驚くべき頑固さと並外れた繊細さをあわせもち、先史時代よりわれわれの善き友人でありつづけてきた犬たち。ときに幸福な愚か者として描かれ、ときに盲目的な服従者の象徴とされるかれらはしかし、みずからの運命を心から楽しみ、喜びに身を寄せる思想家のように見える。エジプト・ギリシア神話、聖書の世界から現代思想・現代文学にいたる犬たちの物語を読みとき、かれらの幸福のありようを学ぶ哲学的断片。
マルク・アリザール(アリザール マルク)
(Mark Alizart)
1975年生まれ。フランスの哲学者。ポンピドゥー・センター、パレ・ドゥ・トウキョウなどの文化ディレクターを歴任。科学技術(とりわけ情報科学)やポップカルチャーの哲学的考察を通じて近代性の限界を問い直す作業を続けている。著書に『ポップ神学』(2015)、『天上の情報科学』(2017)、『クリプトコミュニズム』(2019)、編著に『フレッシュ・セオリー』全3巻(2005-2007)、『スチュアート・ホール』(2007)、『聖なるものの痕跡』(2008)などがある。
西山 雄二(ニシヤマ ユウジ)
1971年生まれ。首都大学東京准教授。現代フランス思想。著書に『哲学への権利』(勁草書房、2011年)、『異議申し立てとしての文学──モーリス・ブランショにおける孤独・友愛・共同性』(御茶の水書房、2007年)、編著に『カタストロフィと人文学』(勁草書房、2014年)、『終わりなきデリダ──ハイデガー、サルトル、レヴィナスとの対話』(法政大学出版局、2017年)、訳書にJ・デリダ『獣と主権者』(全2巻、白水社)、『哲学への権利』(全2巻、みすず書房)、『条件なき大学』(月曜社)、『嘘の歴史 序説』(未來社)などがある。
八木 悠允(ヤギ ユウスケ)
1983年生まれ。ロレーヌ大学博士課程在籍中、国立応用科学院レンヌ校非常勤講師。フランス現代文学、特にミシェル・ウエルベック研究。翻訳に、サミュエル・エスティエ「ウエルベック批評の十年」(共訳、『人文学報』、首都大学東京フランス文学教室、第514-15号)、K・シャレディブ「枠組みの蘇生」(共訳、『人文学報』、首都大学東京フランス文学教室、第515-15号)。
※上記内容は本書刊行時のものです。犬たちの喜び
動物界の恥
おおいぬ座
信仰のみ
ドッグ・ヴィンチ・コード
ダーウィンの犬たち
伴侶動物のための宣言
この犬を見よ
悪天候
オイディプス王、あるいは、オイディプスという犬
雌の番犬たち
あらゆるイヌイット
動物のような性交
カインのしるし
咆哮
ガブリエル
エピローグ
謝辞
訳者あとがき
人名索引
犬名索引
動物界の恥
おおいぬ座
信仰のみ
ドッグ・ヴィンチ・コード
ダーウィンの犬たち
伴侶動物のための宣言
この犬を見よ
悪天候
オイディプス王、あるいは、オイディプスという犬
雌の番犬たち
あらゆるイヌイット
動物のような性交
カインのしるし
咆哮
ガブリエル
エピローグ
謝辞
訳者あとがき
人名索引
犬名索引
書評掲載
「BRUTUS」(2020年4月15日号)に紹介されました。