彼自身によるロベール・ブレッソン
インタビュー 1943–1983
ISBN978-4-588-42019-1 C0074 [2019年04月 刊行]
ロベール・ブレッソン(ブレッソン ロベール)
(Robert Bresson)
1901年、ピュイ゠ド゠ドーム県ブロモン゠ラモットに生まれる。画家として活動を始めるも映画監督へ転身。1934年に短編『公共問題』を監督。第二次世界大戦に従軍し捕虜となった後、1943年に『罪の天使たち』で長編デビュー。『ブローニュの森の貴婦人たち』(1945年)を経て、3作目となる『田舎司祭の日記』(1951年)以降、徐々に職業俳優を排除し、「モデル」と呼ばれる素人を起用、他の諸芸術に依存しない自律した芸術としての「シネマトグラフ」を探求していった。『抵抗』(1956年)、『スリ』(1959年)、『ジャンヌ・ダルク裁判』(1962年)、『バルタザールどこへ行く』(1966年)、『少女ムシェット』(1967年)、『やさしい女』(1969年)、『白夜』(1972年)、『湖のランスロ』(1974年)、『たぶん悪魔が』(1977年)を監督。1983年の『ラルジャン』が遺作となった。著書に『シネマトグラフ覚書―映画監督のノート』(松浦寿輝訳、筑摩書房、1987年)がある。1999年、パリにて死去。
ミレーヌ・ブレッソン(ブレッソン ミレーヌ)
(Mylène Bresson)
ベルギー出身。旧姓はミレーヌ・ヴァン・デル・メルシュ。『少女ムシェット』以降のブレッソン作品で助監督を務め、ロベール・ブレッソンの妻となった。
角井 誠(スミイ マコト)
1982年生まれ。東京大学大学院博士課程満期退学、パリ第1大学博士課程修了。博士(芸術学)。現在、首都大学東京准教授。専門はジャン・ルノワールを中心としたフランス映画研究。主な論文に「ルノワール・タッチ――『スワンプ・ウォーター』における俳優演出」(『映像学』91号)、「テクスト、情動、動物性――ジャン・ルノワールとルイ・ジュヴェの演技論をめぐって」(『表象』7号)、共著に『映画監督、北野武。』(フィルムアート社、2017年)、共訳に『ジル・ドゥルーズの「アベセデール」』(KADOKAWA、2015年)などがある。
※上記内容は本書刊行時のものです。1 『公共問題』──1934年
前奏曲
2 『罪の天使たち』──1943年
作家が必要である
ジャン・ジロドゥ
3 『ブローニュの森の貴婦人たち』──1945年
動揺と衝撃
内面が命じる
ジャン・コクトー
呪われた映画祭
4 『田舎司祭の日記』──1951年
それら二つの世界のあいだで
この賭けこそが私を引きつける
見ることと聞くこと
詩を書くように
5 『抵抗』──1956年
風は己の望むところに吹く
新たなる表現手段
6 『スリ』──1959年
手とオブジェと視線の映画
映画のリズムは心臓の鼓動でなければならない
ただ現実だけを捕獲するために
神秘に至ること
詩と真実は姉妹である
7 『ジャンヌ・ダルク裁判』──1962年
手で触れうる超自然との親しき交わり
私はこれ以上に残酷で痛ましいことを知らない
映画がそれを望んだ
エモーションがわれわれの唯一の導き手でなければならない
ジャンヌ・ダルクは美しく、優雅で、天才的で、現代的であった──奇妙なまでに自由な神秘主義者
彼女をリアルで親密なものとするために
電流を流すためには、電線を裸に剥かねばならない
8 脚色
劇的創造の諸局面──脚色
9 『バルタザールどこへ行く』──1966年
純粋さ、静けさ、平穏さ、聖性とともにあるロバ
私の作った最も自由な映画、私自身を最も詰め込んだ映画
生をコピーすることなく、生に至る方法を見つけること
踏破された道のり
10 『少女ムシェット』──1967年
むしろ肖像画家が描くように
ベルナノスがしっくりくるのは、彼が現実を用いて超自然を作り出すからである
死に至らしめる視線
11 サウンド・トラック
耳は眼よりもずっと創造的である
12 『やさしい女』──1969年
死と生の衝突
私はここに、もう一人はよそに。そして沈黙は恐ろしい
13 『白夜』──1972年
芸術は贅沢品ではない。生活必需品である
青と栗色のあいだで
私は不意打ちを求めている
14 『湖のランスロ』──1974年
過去を現在に置き直す
ランスロのきわめて特異な内面の冒険こそが私の心を打った
忠義と不忠のあいだに引き裂かれて
音を立てる鉄
聖杯、アクションを下から動かす原動力
15 『シネマトグラフ覚書』──1975年
己の芸術を丸裸にする
16 『たぶん悪魔が』──1977年
敵
詩は省略を介して滑り込む
17 『ラルジャン』──1983年
おお、金、眼に見える神よ!
映画は広大である。まだ何もなされていない
訳者あとがき
図版クレジット
書評掲載
「神戸映画資料館 今月の1冊」(大谷晋平氏・評)に紹介されました。
「キネマ旬報」(2019年7月下旬号/三浦哲哉氏・評)に紹介されました。
「読書人」(2019年12月20日号/伊藤洋司氏・評)に紹介されました。
「キネマ旬報」(2020年4月上旬号)映画本大賞2019で第8位に選出されました。