14年近くに及んだ日韓国交正常化交渉は外交史に残る難交渉のひとつとなった。本書は、日韓会談の最大の焦点だった「請求権問題」が「経済協力方式」で決着が図られる過程、日本の国内政治が日韓会談に与えた影響、北朝鮮という要因が日韓会談と日朝関係に及ぼした影響などについて、近年、日韓両国で公開された数万枚の外交文書をもとに歴史的な解明をめざす国際共同研究の成果。
李鍾元(リー ジョンウォン)
早稲田大学大学院アジア太平洋研究科教授。
木宮 正史(キミヤ タダシ)
東京大学大学院総合文化研究科教授。
浅野 豊美(アサノ トヨミ)
早稲田大学政治経済学術院教授。
※上記内容は本書刊行時のものです。序 章 外交文書公開と日韓会談研究の新展開 (李鍾元・木宮正史・浅野豊美)
第Ⅰ部 植民地支配と請求権問題
第1章 二つの講和条約と初期日韓交渉における植民地主義 (太田 修)
はじめに
一 二つの講和条約と植民地問題
二 日本の植民地支配認識と講和条約第四条の「請求権」
三 植民地支配批判としての「韓国併合条約無効論」
四 請求権問題における「相互放棄乃至相殺方式」の確定
おわりに
第2章 サンフランシスコ講和条約と帝国清算過程としての日韓交渉 (浅野豊美)
はじめに
一 サンフランシスコ講和条約と韓国の連合国民待遇
二 請求権問題の政治化――在韓日本資産と在日韓国系資産
三 歴史認識問題の起源と仲裁者としての米国
おわりに
第3章 日韓国交正常化交渉における基本関係交渉 (吉澤文寿)
はじめに
一 第一期の基本関係交渉(一九五一年一○月〜一九五二年四月)
二 第二期における基本関係交渉(一九五二年四月〜一九六四年一二月)
三 第三期における基本関係交渉(一九六四年一二月〜一九六五年二月)
おわりに
第4章 戦後日本のポツダム宣言解釈と朝鮮の主権 (長澤裕子)
はじめに
一 太平洋戦争敗戦直後の日本の対米強硬路線と米国の圧力
二 ポツダム宣言と朝鮮の主権
三 「日本と朝鮮の分離」――SCAPIN六七七と講話条約研究にみられる日本の解釈
四 日韓会談と朝鮮の独立および主権問題
おわりに
第Ⅱ部 歴史清算としての文化財問題
第5章 古美術品をめぐる国際政治
──冷戦政治と朝鮮半島の文化財 一九四五〜一九六○年 (クリスティン・キム)
はじめに
一 朝鮮半島における文化冷戦
二 日本統治下朝鮮における博物館
三 植民地としての朝鮮の過去の遺産
四 戦時中の文化財避難計画
五 戦時中の略奪
おわりに
第6章 日韓会談における文化財「返還」交渉の展開過程と争点 (朴 薫)
はじめに
一 文化財「返還」会談の初期過程
二 専門家会議開催後の文化財「返還」会談
三 文化財「返還」会談の争点と評価
おわりに
第7章 日韓会談と韓国文化財の返還問題再考
──請求権問題からの分離と「文化財協定」 (長澤裕子)
はじめに――日韓会談と請求権問題
一 会談初期、日韓の「早期解決」方針と韓国知日派の役割
二 外務省の「早期解決」方針と国際条約の研究
三 文化財問題の硬直化と「文化財協定」における日韓の妥結
おわりに
第Ⅲ部 日韓会談と在日韓国・朝鮮人問題
第8章 終戦直後の在日朝鮮人・韓国人社会における「本国」指向性と第一次日韓会談 (崔永鎬)
はじめに
一 解放直後在日朝鮮人社会の「本国」指向性
二 民団の結成と初期活動における「本国」指向性
三 第一次日韓会談における民団の「本国」指向性
おわりに
第9章 在日民団の本国指向路線と日韓交渉 (盧琦霙)
はじめに
一 民団の本国志向路線
二 李承晩政権の反日政策と民団
三 在日韓国人政策の変化
おわりに
第10章 日韓会談と「在日」の法的地位問題
──退去強制を中心に (小林玲子)
はじめに
一 日韓会談以前の出入国管理体制
二 韓国による退去強制の容認
三 日本側提示による退去強制案への韓国側の討議拒否
四 退去強制事由の具体的討議から仮調印へ
おわりに
第Ⅳ部 領域秩序の再編
第11章 水産資源秩序再編におけるGHQ天然資源局と日韓関係 (樋口敏広)
はじめに
一 「社会学的実験」としての日本・中国・南朝鮮水産技術協力構想の浮沈
二 東シナ海・黄海「科学的」資源管理の虚実
三 対韓漁業協力政策と日米・日韓並行交渉構想の挫折
おわりに
第12章 日韓漁業問題
──多相的な解釈の枠組み (山内康英・藤井賢二)
はじめに
一 日韓漁業問題の解釈の枠組み
二 日韓漁業問題と日本の朝鮮統治
三 国際海洋レジームの変化と日韓漁業交渉
四 構造転換と交渉者
おわりに
第13章 韓日船舶返還交渉の政治過程
──第一次会談船舶分科委員会における交渉を中心に (南基正)
はじめに
一 船舶返還問題の提起
二 船舶返還交渉の展開(一)――第一次会談における三三次の交渉を中心に
三 船舶返還交渉の展開(二)――第二次会談以後の交渉と空虚な結末
おわりに
第14章 韓日会談における独島(ドクト)領有権問題
──韓国と日本外交文書に対する実証的分析 (崔喜植)
はじめに
一 一九六○年代以前の独島領有権問題
二 朴正煕政権の登場と本格的な交渉の始まり
三 第三国調停案の台頭
四 「紛争解決に関する交換公文」交渉と独島領有権問題
おわりに――独島領有権交渉に対する評価
あとがき
事項索引
人名索引
第Ⅰ部 植民地支配と請求権問題
第1章 二つの講和条約と初期日韓交渉における植民地主義 (太田 修)
はじめに
一 二つの講和条約と植民地問題
二 日本の植民地支配認識と講和条約第四条の「請求権」
三 植民地支配批判としての「韓国併合条約無効論」
四 請求権問題における「相互放棄乃至相殺方式」の確定
おわりに
第2章 サンフランシスコ講和条約と帝国清算過程としての日韓交渉 (浅野豊美)
はじめに
一 サンフランシスコ講和条約と韓国の連合国民待遇
二 請求権問題の政治化――在韓日本資産と在日韓国系資産
三 歴史認識問題の起源と仲裁者としての米国
おわりに
第3章 日韓国交正常化交渉における基本関係交渉 (吉澤文寿)
はじめに
一 第一期の基本関係交渉(一九五一年一○月〜一九五二年四月)
二 第二期における基本関係交渉(一九五二年四月〜一九六四年一二月)
三 第三期における基本関係交渉(一九六四年一二月〜一九六五年二月)
おわりに
第4章 戦後日本のポツダム宣言解釈と朝鮮の主権 (長澤裕子)
はじめに
一 太平洋戦争敗戦直後の日本の対米強硬路線と米国の圧力
二 ポツダム宣言と朝鮮の主権
三 「日本と朝鮮の分離」――SCAPIN六七七と講話条約研究にみられる日本の解釈
四 日韓会談と朝鮮の独立および主権問題
おわりに
第Ⅱ部 歴史清算としての文化財問題
第5章 古美術品をめぐる国際政治
──冷戦政治と朝鮮半島の文化財 一九四五〜一九六○年 (クリスティン・キム)
はじめに
一 朝鮮半島における文化冷戦
二 日本統治下朝鮮における博物館
三 植民地としての朝鮮の過去の遺産
四 戦時中の文化財避難計画
五 戦時中の略奪
おわりに
第6章 日韓会談における文化財「返還」交渉の展開過程と争点 (朴 薫)
はじめに
一 文化財「返還」会談の初期過程
二 専門家会議開催後の文化財「返還」会談
三 文化財「返還」会談の争点と評価
おわりに
第7章 日韓会談と韓国文化財の返還問題再考
──請求権問題からの分離と「文化財協定」 (長澤裕子)
はじめに――日韓会談と請求権問題
一 会談初期、日韓の「早期解決」方針と韓国知日派の役割
二 外務省の「早期解決」方針と国際条約の研究
三 文化財問題の硬直化と「文化財協定」における日韓の妥結
おわりに
第Ⅲ部 日韓会談と在日韓国・朝鮮人問題
第8章 終戦直後の在日朝鮮人・韓国人社会における「本国」指向性と第一次日韓会談 (崔永鎬)
はじめに
一 解放直後在日朝鮮人社会の「本国」指向性
二 民団の結成と初期活動における「本国」指向性
三 第一次日韓会談における民団の「本国」指向性
おわりに
第9章 在日民団の本国指向路線と日韓交渉 (盧琦霙)
はじめに
一 民団の本国志向路線
二 李承晩政権の反日政策と民団
三 在日韓国人政策の変化
おわりに
第10章 日韓会談と「在日」の法的地位問題
──退去強制を中心に (小林玲子)
はじめに
一 日韓会談以前の出入国管理体制
二 韓国による退去強制の容認
三 日本側提示による退去強制案への韓国側の討議拒否
四 退去強制事由の具体的討議から仮調印へ
おわりに
第Ⅳ部 領域秩序の再編
第11章 水産資源秩序再編におけるGHQ天然資源局と日韓関係 (樋口敏広)
はじめに
一 「社会学的実験」としての日本・中国・南朝鮮水産技術協力構想の浮沈
二 東シナ海・黄海「科学的」資源管理の虚実
三 対韓漁業協力政策と日米・日韓並行交渉構想の挫折
おわりに
第12章 日韓漁業問題
──多相的な解釈の枠組み (山内康英・藤井賢二)
はじめに
一 日韓漁業問題の解釈の枠組み
二 日韓漁業問題と日本の朝鮮統治
三 国際海洋レジームの変化と日韓漁業交渉
四 構造転換と交渉者
おわりに
第13章 韓日船舶返還交渉の政治過程
──第一次会談船舶分科委員会における交渉を中心に (南基正)
はじめに
一 船舶返還問題の提起
二 船舶返還交渉の展開(一)――第一次会談における三三次の交渉を中心に
三 船舶返還交渉の展開(二)――第二次会談以後の交渉と空虚な結末
おわりに
第14章 韓日会談における独島(ドクト)領有権問題
──韓国と日本外交文書に対する実証的分析 (崔喜植)
はじめに
一 一九六○年代以前の独島領有権問題
二 朴正煕政権の登場と本格的な交渉の始まり
三 第三国調停案の台頭
四 「紛争解決に関する交換公文」交渉と独島領有権問題
おわりに――独島領有権交渉に対する評価
あとがき
事項索引
人名索引
[執筆者]
*は編者 ◎は初刷刊行時
李鍾元(リー ジョンウォン)
(早稲田大学大学院アジア太平洋研究科教授)[序章,第3章]*
木宮正史(キミヤ タダシ)
(東京大学大学院総合文化研究科教授)[序章,第4章]*
浅野豊美(アサノ トヨミ)
(早稲田大学政治経済学術院教授)[序章]*
太田修(オオタ オサム)
(同志社大学グローバル・スタディーズ研究科教授)[第1章]
吉澤文寿(ヨシザワ フミトシ)
(新潟国際情報大学国際学部教授)[第3章]
長澤裕子(ナガサワ ユウコ)
(東京大学韓国学研究センター特任研究員)[第4,7章]
クリスティン・キム(Christine Kim)
(ジョージタウン大学外交政策学部副教授◎)[第5章]
朴薫(パク フン)
(ソウル大学校人文大学東洋史学科教授◎)[第6章]
崔永鎬(チェ ヨンホ)
(霊山大学日本語学科教授,同大学国際研究所所長◎)[第8章]
盧琦霙(ノ ギヨン)
(国家記録院大統領記録館学芸研究士◎)[第9章]
小林玲子(コバヤシ レイコ)
(韓国光云大学校東北アジア学部客員教授◎)[第10章]
樋口敏広(ヒグチ トシヒロ)
(ジョージタウン大学歴史学部大学院博士候補生◎)[第11章]
山内康英(ヤマウチ ヤスヒデ)
(多摩大学情報社会学研究所教授)[第12章]
藤井賢二(フジイ ケンジ)
(島根県竹島問題研究顧問)[第12章]
南基正(ナム ギジュン)
(ソウル大学校日本研究所副教授◎)[第13章]
崔喜植(チェ キシク)
(国民大学校国際学部専任講師◎)
*は編者 ◎は初刷刊行時
李鍾元(リー ジョンウォン)
(早稲田大学大学院アジア太平洋研究科教授)[序章,第3章]*
木宮正史(キミヤ タダシ)
(東京大学大学院総合文化研究科教授)[序章,第4章]*
浅野豊美(アサノ トヨミ)
(早稲田大学政治経済学術院教授)[序章]*
太田修(オオタ オサム)
(同志社大学グローバル・スタディーズ研究科教授)[第1章]
吉澤文寿(ヨシザワ フミトシ)
(新潟国際情報大学国際学部教授)[第3章]
長澤裕子(ナガサワ ユウコ)
(東京大学韓国学研究センター特任研究員)[第4,7章]
クリスティン・キム(Christine Kim)
(ジョージタウン大学外交政策学部副教授◎)[第5章]
朴薫(パク フン)
(ソウル大学校人文大学東洋史学科教授◎)[第6章]
崔永鎬(チェ ヨンホ)
(霊山大学日本語学科教授,同大学国際研究所所長◎)[第8章]
盧琦霙(ノ ギヨン)
(国家記録院大統領記録館学芸研究士◎)[第9章]
小林玲子(コバヤシ レイコ)
(韓国光云大学校東北アジア学部客員教授◎)[第10章]
樋口敏広(ヒグチ トシヒロ)
(ジョージタウン大学歴史学部大学院博士候補生◎)[第11章]
山内康英(ヤマウチ ヤスヒデ)
(多摩大学情報社会学研究所教授)[第12章]
藤井賢二(フジイ ケンジ)
(島根県竹島問題研究顧問)[第12章]
南基正(ナム ギジュン)
(ソウル大学校日本研究所副教授◎)[第13章]
崔喜植(チェ キシク)
(国民大学校国際学部専任講師◎)