ジェラール・ノワリエル(ノワリエル ジェラール)
(Gérard Noiriel)
1950年フランス、ナンシー生まれ。社会科学高等研究院教授、専門は国民国家および移民現象の社会史。比較的貧しい家庭の出で、中学校教師としてロレーヌ地方の町ロンウィに赴任、鉄鋼労働者の運動に参加するなかで移民の重要性を見出す。製鉄所閉鎖反対闘争が組織されると、労働総同盟が設立したいわゆる自由ラジオ「ロンウィ・クール・ダシエ」に参加し、1984年には博士論文を元に書いた『ロンウィ、移民とプロレタリア』(フランス大学出版)を公刊。1980年代後半から90年代前半にかけて、大学教員に就任するとともに公共放送フランス3での移民関連番組の制作に参加。2000年代には、国立移民史博物館の設立に向けた運動の旗振り役の一人となり、開設にこぎつけるも、2007年の「移民およびナショナル・アイデンティティ省」の設立に抗議して同博物館の役職を辞任。この間の事情は『ナショナル・アイデンティティは何の役に立つのか?』(アゴーヌ社)に詳しい。『フランスという坩堝』以来の20年間の研究の集大成として『フランスにおける移民、反ユダヤ主義、人種差別』(ファヤール社)がある。
大中 一彌(オオナカ カズヤ)
1971年生。パリ第10大学博士(哲学)。法政大学教授。政治学、政治思想。論文に「自発的隷従とは何か」(細井保編『20世紀の思想経験』法政大学出版局)、「パスカルにおける情念と政治」(『思想』第1033号)、訳書にバリバール『ヨーロッパ、アメリカ、戦争』(平凡社)、アルチュセール『再生産について』(共訳、平凡社ライブラリー)ほか。
川﨑 亜紀子(カワサキ アキコ)
1971年生。早稲田大学大学院博士(経済学)。東海大学准教授。近代フランス史、ユダヤ史。論文に「アンシァン・レジーム期におけるアルザス・ユダヤ人と王権」(田村愛理他編『国家の周縁』刀水書房)、訳書に『中立国スイスとナチズム』(共訳、京都大学学術出版会)ほか。
太田 悠介(オオタ ユウスケ)
1980年生。パリ第8大学博士(哲学)および東京外国語大学博士(学術)。日本学術振興会特別研究員PD.20世紀フランスを中心とする思想史。共訳書にアガンベンほか『民主主義は、いま?』(以文社)、アリギ『北京のアダム・スミス』(作品社)。論文に「矛盾と暴力」(『社会思想史研究』第37号)。
※上記内容は本書刊行時のものです。移民現象をめぐる新しい見方
二〇年間の研究
「移民現象」と「統合」──二つの定義の再考
一九九九年の国勢調査から
序論
第一章 記憶の場ならざるもの
1 正統性なき対象
2 国民と歴史学者──影響力の問題
3 起源と契約、あるいは問題設定の難しさ
3・1 新しい契約のひと──社会学「フランス学派」の定礎者、エミール・デュルケーム
3・2 フランスにおける移民史の「恥ずべき」起源
3・3 新しい移民、新しい社会学者
4 フェルナン・ブローデルへの疑問
第二章 カードと法典
1 共和政の発明品としての移民現象
1・1 「外国人」の時代(一七八九年から一八八九年)
1・2 移民現象──言葉と観念
1・3 国境をうまく扱うためのいくつかの方法について
2 話すことが行為することであるとき
3 それぞれの人にとっての移民
3・1 どのような「資格」で、移民なのか
3・2 移民政策の困難
第三章 根こぎにされた人びと
記憶のかけら
エクリチュール
外国人労働者
国籍の空間
流入と帰還
切断、収容所、仮住まい
故郷喪失
父の名のもとに
スティグマ
仲間うち
第四章 「フランスよ、おまえは私の根を傷つけた」
1 定 着
1・1 「行ったり来たり」の終わり
1・2 国籍が異なる者との結婚と帰化
2 「第二世代」──その定義を求めて
2・1 「第一次社会化」という決定的経験
2・2 「真正さ」という問題
3 「根を再発見する」?
第五章 三つの危機
1 三つの定着期
1・1 移民現象「創出」の起源──一八八〇年代の危機
1・2 危機の影響──国民的規範に近づきたいという欲求
2 はけ口
2・1 実践面において
2・2 言説面において
2・3 説明上の要素
3 フランス社会における三つの徴候
3・1 「国民的事跡」の構築
3・2 「自由」業とはいうものの
3・3 学校における移民
第六章 フランスの再構築
1 移民の導入──国の工業化をめぐる困難の解決策
2 フランスの繁栄
2・1「フランス人がやりたがらない仕事」
2・2 著名人
2・3 多元主義
3 フランス型「モデル」
3・1 国民の民主的法権利の全能性
3・2 フランスにおける移民現象──先進モデルか?
3・3 「国民的同化」の社会史にむけて
結論 フランス革命二百周年祭にあたっての小論
訳者あとがき
統計に関する補遺
増補した文献
史料と文献
索引
書評掲載
「日本経済新聞」(2015年10月11日付/渡邊啓貴氏・評)に紹介されました。
「東京新聞/中日新聞」(2015年11月1日付/清岡智比古氏・評)に紹介されました。
「信濃毎日新聞」「山梨日日新聞」「神戸新聞」「四国新聞」「愛媛新聞」(以上、2015年11月1日付)に紹介されました。
「出版ニュース」(2015年11月下旬号)にて紹介されました。
「図書新聞」(2016年12月12日号、2015年下半期読書アンケート/小倉孝誠氏・評)に紹介されました。
「図書新聞」(2016年2月13日号/松浦雄介氏・評)にて紹介されました。
「ふらんす」(2016年4月号/片岡大右氏・評)にて紹介されました。
「社会思想史研究」(2017年No.41)にて紹介されました。