叢書・ウニベルシタス 771
哲学の余白 上〈新装版〉

四六判 / 378ページ / 上製 / 価格 4,400円 (消費税 400円) 
ISBN978-4-588-14066-2 C1310 [2022年04月 刊行]

内容紹介

デリダの脱構築の基本思想が明らかにされる重要なテキスト。序説とも言える「タンパン(鼓膜)」、エクリチュールの問題から脱構築を説明した「差延」、ヘーゲルやハイデガーの時間概念を論じた「ウーシアとグランメー」、ヘーゲルの記号論に関する「竪坑とピラミッド」、ルソーの言語論についての「ジュネーヴの言語学サークル」などを収め、厳密かつ生成的な「脱構築」の必要性を説く。

著訳者プロフィール

J.デリダ(デリダ ジャック)

(Jacques Derrida)
1930–2004年。アルジェリア生まれのユダヤ系哲学者。パリの高等師範学校で哲学を専攻。同校の哲学教授を経て、社会科学高等研究院教授を務める。西洋形而上学におけるロゴス中心主義の脱構築を提唱し、構造主義以降の人文社会科学の広範な領域──文学・芸術理論、言語論、政治・法哲学、歴史学、建築論ほか──に多大な影響をもたらした。邦訳書に『エクリチュールと差異』『哲学の余白』『散種』『有限責任会社』『絵画における真理』『法の力』『ユリシーズ グラモフォン』『シニェポンジュ』『アーカイヴの病』(以上、法政大学出版局)、『声と現象』(理想社)、『グラマトロジーについて』(現代思潮新社)、『友愛のポリティックス』『フッサール哲学における発生の問題』(みすず書房)、『アポリア』(人文書院)、『そのたびごとにただ一つ、世界の終焉』(岩波書店)、『死を与える』(筑摩書房)、『精神分析の抵抗』(青土社)、『マルクスの亡霊たち』(藤原書店)、『条件なき大学』(月曜社)ほか多数。

高橋 允昭(タカハシ ノブアキ)

1931年生まれ。早稲田大学大学院哲学専攻修士課程修了。現代フランス思想専攻。早稲田大学文学部教授。2000年3月死去。著書に『デリダの思想圏』(世界書院)、訳書にデリダ『声と現象』(理想社)、同『ポジシオン』(青土社)、同『他者の言語』(編訳)、同『絵画における真理 上』(共訳、以上法政大学出版局)、リオタール『現象学』(白水社)ほか。

藤本 一勇(フジモト カズイサ)

1966年生まれ。早稲田大学文学学術院教授。20世紀フランス哲学専攻。著書に『情報のマテリアリズム』(NTT出版)、『外国語学』(岩波書店)、『批判感覚の再生』(白澤社)、訳書にデリダ『散種』(共訳、法政大学出版局)、同『プシュケー I・II』『哲学のナショナリズム』、デリダ/ハーバーマス『テロルの時代と哲学の使命』(以上、岩波書店)、バディウ 『存在と出来事』『哲学の条件』(以上、 藤原書店)ほか。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

タンパン

差延

ウーシアとグランメー──『存在と時間』の或る注記についての注記
 注記
 学外のもの
 パラフレーズ──点、線、面
 問いの回避されたもの
 本質の小さな鍵
 グランメーと数
 グランメーの囲いと差異の痕跡

竪坑とピラミッド──ヘーゲル記号学への序論
 記号学と心理学
 ヘーゲルの記号学
 止揚すること──〈話すこと〉が言わんとするもの
  (A)書字間の目的論的位階制
  (B)普遍文字批判──悟性の散文
    a トト
    b 亀
    c 書くことと計算すること

人間の目的=終わり
 人間主義あるいは形而上学
 人間主義の止揚
 目的=終わり──人間に近いもの
 読むわれわれ
  一 意味の還元
  二 戦略的な賭け
  三 高等な人間と超人との差異

ジュネーヴの言語学サークル
 領野の開け
 概念の囲い

原注
訳注
訳者あとがき