叢書・ウニベルシタス 1157
魂を失った都
ウィーン1938年

四六判 / 540ページ / 上製 / 価格 5,500円 (消費税 500円) 
ISBN978-4-588-01157-3 C1322 [2023年08月 刊行]

内容紹介

19世紀末〜20世紀初頭、パリと並んで西洋の学芸の中心地であると同時に、反ユダヤ主義の温床ともなったウィーン。オーストリア国家を自殺に追いやり、絶滅収容所体制へと直結したナチスドイツによる「合邦」はなぜ、いかに仕組まれ、国民から歓呼で迎えられたのか。フロイトをはじめとする多数の思想家、芸術家そして政治家らの動向を詳細に跡づけ、この時代全体をパノラマで描ききった歴史ドラマ。

著訳者プロフィール

マンフレート・フリュッゲ(フリュッゲ マンフレート)

マンフレート・フリュッゲ(Manfred Flügge)
1946年、デンマークに生まれる。ミュンスター大学とリール大学でロマンス語・文学と歴史学を学ぶ。1976年から90年までベルリン自由大学で講師を務め、1981年に教授資格を取得。その後、ベルリンで作家活動を続ける。主な著作として、『楽園での意志に抗して サナリー・スュール・メールに亡命したドイツ人作家たち』(1996年)、『つむじ風』(1993年、みすず書房、1999年)、ハインリヒ・シュリーマン『トロイアへの道 ある神話愛好家の物語』(2001年)、『ハインリヒ・マン 伝記』(2006年)、『マルタ・フォイヒトヴァンガーの4つの人生 伝記』(2008年)、『ステファン・エセル 幸せな反逆者』(2012年)、『夢の国と避難所 フランスのハインリヒ・マン』(2013年)、『マン家の世紀』(2015年)、『儚い楽園 コート・ダジュールに亡命したドイツ人作家たち』(2019年)などがある。

浅野 洋(アサノ ヒロシ)

浅野 洋 1950年、千葉県に生まれる。慶応大学独文科卒。日本翻訳家協会事務局長・理事、埼玉女子短期大学名誉教授。オーストリア世紀末文学、ナチス時代の亡命文学を専攻。主な著書、訳書として、『異文化から学ぶ文章表現塾』『就活女子の文章表現塾』(以上、新水社、共著)、J. ゼルケ『ヨーロッパはプラハで死んだ』(新水社、日本翻訳出版文化賞受賞)、同『焚かれた詩人たち』(アルファベータ)、F. フンツエ一ダー『ネオナチと極右運動』(三一書房、共訳)、S. シュヌーアバイン『文化批判としての宗教』(恒星社厚生閣、共訳)、H. カンツィク『ヴァイマル共和国の宗教史と精神史』(御茶の水書房、共監訳)、アルバン・ベルク『ルル』(音楽の友社、共訳)、『マリア・カラス舞台写真集』(アルファベータ、共訳)などがある。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

1 合邦、追放、閉鎖

2 変わらないウィーン

3 ユダヤ人の不在

4 盗まれた共和国

5 魂の小説

6 フロイトの世界

7 フロイトという男とモーセの神話

8 ウィーンをめぐるヒトラーの嘘

9 冬季大会

10 命取りとなった春の夜

11 名前のない国

12 無慈悲に

13 名誉囚人シューシュニック

14 ウィーンのレクイエム

15 ドイツ的な変身

16 切断された履歴

17 トランジット

18 フロイト、 去る

19 ロンドンでのエピローグ

20 記憶の痕跡

謝辞
訳者あとがき
原注
参考文献
人名索引

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