サピエンティア 80
場面
報道の現場から見つめた韓国社会

孫石熙:著, 権学俊:訳
四六判 / 400ページ / 上製 / 価格 3,300円 (消費税 300円) 
ISBN978-4-588-60380-8 C0336 [2025年11月 刊行]

内容紹介

韓国の李明博・朴槿恵保守政権下でメディアへの圧力や介入が強まるなか、看板ニュース番組のアンカーはいかに権力と戦い、真実を報じつづけたのか。セウォル号沈没事故、朴大統領の弾劾、#MeToo 運動など、社会を大きく揺るがす事件が立て続けに起きるなか、苦悩しながら信念を貫くジャーナリストのエッセイ。韓国で大反響を呼んだ書、ついに邦訳。

著訳者プロフィール

孫石熙(ソン ソッキ)

孫石熙(손석희/ソン ソッキ)
1956年大韓民国ソウル生まれ。立命館大学産業社会学部客員教授。国民大学校で国文学を専攻し,米国ミネソタ州立大学大学院(ミネアポリス校)修士課程修了。ジャーナリズムおよびマスコミュニケーション(M.A.)修士。
1984年,韓国の公共(公営)放送局MBCにアナウンサーとして入社。社会部記者,アンカー,ラジオ時事番組の司会者,討論番組の進行役などを歴任。2006年,MBCアナウンサー局長を退き,誠信女子大学校メディアコミュニケーション学科の教授に就任(2006年3月~2013年2月)。2013年5月,JTBCに移籍し,報道部門社長,代表理事,統括社長などを歴任。2021年10月から2023年9月まで巡回特派員として日本で活動。2005年以来,約20年にわたり,韓国で最も影響力があり信頼度の高いジャーナリスト第1位に選ばれ続けている。現在は,現役のジャーナリストとしてMBCの時事トーク番組『孫石熙の質問たち』をシーズン制で担当。

権学俊(クオン ハクジュン)

権学俊(권학준/クオン ハクジュン)
1972年大韓民国忠州市生まれ。立命館大学産業社会学部教授。横浜市立大学大学院国際文化研究科博士課程修了。博士(学術)。
近現代日本社会と東アジアを研究対象とし,歴史社会学の視点からスポーツとナショナリズム,天皇制,身体規律に関する研究を進めている。近年は,戦争と歴史認識,歴史修正主義,排外主義といったテーマにも関心を持ち,研究を広げている。
主な著書に『国民体育大会の研究――ナショナリズムとスポーツ・イベント』(青木書店,2006年),『スポーツとナショナリズムの歴史社会学――戦前=戦後日本における天皇制・身体・国民統合』(ナカニシヤ出版,2021年),『朝鮮人特攻隊員の表象――歴史と記憶のはざまで』(法政大学出版局,2022年),『「知覧」の誕生――特攻の記憶はいかに創られてきたのか』(共著,柏書房,2015年),『昭和50年代論――「戦後の終わり」と「終わらない戦後」の交錯』(共著,みずき書林,2022年),『スポーツの近現代――その診断と批判』(共著,ナカニシヤ出版,2023年)など。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

日本語版への序文
はじめに――昔の宮殿の門番たちのために

第I部 「アジェンダ・キーピング」を考える
第1章 前日譚:二〇一二年Sグループ労使戦略
第2章 その船、セウォル号
第3章 タブレットPCが引き金となって開いたパンドラの箱
第4章 大統領選挙は花火ではない
第5章 避けて通れない#MeToo
第6章 私たちは平壌に行かなかった

第II部 ジャーナリズムはどうあるべきか
第1章 公営放送から総合編成チャンネルへ
第2章 ジャーナリズムから運動へ?
第3章 レガシーからデジタルへ
第4章 コーナーを見渡すと新しいジャーナリズムが見える
第5章 ジャーナリズムのより善き仕組みを目指して

おわりに――『ニュースルーム』を離れる
訳者解説
関連年表