叢書・ウニベルシタス 1149
カウンターセックス宣言
ISBN978-4-588-01149-8 C1310 [2022年09月 刊行]
ポール・B.プレシアド(プレシアド ポール)
(Paul B. Preciado)
1970年生まれ。スペインのブルゴス出身の哲学者。トランス・クィア活動家、キュレーター。ニューヨークのニュースクール・フォー・ソーシャルリサーチでジャック・デリダとアグネス・ヘラーに師事した後、プリンストン大学建築学科で博士号を取得。早くからトランスを自覚していたが、30代半ばからテストステロンを用い、外科手術をともなわない「緩やかなトランス」を開始。2015年に出生時に与えられたBeatrizの女性名でなくPaulを名のるようになり、2016年には戸籍上の性も「男性」に変更したが、ノンバイナリーなトランスの立場をとる。フーコー、ドゥルーズ、デリダの思想をハラウェイのサイボーグ・フェミニズムと接続し、現代の先端テクノロジー状況(先端生殖医療、サイボーグ技術、遺伝子工学、コンピューター技術、メディア技術、新薬理学、等々)におけるセクシュアリティをめぐる生政治・生権力の問題を、トランスジェンダー、クィアの立場から鋭く論じる。ニューヨーク大学やプリンストン大学の招聘教授を務めたほか、バルセロナ現代美術館、ソフィア王妃芸術センター、LUMA Arlesのキュレーターを務め、前衛的な性芸術や性文化の創造・普及の現場でも活躍している。主要著作には本書のほか、以下がある。Testo junkie:sexe, drogue et biopolitique(Grasset, 2008). Pornotopia:an essay on Playboy’s architecture and biopolitics(Zone Books, 2014). Un appartement sur Uranus:Chroniques de la traversée(Grasset, 2019). Je suis un monstre qui vous parle:Rapport pour une académie de psychanalystes(Grasset, 2020).
藤本 一勇(フジモト カズイサ)
1966年生まれ。早稲田大学文学学術院教授。現代哲学、表象・メディア論専攻。著書に『情報のマテリアリズム』(NTT出版)、『外国語学』(岩波書店)、『批判感覚の再生』(白澤社)、共著に『現代思想入門』(PHP研究所)、訳書にデリダ『散種』(共訳、法政大学出版局)、同『プシュケー I・II』『哲学のナショナリズム』、デリダ/ルディネスコ『来たるべき世界のために』、デリダ/ハーバーマス『テロルの時代と哲学の使命』(以上、岩波書店)、ラクー=ラバルト『歴史の詩学』、バディウ『存在と出来事』『哲学の条件』(以上、藤原書店)ほか。
※上記内容は本書刊行時のものです。『カウンターセックス宣言』への新しい序論
1 カウンターセックス社会
カウンターセックス社会の諸原則
カウンターセックス契約書(サンプル)
2 カウンターセックスの反転実践
ディルド造成術
実践1 ロン・エイシーの太陽肛門
実践2 腕でマスターベーション
実践3 ディルド頭を喜ばせる方法
3 理 論
デリダの鋏──ディルドの論理
バトラーのバイブレーター──性の玩具と性の補綴に関する短い系譜学
マネーがセックスを作る──性の産業化
ハラウェイの補綴──性テクノロジー
4 カウンターセックス読解練習
ケツの穴でやる冴えた方法としての哲学について──ドゥルーズと「分子的同性愛」
ディルド
我が愛しの義体
著者による注
謝 辞
訳者あとがき──トランスワールドへようこそ!
訳 注
参考文献
事項索引
人名索引
*上記から、本書のあとがきをお読みいただけます。