叢書・ウニベルシタス 1124
理性の構成
カント実践哲学の探究

四六判 / 502ページ / 上製 / 定価:5,400円 + 税 
ISBN978-4-588-01124-5 C1310 [2020年11月 刊行]

内容紹介

カントは人間の自由および人格への尊敬を断固として擁護し、理性は行為を導くことができると主張したが、その一方で自由の基礎と人間の義務については退屈な説明をしたと非難される。カント研究を基盤に貧困、ジェンダー、教育も鋭く論じてきた女性哲学者が、理性・行為・自由に関してカントの倫理学を位置づけ直し、正義、義務、実例の力、子どもの権利問題などから、実践哲学の新たな可能性を提唱する。

著訳者プロフィール

オノラ・オニール(オニール オノラ)

(Onora O’Neill)
1941年生まれ。ケンブリッジ大学名誉教授。英国貴族院議員。オックスフォード大学で哲学と心理学を学び、ハーバード大学でジョン・ロールズのもとで博士号を取得。コロンビア大学、エセックス大学、ケンブリッジ大学などで教鞭を執り、英国学士院院長、英国哲学会の初代会長などを歴任。主な著作に、Acting on Principle: An Essay on Kantian Ethics (Columbia University Press, 1975), Faces of Hunger: An Essay on Poverty, Development and Justice (George Allen and Unwin, 1986), Toward Justice and Virtue: A Constructive Account of Practical Reasoning (Cambridge University Press, 1996), Bounds of Justice (Cambridge University Press, 2000, 『正義の境界』神島裕子訳、みすず書房), Constructing Authorities: Reason, Politics and Interpretation in Kant’s Philosophy (Cambridge University Press, 2015), Justice Across Boundaries: Whose Obligations? (Cambridge University Press, 2016), From Principles to Practice: Normativity and Judgement in Ethics and Politics (Cambridge University Press, 2018), などがある。

加藤 泰史(カトウ ヤスシ)

1956年生まれ。名古屋大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。椙山女学園大学国際コミュニケーション学部教授,一橋大学名誉教授。哲学,倫理学。『尊厳と社会』(上下,小島毅との共編著,法政大学出版局,2020年),„Watsuji und Herder über Kultur und Übersetzung – Eine Zwischenbetrachtung“, Hitotsubashi Journal of Social Sciences, Vol. 51 No. 1, 2020, Kant’s Concept of Dignity, (Berlin/Boston: De Gruyter, 2019, Gerhard Schönrichとの共編著),「公共と尊厳」(『思想』第1139号,2019年),ほか。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序文
文献略号

第Ⅰ部 理性と批判
第1章 カントの企てにおける理性と政治
第2章 理性の公共的使用
第3章 『基礎づけ』第三章における理性と自律
第4章 行為、人間学、自律

第Ⅱ部 格率と義務
第5章 行為における一貫性
第6章 合意する大人の関係
第7章 普遍的法則と目的それ自体
第8章 美徳なき時代におけるカント

第Ⅲ部 カントの倫理学とカント主義的倫理学
第9章 実例の力
第10章 子どもたちの権利と生活
第11章 倫理学における構成主義
第12章 正義と慈愛という偉大な原理

オニールとカント、あるいはオニールのカント──監訳者「後書き」に代えて
参考文献
索引

[訳者紹介]

網谷壮介(アミタニ ソウスケ) 翻訳担当:序文,文献略号,第1章
1987年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得満期退学。博士(学術)。獨協大学法学部専任講師。政治思想史。『カントの政治哲学入門――政治における理念とは何か』(白澤社,2018年),『共和制の理念――イマヌエル・カントと18世紀末プロイセンの「理論と実践」論争』(法政大学出版局,2018年),「(理論的には)非実在的だが(実践的には)実在的である政治の理念について」(『法と哲学』6号,2020年)。

高畑祐人(タカハタ ユウト) 翻訳担当:第2章
1961年生まれ。南山大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。名古屋大学非常勤講師。哲学,倫理学.「カントにおける自然美と芸術美」(中部哲学会編『中部哲学会紀要』第51号、2020年),マルティン・ゼール『幸福の形式に関する試論――倫理学研究』(翻訳,法政大学出版局,2018年),ほか。

城戸淳(キド アツシ) 翻訳担当:第3章
1972年生まれ。東北大学大学院文学研究科博士課程退学。東北大学大学院文学研究科准教授。博士(文学)。西洋近代哲学史。『理性の深淵──カント超越論的弁証論の研究』(知泉書館,2014年),ヘンリー・E. アリソン『カントの自由論』(翻訳,法政大学出版局,2017年)ほか。

宇佐美公生(ウサミ コウセイ) 翻訳担当:第4章
1957年生まれ。東北大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。岩手大学教育学部教授。倫理学,哲学。『新・カント読本』(分担執筆,法政大学出版局,2018年),『尊厳概念のダイナミズム――哲学・応用倫理学論集』(分担執筆,法政大学出版局,2017年),『倫理学の地図』(分担執筆,ナカニシヤ出版,2010年),ほか。

高木駿(タカギ シュン) 翻訳担当:第5章
1987年生まれ。一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了。博士(社会学)。慶應義塾大学非常勤講師。美学。「醜さとは何か?――『判断力批判』の趣味論に基づいて」(『哲学』第71号,日本哲学会,2020年),「趣味判断における不快の感情の生成――カント美学と醜さ」(『日本カント研究』第19号,日本カント協会,2018年,日本カント協会濱田賞),ほか。

中澤武(ナカザワ タケシ) 翻訳担当:第6章
1963年生まれ。早稲田大学大学院文学研究科哲学専攻博士後期課程中退。ドイツ・トリーア大学博士(哲学Dr. phil.)。明海大学,東京薬科大学,長野大学等非常勤講師。翻訳家。Kants Begriff der Sinnlichkeit (Stuttgart: frommann-holzboog, 2009),『尊厳概念のダイナミズム――哲学・応用倫理学論集』(分担執筆,法政大学出版局,2017年),ディーター・ビルンバッハー『生命倫理学――自然と利害関心の間』(共監訳,法政大学出版局,2018年),マンフレッド・キューン『カント伝』(共訳,春風社,2017年),ほか。

木場智之(コバ トモユキ) 翻訳担当:第7章
1993年生まれ。東京大学大学院法学政治学研究科在籍,日本学術振興会特別研究員(DC1,人文学)。西洋法制史。「「社会的動物としての人間」と「政治社会」――フランシスコ・デ・ビトリアのテクストから」(『西洋中世研究』,2020年刊行予定),「内乱をめぐる言語――フランシスコ・デ・ビトリアの世俗権力論をめぐる政治思想史的文脈」(『一橋社会科学』,2019年),Francisco de Vitoria’s idea of natural law and its relationship with division of things (interface – Journal of European Languages and Literatures, 2020)ほか。

上野大樹(ウエノ ヒロキ) 翻訳担当:第8章
1983年生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。京都大学博士。一橋大学,慶應義塾大学,立正大学非常勤講師.政治哲学,思想史。“The French and English models of sociability in the Scottish Enlightenment” in A. Cossic & E. Jones eds., The Representation and Reinvention of Sociable Spaces in the Long Eighteenth Century (Paris: Edition Le Manuscrit, 2020), 「公共哲学としての政治哲学――変容する共和主義」(『思想』1139号,2017年),ジェレミー・ウォルドロン「シティズンシップと尊厳」(翻訳,『思想』1114号,2017年),ほか。

柳橋晃(ヤナギバシ アキラ) 翻訳担当:第9章,第10章
1985年生まれ。東京大学大学院教育学研究科博士課程在籍。国立がん研究センター特任研究員。教育学。「教養と文化との循環が断たれたあとで」(『教育』第890号,2020年),「臨床研究論文でのResearch Ethics Approval虚偽記載に関する研究倫理学的考察」(共著,『生命倫理』第31号,2020年),ほか。

津田栞里(ツダ シオリ) 翻訳担当:第11章
1993年生まれ。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程在籍,日本学術振興会特別研究員(DC1,人文学)。哲学,美学。「バウムガルテンの実体論――「実体的なもの(substantiale)」をめぐる一考察」(『哲学の門――大学院生研究論集』1,日本哲学会,2019年,優秀論文賞受賞),「バウムガルテンの世界創造論――近代ドイツ哲学における「流出(emanatio)」の一側面」(『新プラトン主義研究』18,新プラトン主義協会,2020年),ほか。

馬渕浩二(マブチ コウジ) 翻訳担当:第12章
1967年生まれ。東北大学大学院文学研究科博士課程修了。博士(文学)。中央学院大学商学部教授。倫理学,社会哲学。『貧困の倫理学』(平凡社,2015年),ロナルド・サンドラー『食物倫理入門――食べることの倫理学』(翻訳,ナカニシヤ出版,2019年),ほか。

関連書籍

『新・カント読本』
牧野 英二:編
『カントの自由論』
ヘンリー・E. アリソン:著
『自由の哲学』
オトフリート・ヘッフェ:著
『カント入門講義 〈新装版〉』
H.M.バウムガルトナー:著
『共和制の理念』
網谷 壮介:著