叢書・ウニベルシタス 1191
家父長制以後

四六判 / 194ページ / 上製 / 価格 3,300円 (消費税 300円) 
ISBN978-4-588-01191-7 C1330 [2025年11月 刊行]

内容紹介

人類の歴史を長らく規定してきた伝統的な家父長制の社会構造が根本から揺らいでいる現代。経済・労働・家族・セクシュアリティのあらゆる条件が必然的に変化し、これまで正統とされてきた男性中心主義や異性愛中心主義の規範が不当なものとなった世界に生じる政治的・文化的葛藤を学問はどのように把握すべきか? フランスの気鋭の社会学者による現代文明のジェンダー編成分析。

著訳者プロフィール

エリック・マセ(マセ エリック)

エリック・マセ (Éric Macé)
1964年生。ボルドー大学社会学科教授、エミール・デュルケム・センター研究員。アラン・トゥレーヌの指導のもと1994年に社会学博士(EHESS)。新ソルボンヌ大学(パリ第3)で教員を務めたのち現職。専門はメディア文化、カルチュラル・スタディーズ、表象政治、フェミニズムやクイア理論などジェンダーをめぐる文化運動、人種差別・エスニシティ論、ポストコロニアリズム論。グローバル下の文化に見られる権力関係の変容を研究し、公共圏に関わる現代社会学の多様なプロジェクトの指導に携わっている。著書に『なぜ私なの? 差別の体験』(フランソワ・デュベらと共著、2013年)、『フェミニストたちとアラブの少年』(ナシラ・ゲニフと共著、2004年)、『社会以後』(2020年)ほか。

山下 雅之(ヤマシタ マサユキ)

山下 雅之(ヤマシタ マサユキ)
京都大学文学部哲学科社会学専攻卒業、京都大学大学院文学研究科博士課程(社会学)修了。パリ=ソルボンヌ大学(パリ第4)博士。京都大学文学部助手、近畿大学文芸学部教授を経て帝京大学教授。著書に『コントとデュルケームのあいだ』(木鐸社)、『フランスのマンガ』『タンタンのやさしくて不思議な冒険』(論創社)など。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序 論 ジェンダーの社会学

第1章 ジェンダー編成を考える

ジェンダーは一つの社会関係である

ジェンダー編成の歴史性と偶然性

第2章 近代性と衝突した伝統的家父長制

伝統的家父長制の論理

近代性の噴出

第3章 近代的家父長制とその内部諸矛盾

近代的家父長制の論理

近代的家父長制のさまざまな葛藤
 政治vs自然
 ジェンダーvs自然
 個人主義vs家父長制的家族

第4章 ポスト家父長制の諸条件とさまざまな緊張

権利上および事実上の諸条件

さまざまな社会的緊張
 逆説的な個人化──異なる、類似した、不平等な人々
 世界への関係の非対称性とさまざまな社会的な履歴
 社会的組織の非対称性
 性差別の有用性
 社会的平等に反する家庭内の非対称性

さまざまな主観的緊張
 ジェンダーと「うまくやる」──女性たちの二律背反と男性たちの曖昧さ
 日常的支配と病的な切断
 批判的な再意味づけ

ポスト家父長制の葛藤的性質

第5章 近代化された家父長制から混成的編成へ

近代化され再近代化された家父長制

混成的編成の葛藤性

結 論 ジェンダー編成の比較

訳者あとがき
文献一覧
人名索引

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