G.アンダース(アンダース ギュンター)
(Günther Anders)
1902年ブレスラウに生まれる(本名はギュンター・シュテルン)。フッサールのもとで哲学を学び、学位取得後パリやベルリンで哲学にかんする論文を書くとともにジャーナリストとして評論活動を行なう。ハンナ・アーレントと結婚し、離婚。1933年パリへ、次いで1936年にアメリカ合衆国へ亡命し、さまざまな仕事につく。とくに工場労働者としての経験は、執筆活動の重要な契機となる。1945年以降、核に反対する活動を積極的に展開し、国際的反核運動の指導者となる。邦訳された著書に、『時代おくれの人間』上下、『世界なき人間:文学・美術論集』、『異端の思想』、『塔からの眺め』(いずれも青木隆嘉訳、法政大学出版局)、『われらはみな、アイヒマンの息子』(岩淵達治訳、晶文社)などがある。アムステルダム亡命文学賞、イタリア・レジスタンス賞、批評家賞、バイエルン美術アカデミー文学賞、オーストリア文化賞、ウィーン出版文化賞、フランクフルト市アドルノ賞などを受賞。1992年12月死去。
青木 隆嘉(アオキ タカヨシ)
1932年福岡県に生まれる。京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学(哲学専攻)。大阪女子大学名誉教授。著書:『ニーチェと政治』、『ニーチェを学ぶ人のために』、共著:『実践哲学の現在』(以上、世界思想社)、『過剰としてのプラクシス』(晃洋書房)ほか。訳書:アーレント『思索日記』Ⅰ・Ⅱ(レッシング・ドイツ連邦共和国翻訳賞受賞)、カネッティ『蠅の苦しみ:断想』、ブルーメンベルク『神話の変奏』、エリアス『モーツァルト』、『ドイツ人論』、シュトラウス『始まりの喪失』、エーベリング『マルティン・ハイデガー』、ピヒト『ニーチェ』、(以上、法政大学出版局)、クリステヴァ『ハンナ・アーレント講義:新しい世界のために』(論創社)ほか。2016年2月死去。
※上記内容は本書刊行時のものです。はしがき
Ⅰ 哀悼される未来
Ⅱ 激変
1 全能によって大国に
2 核による全体主義
3 政治的なものの終焉
4 われわれが全能なのは、われわれが無力だからである
Ⅲ 今日における責任について
Ⅳ 核による死は自殺ではない
Ⅴ 原子力時代の退廃──無風状態への警告
Ⅵ 原子力時代への提言
ヒロシマと化した世界
〈時の終わり〉を阻む最後の時代
政治動向が核兵器を生むのではない、実態はその逆である
核は兵器ではない、われわれの敵である
核の脅威は全体主義的である
誰にでも起こることは誰も免れられない
世代間の同盟
想像を絶する虚無
われわれは逆転したユートピアンである
「プロメテウス的落差」
「閾を超えるもの」
感性は考え方を歪め、空想こそ現実的である
創造的挫折
距離の移転
比較級の終焉
権限に訴えるのは倫理的無能の証である
「行為」の廃止
現代的虚偽の嘘八百な諸形態
物化でなく疑似人間化
疑似人間の信条
敵意の不気味な消滅
Ⅶ アポカリプス不感症の根源
1 拡散
2 生活水準
補遺 時間の本質についての追記
Ⅷ 矮小化──その手口
第一の手口──危険の分類を偽る
第二の手口──怖ろしいものを控えめに言う
第三の手口──厳かに語る
第四の手口──間違った比較をする
第五の手口──反対のものを持ちだして脅す
第六の手口──茶化す
第七の手口──無知につけ込む
Ⅸ ヒポクラテスの誓い──「生産スト」問題の検討
普遍的なヒポクラテスの誓いを立てる試み
生産ストライキ
実態は分からない(Non olet)
ストライキ反対論?──二面性
知ある無知(Docta ignorantia)
二面性のある製品
専門知識(know how)と結果に関する無知(not knowing how)
原罪(Peccatum originale)と汚れなき手
追記(一九七一年)
Ⅹ 途方もない事実
Ⅺ 猶予期間
われわれの形而上学的状態の変化──人類から絶滅危惧種へ
終末論的状況︱存在論にとっての好機
「核による自殺」という言い方は正しいか
保有=使用(Habere = adhibere)
そのときには一緒に皆くたばるわけだ
逆転の法則
寡頭制の法則──被害者が増えると加害者は減る
われわれが生きているのは時代ではなく猶予期間である
神の国なきアポカリプス
キリスト教における猶予期間の曖昧さ
終わりの終焉
キリスト教的なアポカリプスと核によるアポカリプスについての補説
キリスト教的なアポカリプスと核によるアポカリプスとの対比
訳者あとがき
書評掲載
「読売新聞」(2016年6月5日付/納富信留氏・評)にて紹介されました。
「朝日新聞」(2016年6月5日付/杉田敦氏・評)にて紹介されました。
「出版ニュース」(2016年7月中旬号)にて紹介されました。
「公明新聞」(2016年8月8日付)に紹介されました。
「図書新聞」(2016年8月27日号/佐藤嘉幸氏・評)にて紹介されました。
「BIOCITY 82号」(2020年4月6日発行/篠原雅武氏・評)にて紹介されました。