サピエンティア 9
差異
アイデンティティと文化の政治学

四六判 / 316ページ / 上製 / 価格 3,300円 (消費税 300円) 
ISBN978-4-588-60309-9 C3330 [2009年07月 刊行]

内容紹介

過去数十年、国境を越える移民の増大、マイノリティのアイデンティティ表出、アフリカン‐アメリカン意識の昂揚など「文化的差異」が登場し、これらの公的領域への「闖入」が問題とされている。本書は、文化的差異をめぐる欧米の政治哲学の議論を広く渉猟しながら、文化的承認と社会的不平等との闘争を結びつける「統合された多文化主義」を説き、他者との共存のあり方を構想する。

目次

日本語版によせて
謝 辞
 序 論
  分析から行為へ
  社会科学の位置
  文化の観念

 第Ⅰ部論争の誕生

第1章 文化的差異と社会的不公正
 二つの波動
 出現の二つの様式
 異  議
 集合的アイデンティティと個人主義
 空間におけるアイデンティティ

第2章 政治・道徳哲学のとき
 発  端
 リベラルズとコミュニタリアンズ
 主体の問題
 息切れした論争
 五つの出口

第3章 集合的差異か、混淆か
 二つのアプローチ
 集合的アイデンティティへの回帰
 異種交配
 文化の混淆と社会的実践

第4章 多文化主義
 統合された多文化上義
 分裂した多文化主義
 議論と論争

 第Ⅱ部 差異の分析

第5章 差異の再生産と構築――類型化
 抑圧されたマイノリティ
 「第一次的」マイノリティ
 「非自発的」マイノリティ
 移民第一世代
 移民出自者のアイデンティティ
 個人的体験から集合的アイデンティティへ

第6章 差異の生産
 相補的な二つの条件
 スティグマの逆転
 痛みなきアイデンティティ?

第7章 差異の三角形
 差異の三つの構成要素
 理想的な布置連関
 移動をめぐる困難
 差異の布置連関

第8章 文化、アイデンティティ、記憶 
 記憶と主体
 記憶と歴史

 結 論

訳者あとがき
訳註(用語解説)
原註
索引

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『フランスという坩堝(るつぼ)』
ジェラール・ノワリエル:著