サルトル研究の第一人者ミシェル・コンタは『存在と無』はレジスタンスの書であるという。本書の著者、生方淳子はそこからさらに、サルトルがカントとヘーゲルに挑戦し、フッサールとハイデガーの批判的継承をとおして、新たな自由の哲学を打ち立てようとする思考回路を見出す。自由の必然性を証す意識の現象学が、それ自体として無言のレジスタンスとなるだろう。ここから私たちは何を学びうるのか。
生方 淳子(ウブカタ アツコ)
1957年、群馬県生まれ。1980年、青山学院大学文学部卒業。1983年、東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。1996年、パリ第1(パンテオン゠ソルボンヌ)大学博士課程修了。哲学博士。国士舘大学教授。主な共著に『サルトル、21世紀の思想家』(思潮社)、『サルトル読本』(法政大学出版局)、『死の人間学』(金子書房)、『子どもの暮らしの安全・安心~命の教育へ』(金子書房)がある。
ミシェル・コンタ(コンタ ミシェル)
(Michel Contat)
1938年、ベルン生まれのスイス出身のフランス人。1965年、ローザンヌ大学卒業。フラン ス国立高等研究院(EPHE)博士課程にて現代文学・哲学を専攻。文学・哲学研究者、作家、文芸評論家。1982年、フランス国立科学研究センター(CNRS)研究員。同センター内の近 代草稿研究所(ITEM)にサルトル部門を創設し長きにわたって主任を務める。ミシェル・ リバルカと共に『サルトル著作集・著作年譜』、『サルトル青年期著作集』(以上ガリマール 書店)を編纂したほか、サルトルの小説、演劇等の校訂注釈版(プレイヤッド版)の編纂を率いた。サルトルに関する著書として、『サルトル、自由の創案』(テクスチュエル出版)、『サルトルのために』(PUF)など多数がある。
緒言
序
まえがき──日本の読者へ/ミシェル・コンタ
『存在と無』とレジスタンス(ミシェル・コンタ、ニューヨーク大学講演)
第一部 ナチズムの闇の中で
第一章 『存在と無』とレジスタンス──ミシェル・コンタ講演解説
第一節 ミシェル・コンタ氏について
第二節 『存在と無』への新たな視座
第三節 『存在と無』が語るナチズムへの抵抗
第四節 『存在と無』はナチズムを告発しているのか
第五節 存在論のルール違反か
第二章 第二次世界大戦と『存在と無』の生成
第一節 『存在と無』までの道のり
第二節 占領下のパリにて
第二部 ドイツ哲学の地平を見据えて
第一章 カント
第一節 『存在と無』以前におけるカントへの疑問と批判
第二節 『存在と無』におけるカントとの対決──時間論と他者論
第三節 カント道徳論の乗り越えとその困難
第二章 ヘーゲル
第一節 遠い地平
第二節 ヘーゲル弁証法の借用・転用・流用
第三節 見果てぬ弁証法
第三部 新たな自由の地平を目指して
第一章 フッサールおよびハイデガーとの出会いの神話
第一節 フッサール
第二節 ハイデガー
第二章 フッサールとハイデガーの間で
第一節 事象から無へ
第二節 時間性と超越
第三節 他者
第三章 課題とメッセージ
第一節 数学基礎論の回避と認識論の遮断
第二節 サルトル的コラージュから発されるメッセージ
終章 戦争と存在論
Ⅰ 二〇世紀の戦争とサルトル
Ⅱ 二一世紀のレジスタンス
あとがき
文献目録
索引
序
まえがき──日本の読者へ/ミシェル・コンタ
『存在と無』とレジスタンス(ミシェル・コンタ、ニューヨーク大学講演)
第一部 ナチズムの闇の中で
第一章 『存在と無』とレジスタンス──ミシェル・コンタ講演解説
第一節 ミシェル・コンタ氏について
第二節 『存在と無』への新たな視座
第三節 『存在と無』が語るナチズムへの抵抗
第四節 『存在と無』はナチズムを告発しているのか
第五節 存在論のルール違反か
第二章 第二次世界大戦と『存在と無』の生成
第一節 『存在と無』までの道のり
第二節 占領下のパリにて
第二部 ドイツ哲学の地平を見据えて
第一章 カント
第一節 『存在と無』以前におけるカントへの疑問と批判
第二節 『存在と無』におけるカントとの対決──時間論と他者論
第三節 カント道徳論の乗り越えとその困難
第二章 ヘーゲル
第一節 遠い地平
第二節 ヘーゲル弁証法の借用・転用・流用
第三節 見果てぬ弁証法
第三部 新たな自由の地平を目指して
第一章 フッサールおよびハイデガーとの出会いの神話
第一節 フッサール
第二節 ハイデガー
第二章 フッサールとハイデガーの間で
第一節 事象から無へ
第二節 時間性と超越
第三節 他者
第三章 課題とメッセージ
第一節 数学基礎論の回避と認識論の遮断
第二節 サルトル的コラージュから発されるメッセージ
終章 戦争と存在論
Ⅰ 二〇世紀の戦争とサルトル
Ⅱ 二一世紀のレジスタンス
あとがき
文献目録
索引
『戦場の哲学』正誤表PDF
本書の刊行後、いくつかの誤記の箇所を確認いたしました。編集部の不注意によるものであり、読者の皆さまに心よりお詫びを申し上げます(2022年10月28日)。
本書の刊行後、いくつかの誤記の箇所を確認いたしました。編集部の不注意によるものであり、読者の皆さまに心よりお詫びを申し上げます(2022年10月28日)。
書評掲載
「図書新聞」(2021年4月10日号/竹本研史氏・評)に紹介されました。