロウ)

1978年生。早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得満期退学。博士(文学)。現在、茨城大学人文社会科学部准教授。〔主な業績〕「自律の実質的構想──共通の特徴に基づくアプローチ」(『人文社会科学論集』第1号、2022年)、“Was gibt den kategorischen Imperativ?”(Natur und Freiheit: Akten des XII. internationalen Kant-Kongress, Walter de Gruyter, 2018).

平出 喜代恵(ヒラデ キヨエ)

1986年生。関西大学大学院博士課程後期課程修了。博士(文学)。現在、関西大学文学部准教授。〔主な業績〕「カントにおける理性信仰の意義」(『アルケー』23号、関西哲学会、2015年)、「カントにおける自己への信頼」(『倫理学研究』48号、関西倫理学会、2018年)。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

凡 例

レザ・モサイェビ 【舟場保之 訳】
緒 論

Ⅰ 人権──カントとともに

オトフリート・ヘッフェ 【石田京子 訳】
「生得的権利は唯一である」。カントに人権の哲学はあるか

ゲオルク・モーア 【高畑菜子 訳】
人権を根拠づける原理 カントにおける内的な法義務という概念

オリヴァー・センセン 【田原彰太郎 訳】
人権の根拠としての自律

アンドレアス・ニーダーベルガー 【舟場保之 訳】
カントの法哲学は人間の尊厳を必要とするか

コリーナ・ミートおよびクリストフ・バンバウアー 【石田京子 訳】
カント、社会的人権、援助義務

ヘニング・ハーン 【舟場保之 訳】
カントによる歓待の権利を再生する試み

ゲオルク・ローマン 【平出喜代恵 訳】
示唆を与える者としてのカント カント以降の人権と人間の尊厳

Ⅱ 人権──カントなしで(も)

クリストフ・ホーン 【石田京子 訳】
カントの法概念とその義務論的基礎

シュテファン・ゴーゼパート 【舟場保之 訳】
カントにおける人権の問題

アレッサンドロ・ピンツァーニ 【舟場保之 訳】
人間性の権利と人権

Ⅲ インスピレーションとしてのカント

ライナー・フォアスト 【田原彰太郎 訳】
人権の意味と基礎 カント的構成主義のパースペクティヴ

レザ・モサイェビ 【石田京子 訳】
自己要求として自己自身の人権を主張すること

監訳者あとがき
索 引

■著者(アルファベット順)
クリストフ・バンバウアー(Christoph Bambauer)
ボーフム・ルール大学高等研究所私講師(哲学)。主な研究領域は実践哲学。ボン大学で博士号を取得後、ノートルダム大学(アメリカ合衆国)で研究滞在。2016年ボーフム大学で教授資格を取得。現在はボーフム大学およびデュースブルク=エッセン大学で教鞭をとる。〔主な業績〕Deontologie und Teleologie in der kantischen Ethik(Karl Alber, 2011).

ライナー・フォアスト(Rainer Forst)
フランクフルト・ゲーテ大学教授(政治理論および哲学)。フランクフルト大学エクセレンス・クラスター「規範秩序(Normative Ordnungen)」共同代表。主な研究領域は正義と寛容、批判理論、カントの伝統における実践理性。2012年ドイツ研究振興協会よりゴットフリート・ヴィルヘルム・ライプニッツ賞を受賞。〔主な業績〕Kontexte der Gerechtigkeit(Suhrkamp 1994), Toleranz im Konflikt(Suhrkamp 2003), Das Recht auf Rechtfertigung(Suhrkamp 2007), Kritik der Rechtfertigungsverhältnisse(Suhrkamp 2011), Normativität und Macht(Suhrkamp 2015).

シュテファン・ゴーゼパート(Stefan Gosepath)
ベルリン自由大学高等研究所教授(実践哲学)およびオットー・ズーア高等研究所研究員(政治学)。学内研究グループ「ユスティティア・アンプリフィカータ(Justitia Amplificata):拡張される正義-具体的かつグローバルに」共同ディレクター。主な研究領域は実践理性と規範性、正義と平等、人権とグローバル正義。〔主な業績〕Gleiche Gerechtigkeit. Grundlagen eines liberalen Egalitarismus(Suhrkamp, 2004), Einführung in die Politische Philosophie(Reclam, 2013)〔共著〕, Philosophie der Menschenrechte(Suhrkamp, 1998, 52010)〔共編〕.

ヘニング・ハーン(Henning Hahn)
ベルリン自由大学私講師および客員教授(実践哲学)。カッセル大学「研究テーマ:グローバル化の倫理学」リサーチアシスタント。〔主な業績〕Moralische Selbstachtung(De Gruyter, 2008), Globale Gerechtigkeit(Campus, 2010), Politischer Kosmopolitismus(De Gruyter, 2017).

オトフリート・ヘッフェ(Otfried Höffe)
チュービンゲン大学名誉教授および 「研究拠点:政治哲学」 所長。ベック社「思想家(Denker)」 シリーズおよびグロイター社 「古典解釈(Klassiker Auslegen)」シリーズの編者。〔主な業績〕 Strategien der Humanität(Suhrkamp, 1975, 21985), Immanuel Kant(Beck, 1983, 82014), Politische Gerechtigkeit(Suhrkamp, 1987, 42003), Kategorische Rechtsprinzipien. Ein Kontrapunkt der Moderne(Suhrkamp, 1990, 31995), Aristoteles(Beck, 1996, 42014), Demokratie im Zeitalter der Globalisierung(Beck, 1999, 22002), Kants Kritik der praktischen Vernunft. Eine Philosophie der Freiheit(Beck, 2012), Kritik der Freiheit. Das Grundproblem der Moderne(Beck, 2015), Geschichte des politischen Denkens(Beck, 2016).

クリストフ・ホーン(Christoph Horn)
ボン大学教授(哲学)。主な研究領域は古代哲学と現代の実践哲学。〔主な業績〕Plotin über Sein, Zahl und Einheit(De Gruyter, 1995), Antike Lebenskunst(Beck, 1998), Einführung in die Politische Philosophie(Wissenschaftliche Buchgesellschaft, 2003), Nichtideale Normativität(Suhrkamp, 2014), Wörterbuch der antiken Philosophie(Beck, 2002)〔共編〕, Groundwork for the Metaphysics of Morals(De Gruyter, 2006)〔共編〕, Neoplatonism and the Philosophy of Natur(Oxford, 2012)〔共編〕, Space in Hellenistic Philosophy(De Gruyter, 2014)〔共編〕. Aristotle Metaphysics Lambda – New Essays(De Gruyter, 2016)〔編〕.

ゲオルク・ローマン(Georg Lohmann)
マグデブルク・オットー・フォン・ゲーリケ大学名誉教授(実践哲学)。主な研究領域は社会哲学、倫理学、応用倫理学、政治哲学、特に人権と人の尊厳。〔主な業績〕Indifferenz und Gesellschaft. Eine kritische Auseinandersetzung mit Marx(Suhrkamp, 1991), Gelten Menschenrechte universal? Begründungen und Infragestellungen(Herder, 2008)〔共編〕, Menschenrechte. Ein interdisziplinäres Handbuch(Metzler, 2012)〔共編〕.

コリーナ・ミート(Corinna Mieth)
ボーフム・ルール大学教授(実践哲学とりわけ政治哲学と法哲学)。現在は哲学・教育学部の講師および研究課程EELPの責任者を務める。エッセン文化科学高等研究所(KWI)理事。主な研究領域はグローバル正義、移民、人権と人の尊厳、法哲学におけるジレンマのケース。〔主な業績〕Positive Pflichten(De Gruyter, 2012), Dimensions of Practical Necessity: „Here I Stand. I Can Do No Other.“(Springer, 2017)〔共編〕, Handbuch Gerechtigkeit(Metzler, 2016)〔共編〕.
ゲオルク・モーア(Georg Mohr)
ブレーメン大学名誉教授(実践哲学)。1995–1997年ベルリン・フンボルト大学客員教授。主な研究領域は法哲学、道徳哲学、音楽の哲学、イマヌエル・カントとグスタフ・マーラー。〔主な業績〕Das sinnliche Ich. Innerer Sinn und Bewusstsein bei Kant(Königshausen & Neumann, 1991), Kants Grundlegung der kritischen Philosophie(Suhrkamp, 2004), Subjektivität und Anerkennung(Mentis, 2004)〔共編〕, Vom Sinn des Hörens. Beiträge zur Philosophie der Musik(Königshausen & Neumann, 2012)〔共編〕, Kant-Lexikon(De Gruyter, 2015)〔共編〕.

アンドレアス・ニーダーベルガー(Andreas Niederberger)
デュースブルク=エッセン大学教授(実践哲学)。主な研究領域は哲学史、政治哲学、 法哲学、倫理学。「統合・移民研究のための学際的センター(InZentIM)」理事。〔主な業績〕Demokratie unter Bedingungen der Weltgesellschaft? Normative Grundlagen legitimer Herrschaft in einer globalen politischen Ordnung(De Gruyter, 2009), Republican Democracy. Liberty, Law and Politics(Edinburgh, 2013 [Paperback 2015])〔共編〕, Internationale Politische Theorie(Metzler, 2016)〔共編〕.

アレッサンドロ・ピンツァーニ(Alessandro Pinzani)
フロリアノポリス連邦大学(ブラジル)教授(倫理学および政治哲学)。カント研究センター所長。リオグランデドスル・ポンティフィカルカトリック大学(ポルトアレグレ)、ドレスデン工科大学、ボーフム・ルール大学で客員教授、コロンビア大学(ニューヨーク)、ベルリン・フンボルト大学、フィレンツェ大学で訪問研究員を歴任。〔主な業績〕Jürgen Habermas(Beck, 2007), An den Wurzeln moderner Demokratie(De Gruyter, 2009), Vozes do Bolsa Família. Autonomia, dinheiro e cidadania(Unesp, 2013)〔共著〕.

オリヴァー・センセン(Oliver Sensen)
テュレーン大学(ニューオーリンズ・アメリカ合衆国)教授(哲学)。北米カント協会副会長。ミュンヘン、オクスフォード、ハーヴァード、ケンブリッジで学び、 MIT(アメリカ合衆国)で訪問教授を務めた。〔主な業績〕 Kant on Human Dignity(De Gruyter, 2011), Kant on Moral Autonomy(Cambridge, 2012)〔編〕.

関連書籍

『自由の哲学』
オトフリート・ヘッフェ:著
『理性の構成』
オノラ・オニール:著