世界は暴力に満ちている。多様な形態をとって表出する暴力にわたしたちはどう対峙しうるだろうか。精神分析論、翻訳論、パンデミック危機に伴う暴力を剔出し、社会的承認論、ケアと贈与、サッカーと市民社会をめぐる考察から共同体と暴力との関係を問い直す。そして、大テロル期ソ連、戦間期ベルリン、北アイルランド紛争時代の文学を読み解き、暴力の根源に迫る。現代社会の喫緊の課題を考える手引き書。
岡本 和子(オカモト カズコ)
岡本 和子(オカモト カズコ)
1974年生まれ。明治大学文学部教授。論文:「住むことのできない街ベルリン──近代ドイツ文学を手がかりに」(『文芸研究』第143号)、共編著:『ドイツ文学の道しるべ』(ミネルヴァ書房)、共訳:ベンヤミン『ベンヤミン・コレクション4~7』(筑摩書房)など。
まえがき
第1部 暴力の根源を探る
性差と暴力──精神分析からのUrsprungへの問い 【関修】
暴力の場としての翻訳──フランツ・ローゼンツヴァイクの翻訳論について 【大西雅一郎】
パンデミックとミメーシス的暴力 【グンター・ゲバウア/田島正行訳】
第2部 暴力との対峙
社会的承認論のアクチュアリティ──制度化された暴力への抵抗の(不)可能性 【宮本真也】
ドイツの市民社会と文明化の過程──政治と暴力の表象空間としてのサッカー 【釜崎太】
ケアにおける贈与と暴力 【岩野卓司】
第3部 暴力の記述を読み解く
恐怖とムウサの時間──テロルをめぐるマンデリシタームとアフマートワの詩、およびそのダンテ的コンテクスト 【斉藤毅】
戦間期ベルリンのメールヒェン──ユーリウス・ベルストル『ベルリン・シュレージェン駅』に描かれた暴力 【岡本和子】
暴力と詩的表象──シェイマス・ヒーニーと北アイルランド紛争 【鈴木哲也】
あとがき
第1部 暴力の根源を探る
性差と暴力──精神分析からのUrsprungへの問い 【関修】
暴力の場としての翻訳──フランツ・ローゼンツヴァイクの翻訳論について 【大西雅一郎】
パンデミックとミメーシス的暴力 【グンター・ゲバウア/田島正行訳】
第2部 暴力との対峙
社会的承認論のアクチュアリティ──制度化された暴力への抵抗の(不)可能性 【宮本真也】
ドイツの市民社会と文明化の過程──政治と暴力の表象空間としてのサッカー 【釜崎太】
ケアにおける贈与と暴力 【岩野卓司】
第3部 暴力の記述を読み解く
恐怖とムウサの時間──テロルをめぐるマンデリシタームとアフマートワの詩、およびそのダンテ的コンテクスト 【斉藤毅】
戦間期ベルリンのメールヒェン──ユーリウス・ベルストル『ベルリン・シュレージェン駅』に描かれた暴力 【岡本和子】
暴力と詩的表象──シェイマス・ヒーニーと北アイルランド紛争 【鈴木哲也】
あとがき
■執筆者
関 修(セキ オサム)
明治大学法学部非常勤講師。著書:『美男論序説』(夏目書房)、『隣の嵐くん』(サイゾー、光文社知恵の森文庫)、訳書:オッカンガム『ホモセクシュアルな欲望』(学陽書房)、オクサラ『フーコーをどう読むか』(新泉社)など。
大西 雅一郎(オオニシ マサイチロウ)
成蹊大学名誉教授。訳書:デリダ『絵葉書(Ⅰ)(Ⅱ)』(共訳、水声社)、ラクー゠ラバルト『近代人の模倣』(みすず書房)、ジャン゠リュック・ナンシー『脱閉域──キリスト教の脱構築1』(現代企画室)など。
グンター・ゲバウア(Gunter Gebauer)
ベルリン自由大学名誉教授。共著:『身体感性と文化の哲学』(勁草書房)、単著:Wittgensteins anthropologisches Denken. München: C. H. Beck, 2009, Das Leben in 90 Minuten. Eine Philosophie des Fußballs. München: Pantheon, 2016、編著:Sprachen der Emotion, Frankfurt a. M.: Campus, 2014など。
田島 正行(タジマ マサユキ)
元明治大学教授。共著:『語りのポリティクス』(彩流社)ほか、訳書:テオドール・レッシング『ユダヤ人の自己憎悪』(法政大学出版局)、ルートヴィッヒ・クラーゲス『宇宙生成的エロース』『心情研究者としてのゲーテ』(以上、うぶすな書院)。
宮本 真也(ミヤモト シンヤ)
明治大学情報コミュニケーション学部教授。論文:「「見える」/「見えない」の社会理論」(高馬京子・松本健太郎編『〈みる/みられる〉のメディア論』ナカニシヤ出版)、共訳書:ホネット『自由の権利』『私たちのなかの私』『理性の病理』『物象化』(以上、法政大学出版局)など。
釜崎 太(カマサキ フトシ)
明治大学法学部教授。共編著:『身心文化学習論』(創文企画)、共著:『教育における身体知教育序説』(創文企画)、『よくわかるスポーツ倫理学』(ミネルヴァ書房)など。
岩野 卓司(イワノ タクジ)
明治大学教養デザイン研究科・法学部教授。著書:『贈与論』(青土社)、『贈与をめぐる冒険』(ヘウレーカ)、『贈与の哲学』(明治大学出版会)、『ジョルジュ・バタイユ』(水声社)、共訳書:バタイユ『バタイユ書簡集 1917–1962年』(水声社)など。
斉藤 毅(サイトウ タケシ)
大妻女子大学ほか非常勤講師。共著:岩野卓司編『他者のトポロジー──人文諸学と他者論の現在』(書肆心水)など。訳書:マンデリシターム『言葉と文化──ポエジーをめぐって』(水声社)など。
鈴木 哲也(スズキ テツヤ)
明治大学法学部教授。共著:『ケルト 口承文化の水脈』(中央大学出版部)、『他者のトポロジー──人文諸学と他者論の現在』(書肆心水)、『野生の教養──飼いならされず、学び続ける』(法政大学出版局)、翻訳:「マイケル・ロングリー詩選」(『現代詩手帖』2018年8月号)。
関 修(セキ オサム)
明治大学法学部非常勤講師。著書:『美男論序説』(夏目書房)、『隣の嵐くん』(サイゾー、光文社知恵の森文庫)、訳書:オッカンガム『ホモセクシュアルな欲望』(学陽書房)、オクサラ『フーコーをどう読むか』(新泉社)など。
大西 雅一郎(オオニシ マサイチロウ)
成蹊大学名誉教授。訳書:デリダ『絵葉書(Ⅰ)(Ⅱ)』(共訳、水声社)、ラクー゠ラバルト『近代人の模倣』(みすず書房)、ジャン゠リュック・ナンシー『脱閉域──キリスト教の脱構築1』(現代企画室)など。
グンター・ゲバウア(Gunter Gebauer)
ベルリン自由大学名誉教授。共著:『身体感性と文化の哲学』(勁草書房)、単著:Wittgensteins anthropologisches Denken. München: C. H. Beck, 2009, Das Leben in 90 Minuten. Eine Philosophie des Fußballs. München: Pantheon, 2016、編著:Sprachen der Emotion, Frankfurt a. M.: Campus, 2014など。
田島 正行(タジマ マサユキ)
元明治大学教授。共著:『語りのポリティクス』(彩流社)ほか、訳書:テオドール・レッシング『ユダヤ人の自己憎悪』(法政大学出版局)、ルートヴィッヒ・クラーゲス『宇宙生成的エロース』『心情研究者としてのゲーテ』(以上、うぶすな書院)。
宮本 真也(ミヤモト シンヤ)
明治大学情報コミュニケーション学部教授。論文:「「見える」/「見えない」の社会理論」(高馬京子・松本健太郎編『〈みる/みられる〉のメディア論』ナカニシヤ出版)、共訳書:ホネット『自由の権利』『私たちのなかの私』『理性の病理』『物象化』(以上、法政大学出版局)など。
釜崎 太(カマサキ フトシ)
明治大学法学部教授。共編著:『身心文化学習論』(創文企画)、共著:『教育における身体知教育序説』(創文企画)、『よくわかるスポーツ倫理学』(ミネルヴァ書房)など。
岩野 卓司(イワノ タクジ)
明治大学教養デザイン研究科・法学部教授。著書:『贈与論』(青土社)、『贈与をめぐる冒険』(ヘウレーカ)、『贈与の哲学』(明治大学出版会)、『ジョルジュ・バタイユ』(水声社)、共訳書:バタイユ『バタイユ書簡集 1917–1962年』(水声社)など。
斉藤 毅(サイトウ タケシ)
大妻女子大学ほか非常勤講師。共著:岩野卓司編『他者のトポロジー──人文諸学と他者論の現在』(書肆心水)など。訳書:マンデリシターム『言葉と文化──ポエジーをめぐって』(水声社)など。
鈴木 哲也(スズキ テツヤ)
明治大学法学部教授。共著:『ケルト 口承文化の水脈』(中央大学出版部)、『他者のトポロジー──人文諸学と他者論の現在』(書肆心水)、『野生の教養──飼いならされず、学び続ける』(法政大学出版局)、翻訳:「マイケル・ロングリー詩選」(『現代詩手帖』2018年8月号)。