1927年『シンボル形式の哲学』を完成後、カッシーラーはその解説と一層の発展を期して多くの論文を書いた。本書は、そのうちシンボル・技術・言語・神話・心理学に関する5本の論文と、それをめぐる当時の議論を収め、20世紀哲学の口火を切った彼の哲学の再検討に資する。
E.カッシーラー(カッシーラー エルンスト)
(Ernst Cassirer)
ドイツの哲学者。1874年ブレスラウ(現ポーランド)に生まれる。H.コーヘンに学び、マールブルク学派の一員として研究生活を始める。近代哲学と科学の関係を歴史的・論理的に考察した『近代の哲学と科学における認識の問題』(1906–20)で広く知られるようになり、『実体概念と関数概念』(1910)で科学における概念形成の変遷を論じる。また、ヴァールブルク文庫の、民族学・言語学・比較神話学・比較宗教学の膨大な資料に触れ、しだいにカント主義の枠を脱し『シンボル形式の哲学』(1925–29)という文化一般の体系的哲学を構築する。1929年ハンブルク大学総長に就任するが、33年ナチスの台頭とともに亡命を余儀なくされ、オックスフォード大学、ついでスウェーデンのイェーテボリ大学教授を経て、1941年アメリカのイェール大学に招聘されるなど活躍したが、1945年急逝した。
篠木 芳夫(シノギ ヨシオ)
1943年生まれ。早稲田大学大学院文学研究科西洋哲学専攻博士課程単位取得退学。北海道教育大学名誉教授。論文「ナトルプの一般心理学とフッサール」(日本哲学会編『哲学』第29号、法政大学出版局)、コリングウッド『歴史哲学の本質と目的』(未來社)。
高野 敏行(タカノ トシユキ)
1949年生まれ。一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程満期退学。哲学専攻。釧路公立大学学長。著書『都市と思想家Ⅱ』(共著、法政大学出版局)、論文「純粋直観としての空間」など。
※上記内容は本書刊行時のものです。はしがき【エルンスト・ヴォルフガング・オルト】
序論【ジョン・マイケル・クロイス】
1 哲学の体系におけるシンボルの問題とその位置づけ(1927)【エルンスト・カッシーラー】
発言の記録【パウル・ホーフマン、ウィリー・モーク】
討論【シュミート・コヴァルツィク、アロイス・シュマルト】
結び【エルンスト・カッシーラー】
2 形式と技術(1930)【エルンスト・カッシーラー】
3 神話的空間、美的空間、理論的空間(1931)【エルンスト・カッシーラー】
発言【リヒャルト・ハーマン、エルンスト・カッシーラー、モーリツ・ガイガー、エルンスト・バルテル、エルヴィン・パノフスキー、アルベルト・ゲルラント】
4 言語と対象世界の構築(1932-33)【エルンスト・カッシーラー】
作業報告──言語心理学【司会 カール・ビューラー】
5 心理学と哲学(1932)【エルンスト・カッシーラー】
シンボル形式の哲学というカッシッラーの考え方──批判的覚書【エルンスト・ヴォルフガング・オルト】
注
初出一覧
訳者あとがき
カッシーラーにより言及された文献〔索引〕
概念・論点索引
人名索引
序論【ジョン・マイケル・クロイス】
1 哲学の体系におけるシンボルの問題とその位置づけ(1927)【エルンスト・カッシーラー】
発言の記録【パウル・ホーフマン、ウィリー・モーク】
討論【シュミート・コヴァルツィク、アロイス・シュマルト】
結び【エルンスト・カッシーラー】
2 形式と技術(1930)【エルンスト・カッシーラー】
3 神話的空間、美的空間、理論的空間(1931)【エルンスト・カッシーラー】
発言【リヒャルト・ハーマン、エルンスト・カッシーラー、モーリツ・ガイガー、エルンスト・バルテル、エルヴィン・パノフスキー、アルベルト・ゲルラント】
4 言語と対象世界の構築(1932-33)【エルンスト・カッシーラー】
作業報告──言語心理学【司会 カール・ビューラー】
5 心理学と哲学(1932)【エルンスト・カッシーラー】
シンボル形式の哲学というカッシッラーの考え方──批判的覚書【エルンスト・ヴォルフガング・オルト】
注
初出一覧
訳者あとがき
カッシーラーにより言及された文献〔索引〕
概念・論点索引
人名索引