叢書・ウニベルシタス 1118
帝国の島々
漂着者、食人種、征服幻想
レベッカ・ウィーバー=ハイタワー:著, 本橋 哲也:訳
四六判 / 454ページ / 上製 / 価格 5,280円 (消費税 480円)
ISBN978-4-588-01118-4 C1390 [2020年05月 刊行]
ISBN978-4-588-01118-4 C1390 [2020年05月 刊行]
『テンペスト』から『ロビンソン・クルーソー』『ガリヴァー旅行記』、そしてメルヴィル、ヴェルヌ、H.G.ウェルズらの諸作品を経て現代文学・映画・テレビシリーズへ。見知らぬ島に漂着した遭難者たちの冒険を描き、世界中で人気を博したこれら「島の物語」がいかにして帝国主義イデオロギーの拡大を支え、白人男性による暴力と植民地支配、新自由主義的搾取を正当化してきたかを論じる。
レベッカ・ウィーバー=ハイタワー(ウィーバー ハイタワー レベッカ)
(Rebecca Weaver-Hightower)
1968年、アメリカ合州国生まれ。1991年にクレムソン大学で英文学学士号、1993年にウィンスロップ大学で英文学修士号を取得、2002年に本書の元となる博士論文をケンタッキー大学に提出。2004年より北ダコタ州立大学英文科で教鞭を執り、現在、同大学教授・英文科長。主な著書にFrontier Fictions: Settler Sagas and Postcolonial Guilt (Palgrave Macmillan, 2018)がある。
本橋 哲也(モトハシ テツヤ)
1955年、東京生まれ。東京大学文学部英文科卒業後、ヨーク大学で博士号取得。現在、東京経済大学コミュニケーション学部教授。専門はイギリス文学、カルチュラル・スタディーズ。著書に『ポストコロニアリズム』(岩波新書、2005年)、『ディズニー・プリンセスのゆくえ』(ナカニシヤ出版、2016年)、『深読みミュージカル』(青土社、新装版2019年)など、訳書にヒューム『征服の修辞学』(共訳、法政大学出版局、1995年)、バーバ『文化の場所』(共訳、法政大学出版局、新装版2012年)などがある。
※上記内容は本書刊行時のものです。 日本語版へのまえがき
序 章 島々と所有の物語
歴史的視野
身体としての島
なぜ島なのか?
「私の島」(I-Land)と精神分析
読者と再コード化
方法論
島の概観
第一章 睥睨するすべてのものの君主
所有を精神分析する
投影、すなわち眼によって土地(Eye-Land)をまなざすこと
名付けと地図製作
所有の儀式
島との同一化──自我としての皮膚
体内取り込みとしての読書──冒険物語、寝床話(ベッドタイム・ストーリーズ)、文化的訓練
第二章 規律の島──白人の父権、ホモソーシャルな男性性、そして掟
島の規律と良き植民者
島の女性たち
食物、飲料、セックス、石鹸──男らしい規律の実践
島における父権と男らしさの再生産
島の子どもたちと男らしさの再生産という幻想
男らしい島とホモソーシャルな絆
父の掟
悪しき父親たち、獣のような子どもたち
第三章 飢えた食人種、貪欲な海賊、逆-体内取り込みの恐怖
アブジェクトな海賊と食人種
逆-体内取り込みという幻想
海賊を演じ、食人種となる
食人種を演じる
海賊を演じる
第四章 野生の最低段階へと落ちて──野人、怪物、獣性という汚れ
「先住民になってしまう」ことと島の伝染病
汚染する先住者
出たぞ、怪物が
植民者の両義性──野蛮な遊び、秩序の再興
第五章 島の物語のパロディとクルーソー茶番劇──内部からの抵抗
帝国への反抗と島の幻想物語のパロディ
カーニヴァレスクな島と茶番劇におけるジェンダーと人種
バルコニー席における伝統的ジェンダーの維持
ピーター・パンと白人男性の危機
人種の解体と植民地における他者
『ユートピア有限会社』と植民地主義的な模倣を笑うこと
第六章 アメリカ合州国という島の幻想──ギリガンとともに漂着して
アメリカ合州国というドルの帝国
コスモポリタンな島と脱領土化の恐怖
新たな漂着物語の心理学
謝 辞
原 註
島々と所有の物語──訳者あとがき
引用文献
索 引
序 章 島々と所有の物語
歴史的視野
身体としての島
なぜ島なのか?
「私の島」(I-Land)と精神分析
読者と再コード化
方法論
島の概観
第一章 睥睨するすべてのものの君主
所有を精神分析する
投影、すなわち眼によって土地(Eye-Land)をまなざすこと
名付けと地図製作
所有の儀式
島との同一化──自我としての皮膚
体内取り込みとしての読書──冒険物語、寝床話(ベッドタイム・ストーリーズ)、文化的訓練
第二章 規律の島──白人の父権、ホモソーシャルな男性性、そして掟
島の規律と良き植民者
島の女性たち
食物、飲料、セックス、石鹸──男らしい規律の実践
島における父権と男らしさの再生産
島の子どもたちと男らしさの再生産という幻想
男らしい島とホモソーシャルな絆
父の掟
悪しき父親たち、獣のような子どもたち
第三章 飢えた食人種、貪欲な海賊、逆-体内取り込みの恐怖
アブジェクトな海賊と食人種
逆-体内取り込みという幻想
海賊を演じ、食人種となる
食人種を演じる
海賊を演じる
第四章 野生の最低段階へと落ちて──野人、怪物、獣性という汚れ
「先住民になってしまう」ことと島の伝染病
汚染する先住者
出たぞ、怪物が
植民者の両義性──野蛮な遊び、秩序の再興
第五章 島の物語のパロディとクルーソー茶番劇──内部からの抵抗
帝国への反抗と島の幻想物語のパロディ
カーニヴァレスクな島と茶番劇におけるジェンダーと人種
バルコニー席における伝統的ジェンダーの維持
ピーター・パンと白人男性の危機
人種の解体と植民地における他者
『ユートピア有限会社』と植民地主義的な模倣を笑うこと
第六章 アメリカ合州国という島の幻想──ギリガンとともに漂着して
アメリカ合州国というドルの帝国
コスモポリタンな島と脱領土化の恐怖
新たな漂着物語の心理学
謝 辞
原 註
島々と所有の物語──訳者あとがき
引用文献
索 引
書評掲載
「図書新聞」(2020年9月19日号/中井亜佐子氏・評)に紹介されました。