19世紀後半のフランスで、一介の中学教師として英語を教えていた大詩人は、『英単語』という奇妙なテクストでいったい何を企図していたのか。マラルメ詩学の基礎をなす、文字や音のもつ神秘とその歴史性についての言語学的認識を、当時の古典語をめぐる教育文化・政策やヨーロッパ辞書学の系譜に位置づける前人未踏の探究。読み書きの根源に見出される「人文学」の問いとは何か?
「第1回 法政大学出版局・学術図書刊行助成」対象作品
「第1回 法政大学出版局・学術図書刊行助成」対象作品
立花 史(タチバナ フヒト)
1974年生まれ。早稲田大学等非常勤講師。フランス文学専攻。共著に『危機のなかの文学』(水声社)、『戦争と近代』(社会評論社)、『マラルメの現在』(水声社)ほか、論文に「マラルメの辞書学─『英単語』第一巻「一覧表」の解読」(『フランス語フランス文学研究』102号)、「デリダ美学の研究─文学、あるいはフィクション性の制度」(『現代思想』2015年2月)ほか、共訳書にデリダ『散種』(法政大学出版局)、同『哲学への権利1』(みすず書房)がある。
※上記内容は本書刊行時のものです。序論
第一章 『最新流行』の人文学
第一節 歴史のなかの人文学
1 自由学科から人文学へ
2 人文学の目的と内容
3 人文学の見直し
4 現用語の教師マラルメ
5 『最新流行』「教育の助言」の同時代性
第二節 『最新流行』の「教育の助言」概観
第三節 ブレアルと教科書たち
1 ダイレクトメソッド
2 文献学メソッド
第二章 『英単語』の辞書学
第一節 『英単語』刊行まで
第二節 心の辞書学
第三節 新教材としての『英単語』
1 マラルメのダイレクトメソッド
2 言語の歴史教育
3 英語の(再)創造力
第四節 人文学のための辞典
1 マラルメの人文学
2 詩作辞典「グラドゥス」の歴史
3 グラドゥスの使い方
4 心の中のグラドゥス
補論 マラルメとアール
1 『英語文献学』の背景
2 『英語文献学』の「前書き」
3 文献学の教科書か、文献学メソッドの教科書か
第三章 「一覧表」の構造
第一節 「一覧表」の分析対象
第二節 もともとの語彙
第三節 語家族と孤立語
1 語の家族とは何か
2 語家族の内訳
3 フランス語による翻訳と注釈
4 擬音語と間投詞の扱い
5 孤立語
第四節 イニシャルの説明
第四章 「一覧表」の包括的イメージ
第一節 ジャック・ミションの分析
第二節 ミションの問題点
第三節 ミションの可能性
第四節 包括的イメージ
第五章 「一覧表」と辞書学
第一節 辞典とその目的
第二節 辞書学における配列問題
1 意味的分類による挑戦
2 語源的分類による挑戦
第六章 「一覧表」の分析
第一節 イニシャル内の恣意性
1 語たちの有縁化—語家族
2 語家族たちの有縁化—イニシャルの説明
第二節 イニシャル間の恣意性
1 イニシャル間の形式的有縁化—音声学的序列
2 イニシャル間の意味的有縁化— 「全体的な意味と音との諸関係」へ
第三節 「一覧表」と現代の言語科学
1 一覧表の挑戦
2 一覧表の難点
3 一覧表の歴史的位置づけ
4 心内辞典
5 知的記憶術
第七章 近代語と公共性
第一節 言語の自己反省
1 マルシャルによる辞書学
2 言語をめぐる反省
第二節 人類の生を生き直す
1 非人称的な生き直し
2 書物の遍在
第三節 一覧表のトポス
1 一覧表の可動性
2 さまざまな観点
3 さまざまな楽器
第八章 マラルメと人文学
第一節 近代語人文学からフランス語人文学へ
1 近代語人文学
2 フランス語人文学
第二節 パブリック・ドメイン
1 爆弾と書物
2 知の聖遺物
3 フランスの高等教育
4 文学基金
第三節 マラルメの「文芸」
1 「文芸」の二重性
2 文字の神学
3 人文学の空間
結論
人文学の危機/『英単語』の辞書学/人文学の再構築/マラルメ以後
主要な書誌
あとがき
第一章 『最新流行』の人文学
第一節 歴史のなかの人文学
1 自由学科から人文学へ
2 人文学の目的と内容
3 人文学の見直し
4 現用語の教師マラルメ
5 『最新流行』「教育の助言」の同時代性
第二節 『最新流行』の「教育の助言」概観
第三節 ブレアルと教科書たち
1 ダイレクトメソッド
2 文献学メソッド
第二章 『英単語』の辞書学
第一節 『英単語』刊行まで
第二節 心の辞書学
第三節 新教材としての『英単語』
1 マラルメのダイレクトメソッド
2 言語の歴史教育
3 英語の(再)創造力
第四節 人文学のための辞典
1 マラルメの人文学
2 詩作辞典「グラドゥス」の歴史
3 グラドゥスの使い方
4 心の中のグラドゥス
補論 マラルメとアール
1 『英語文献学』の背景
2 『英語文献学』の「前書き」
3 文献学の教科書か、文献学メソッドの教科書か
第三章 「一覧表」の構造
第一節 「一覧表」の分析対象
第二節 もともとの語彙
第三節 語家族と孤立語
1 語の家族とは何か
2 語家族の内訳
3 フランス語による翻訳と注釈
4 擬音語と間投詞の扱い
5 孤立語
第四節 イニシャルの説明
第四章 「一覧表」の包括的イメージ
第一節 ジャック・ミションの分析
第二節 ミションの問題点
第三節 ミションの可能性
第四節 包括的イメージ
第五章 「一覧表」と辞書学
第一節 辞典とその目的
第二節 辞書学における配列問題
1 意味的分類による挑戦
2 語源的分類による挑戦
第六章 「一覧表」の分析
第一節 イニシャル内の恣意性
1 語たちの有縁化—語家族
2 語家族たちの有縁化—イニシャルの説明
第二節 イニシャル間の恣意性
1 イニシャル間の形式的有縁化—音声学的序列
2 イニシャル間の意味的有縁化— 「全体的な意味と音との諸関係」へ
第三節 「一覧表」と現代の言語科学
1 一覧表の挑戦
2 一覧表の難点
3 一覧表の歴史的位置づけ
4 心内辞典
5 知的記憶術
第七章 近代語と公共性
第一節 言語の自己反省
1 マルシャルによる辞書学
2 言語をめぐる反省
第二節 人類の生を生き直す
1 非人称的な生き直し
2 書物の遍在
第三節 一覧表のトポス
1 一覧表の可動性
2 さまざまな観点
3 さまざまな楽器
第八章 マラルメと人文学
第一節 近代語人文学からフランス語人文学へ
1 近代語人文学
2 フランス語人文学
第二節 パブリック・ドメイン
1 爆弾と書物
2 知の聖遺物
3 フランスの高等教育
4 文学基金
第三節 マラルメの「文芸」
1 「文芸」の二重性
2 文字の神学
3 人文学の空間
結論
人文学の危機/『英単語』の辞書学/人文学の再構築/マラルメ以後
主要な書誌
あとがき
書評掲載
「週刊読書人」(2015年12月11日号/原大地氏・評)に紹介されました。
「週刊読書人」(2015年12月18日号、年末回顧総特集/塚本昌則氏・評)に紹介されました。
「cahier」(2017年19号/中畑寛之氏・評)にて紹介されました。