われわれは猫たちと生活を分かちあっていながら、かれらのことを何も知らない。どこにでも姿を現す猫たちは、たしかにここにいたはずなのに、同時に別のところにもいる。いくつもの帰るべき場所をもつかのようなこの優雅な獣の眼差しは、われわれの侵入を拒みつづける。動物行動学、現象学、精神分析をひきつつ愛すべき猫たちのふるまいを見つめ、見知らぬ者とともに生きることを学ぶ哲学的断片。
フロランス・ビュルガ(ビュルガ フロランス)
(Florence Burgat)
1962年生まれ。フランスの哲学者。フランス国立農学研究所の研究主任、アルシーヴ・フッサールの兼任研究員。主な研究領域は、動物的生の現象学、現代産業社会における動物の条件と権利。季刊誌『動物の権利』の共同編集主幹。著書に『動物、我が隣人』(1997)、『動物的生の自由と不安』(2006)、『もうひとつの実存──動物の条件』(2012)、『肉食の人類』(2017)などがある。
西山 雄二(ニシヤマ ユウジ)
1971年生まれ。首都大学東京准教授。現代フランス思想。著書に『哲学への権利』(勁草書房、2011年)、『異議申し立てとしての文学──モーリス・ブランショにおける孤独・友愛・共同性』(御茶の水書房、2007年)、編著に『カタストロフィと人文学』(勁草書房、2014年)、『終わりなきデリダ──ハイデガー、サルトル、レヴィナスとの対話』(法政大学出版局、2017年)、訳書にJ・デリダ『獣と主権者』(全2巻、白水社)、『哲学への権利』(全2巻、みすず書房)、『条件なき大学』(月曜社)、『嘘の歴史 序説』(未來社)などがある。
松葉 類(マツバ ルイ)
1988年生まれ。京都大学文学研究科思想文化学専攻博士後期課程。フランス現代哲学、ユダヤ思想。論文に「レヴィナスの有限責任論について──制度における主体性の問い」(『立命館大学人文科学研究所紀要』、2017年)、「レヴィナス後期思想における「より良いもの」について──エルンスト・ブロッホを起点として」(『宗教学研究室紀要』、京都大学文学研究科宗教学研究室、2016年)などがある。
※上記内容は本書刊行時のものです。共同生活
儀式的なもの
コミュニケーション
友愛
愛
残酷さ
訳者あとがき
索引
儀式的なもの
コミュニケーション
友愛
愛
残酷さ
訳者あとがき
索引