「エネルギー計画2050」構想
脱原子力・脱炭素社会にむけて

A5判 / 194ページ / 上製 / 価格 3,080円 (消費税 280円) 
ISBN978-4-588-62540-4 C0031 [2019年02月 刊行]

内容紹介

原子力や火力発電に代わる自然・再生可能エネルギーの技術的発展が著しい現在、日本のエネルギー政策は持続可能な未来に向けてどのようなビジョンを描くべきなのか? 国内の現状のみならず、ドイツほか先進各国の環境政策、住宅・交通分野の市場の実態に通じた第一線の専門家たちが集い、2017年夏、法政大学サステイナビリティ研究所主催で行われたシンポジウムの記録。

著訳者プロフィール

壽福 眞美(ジュフク マサミ)

1947年生。法政大学サステイナビリティ研究センター客員研究員。法政大学名誉教授。専門は社会哲学。著書に『持続可能なエネルギー社会へ』(共編著、法政大学出版局)、『知の史的探究』(監修、八千代出版)、『資料で見る ドイツ「エネルギー転換」の歩み 1980〜2016年』(編、相模プリント)、“Energy Transition in Japan and Germany”(Sagami Print & Publishing)、訳書にヘニッケ/ヴェルフェンス『福島核電事故を経たエネルギー転換』(新評論)ほか。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

はじめに

第一部 分析と提言

第1章 自然エネルギーを中心とする日本のエネルギー計画
【槌屋治紀】
 1 はじめに
 2 地球温暖化とパリ協定
 3 脱炭素社会シナリオ2050
 4 将来のエネルギー需要
 5 自然エネルギーのポテンシャルと導入見通し
 6 自然エネルギーによる供給
 7 二つのシナリオ
 8 温室効果ガスの排出量
 9 費 用
 10 おわりに

第2章 専門家委員会、市民討議、政策形成
 ──エネルギー政策形成過程の日独比較
【壽福眞美】
 1 はじめに
 2 2012年「革新的エネルギー・環境戦略」──3・11以前と以後
 3 ドイツ「エネルギー転換」の道──政治と科学の関係
 4 政治的決定から社会的合意形成へ(2011〜2018年)
 5 おわりに

第3章 パリ合意に逆行しない日本のエネルギー政策および気候変動政策を策定するために
【明日香壽川】
 1 はじめに
 2 気候変動による影響
 3 気候変動対策の国際・国内枠組み
 4 石炭火力新設と政府施策との不整合
 5 これまでの温室効果ガス排出削減数値目標策定プロセス
 6 石炭火力発電所に対する訴訟
 7 おわりに

第4章 ドイツのエネルギー大転換
 ──日本のエネルギー政策への教訓
【吉田文和】
 1 はじめに
 2 ドイツの脱原発
 3 「ドイツのエネルギー大転換」
 4 ドイツのエネルギーの現状
 5 おわりに

第二部 総括討論
【壽福眞美・飯田哲也・槌屋治紀・荻本和彦・藤野純一・明日香壽川・吉田文和】

 2050ビジョンと現在の新傾向の統合
 定性的・定量的分析の統合
 日本の再生可能エネルギー政策の問題点とその原因
 FITの評価と今後
 核エネルギーという負債
 熱エネルギー政策をめぐって
 温暖化問題とCCS
 交通問題とエネルギー政策

■編者
壽福眞美(じゅふく・まさみ)[はじめに/第2章]
1947年生。法政大学サステイナビリティ研究センター客員研究員。法政大学名誉教授。専門は社会哲学。著書に『持続可能なエネルギー社会へ』(共編著、法政大学出版局)、『知の史的探究』(監修、八千代出版)、『資料で見る ドイツ「エネルギー転換」の歩み 1980〜2016年』(編、相模プリント)、“Energy Transition in Japan and Germany”(Sagami Print & Publishing)、訳書にヘニッケ/ヴェルフェンス『福島核電事故を経たエネルギー転換』(新評論)ほか。

■著者
槌屋治紀(つちや・はるき)[第1章]
1943年生。株式会社システム技術研究所所長。東京大学大学院機械工学科卒業。工学博士。自然エネルギーによる日本のエネルギー自立計画と二酸化炭素削減シナリオを研究。太陽電池のコスト低下を学習曲線により分析。IPCCの報告作成に協力。著書に『エネルギー耕作型文明』(東洋経済新報社)、『これからのエネルギー』(岩波ジュニア新書)、『燃料電池』(ちくま新書)、『エネルギーのいま・未来』(岩波ジュニア新書)ほか。

明日香壽川(あすか・じゅせん)[第3章]
1959年生。東北大学東北アジア研究センター教授(環境科学研究科教授兼任)。専門は環境・エネルギー政策論。東京大学大学院農学系研究科修士(農芸化学)、インシアード(INSEAD)で修士(経営学)、東京大学大学院工学系研究科で博士(学術)を取得。地球環境戦略研究機関(IGES)気候変動グループ・ディレクター、京都大学経済研究所客員助教授などを歴任。著書に『脱「原発・温暖化」の経済学』(共著、中央経済社)ほか。

吉田文和(よしだ・ふみかず)[第4章]
1950年生。北海道大学名誉教授、愛知学院大学経済学部教授。京都大学大学院経済学研究科博士課程修了。経済学博士。専門は環境経済学、産業技術論。著書に『ドイツの挑戦──エネルギー政策の日独比較』(日本評論社)、『スマートフォンの環境経済学』(日本評論社)、『循環型社会──持続可能な未来への経済学』(中公新書)、『グリーン・エコノミー──脱原発と温暖化対策の経済学』(中公新書)ほか。

飯田哲也(いいだ・てつなり)[総括討論]
認定NPO法人環境エネルギー政策研究所所長。著書に『エネルギー進化論』(ちくま新書)、『コミュニティパワー──エネルギーで地域を豊かにする』(編著、学芸出版社)ほか。

荻本和彦(おぎもと・かずひこ)[総括討論]
東京大学生産技術研究所エネルギーシステムインテグレーション社会連携研究部門特任教授。専門はエネルギー学、社会システム工学・安全システム。

藤野純一(ふじの・じゅんいち)[総括討論]
国立環境研究所社会環境システム研究センター(環境社会イノベーション研究室)主任研究員。専門は電気電子工学、システム工学。