シリーズ・キーワードで読む中国古典 2
人ならぬもの
鬼・禽獣・石
四六判 / 262ページ / 上製 / 価格 2,860円 (消費税 260円)
ISBN978-4-588-10032-1 C1310 [2015年12月 刊行]
ISBN978-4-588-10032-1 C1310 [2015年12月 刊行]
人は人をどのようなものだと考えてきたか。人が行うこの自己規定は、裏を返せば「人ならぬもの」を規定することである。人ならぬものとは、人に及ばないもの、そして人を超えたものだ。人間世界を規定する条件を論じた第1巻に続き本巻は、鬼(=死者の霊)・禽獣(=動物)・石を手がかりに、幽霊の出没、聖獣の出現、人から動物への変身、子を産む石や食べられる石など不思議で多彩な物語とともに、人を超えた豊かな文化の営みを論じる。
廣瀬 玲子(ヒロセ レイコ)
専修大学文学部教授。専門は中国文学。主な著作・翻訳に「回復される均衡──元雑劇緋衣夢試論」(『東洋文化研究所紀要』第166冊、2014)、「おおわれた真実―元雑劇救孝子殺狗勧夫試論」(『専修人文論集』第91号、2012)、ジン・ワン『石の物語──中国の石伝説と『紅楼夢』『水滸伝』『西遊記』を読む』(法政大学出版局、2015)、アンヌ・チャン『中国思想史』(共訳、知泉書館、2010)など。
本間 次彦(ホンマ ツギヒコ)
明治大学政治経済学部/大学院教養デザイン研究科教授。専門は中国前近代思想。主な著作・翻訳に、『コスモロギア』(共著、法政大学出版局、2015)、『アジア学への誘い──国際地域の社会科学Ⅲ』(共著、明治大学政治経済学部創設百周年記念叢書刊行委員会、2008)、「再編と多様化、または、新たな主体の発明──王夫之研究の現状と課題」(『中国―社会と文化』24、2009)、B. A. エルマン『哲学から文献学へ──後期帝政中国における社会と知の変動』(共訳、知泉書館、2014)など。
土屋 昌明(ツチヤ マサアキ)
専修大学経済学部教授。専門は中国文学。主な著作・翻訳に、『神仙幻想──道教的生活』(春秋社、2002)、『目撃!文化大革命 映画「夜明けの国」を読み解く』(編著、太田出版、2008)、S. ブラン『北京1966──フランス女性が見た文化大革命』(共編訳、勉誠出版、2012)、『道教美術の可能性』(共編、勉誠出版、2010)など。
※上記内容は本書刊行時のものです。総説 (廣瀬玲子)
人ならぬものと文
1 文と鬼
2 文と禽獣
3 文と石
第一章 鬼について (廣瀬玲子)
1 鬼をまつる──『論語』
2 鬼は存在すると見なすほうがいい──『墨子』
3 鬼は存在しない──王充『論衡』
4 鬼に会った話──六朝時代の小説
5 死後の世界(一)──海上の冥界
6 死後の世界(二)──泰山
7 鬼神について──朱熹
8 冤罪を訴える鬼──元の戯曲「感天動地竇娥冤」
9 柩のなかへと人を引き込む鬼──明代小説『剪燈新話』より「牡丹燈記」
10 生き返る鬼──明の戯曲『牡丹亭還魂記』
11 近代の鬼──過渡性の隠喩
第二章 禽獣について (本間次彦)
1 禽獣とは何か(一)──張載・邵雍・程子
1 張載
2 邵雍
3 程子
2 禽獣とは何か(二)──朱子
3 禽獣とは何か(三)──戴震
4 聖人と禽獣(一)──禽獣の脅威と孔子
1 災害と暴君
2 「聖人の道」と孔子
3 禽獣への転落
4 孔子とは誰か
5 聖人と禽獣(二)──象徴としての鳳凰・麒麟・龍
1 孔子と鳳凰
2 孔子と麒麟と『春秋』
3 帝王と龍
6 韻文の中の禽獣
1 『詩経』
2 「上林賦」
3 「山居賦」
4 「鵩鳥賦」
7 散文の中の禽獣
1 『山海経』と鳳凰
2 『聊斎志異』と虎
8 殺生とユートピア
第三章 石について (土屋昌明)
1 啓母石
1 啓母石のいわれ
2 禹の神話
3 禹が熊になるのはなぜか
4 禹が石を蹴飛ばすのはなぜか
5 啓母石はなぜ嵩山にあるのか
6 石から生まれたのは誰か
7 塗山氏が石に化したのはなぜか
8 巨石と女性
2 黄石公
1 隕石の持つ意味
2 黄石公と張良の師弟関係
3 黄色い石の神秘化
4 黄石公と張良と道教
5 張道陵の神話と張良・黄石公
6 石が書いた本
3 太湖石と洞天
1 名山と洞窟
2 洞天の特徴
3 洞窟の内部
4 石は食べられる
5 地下でつながる洞天
6 洞天思想の由来
7 再び太湖石の穴へ
結語
余説
麒麟にみちびかれて──中国古典へのいざない (廣瀬玲子)
索引
人ならぬものと文
1 文と鬼
2 文と禽獣
3 文と石
第一章 鬼について (廣瀬玲子)
1 鬼をまつる──『論語』
2 鬼は存在すると見なすほうがいい──『墨子』
3 鬼は存在しない──王充『論衡』
4 鬼に会った話──六朝時代の小説
5 死後の世界(一)──海上の冥界
6 死後の世界(二)──泰山
7 鬼神について──朱熹
8 冤罪を訴える鬼──元の戯曲「感天動地竇娥冤」
9 柩のなかへと人を引き込む鬼──明代小説『剪燈新話』より「牡丹燈記」
10 生き返る鬼──明の戯曲『牡丹亭還魂記』
11 近代の鬼──過渡性の隠喩
第二章 禽獣について (本間次彦)
1 禽獣とは何か(一)──張載・邵雍・程子
1 張載
2 邵雍
3 程子
2 禽獣とは何か(二)──朱子
3 禽獣とは何か(三)──戴震
4 聖人と禽獣(一)──禽獣の脅威と孔子
1 災害と暴君
2 「聖人の道」と孔子
3 禽獣への転落
4 孔子とは誰か
5 聖人と禽獣(二)──象徴としての鳳凰・麒麟・龍
1 孔子と鳳凰
2 孔子と麒麟と『春秋』
3 帝王と龍
6 韻文の中の禽獣
1 『詩経』
2 「上林賦」
3 「山居賦」
4 「鵩鳥賦」
7 散文の中の禽獣
1 『山海経』と鳳凰
2 『聊斎志異』と虎
8 殺生とユートピア
第三章 石について (土屋昌明)
1 啓母石
1 啓母石のいわれ
2 禹の神話
3 禹が熊になるのはなぜか
4 禹が石を蹴飛ばすのはなぜか
5 啓母石はなぜ嵩山にあるのか
6 石から生まれたのは誰か
7 塗山氏が石に化したのはなぜか
8 巨石と女性
2 黄石公
1 隕石の持つ意味
2 黄石公と張良の師弟関係
3 黄色い石の神秘化
4 黄石公と張良と道教
5 張道陵の神話と張良・黄石公
6 石が書いた本
3 太湖石と洞天
1 名山と洞窟
2 洞天の特徴
3 洞窟の内部
4 石は食べられる
5 地下でつながる洞天
6 洞天思想の由来
7 再び太湖石の穴へ
結語
余説
麒麟にみちびかれて──中国古典へのいざない (廣瀬玲子)
索引
書評掲載
「東方」(2016年3月号)にて紹介されました。
「東方」(2016年8月号/宇野瑞木氏・評)に紹介されました。