叢書・ウニベルシタス 1172
〈ベル・エポック〉の真実の歴史

四六判 / 360ページ / 上製 / 価格 4,400円 (消費税 400円) 
ISBN978-4-588-01172-6 C1322 [2024年09月 刊行]

内容紹介

哀惜とノスタルジーをもって回顧される〈美しい時代=ベル・エポック〉。1900年前後から第一次大戦勃発までの一時期、第三共和政フランスの産業社会が爛熟し、パリの芸術文化が黄金期を迎えた頃をさすこの概念はどのように生まれ、人々に共有されたのか。二つの大戦と占領の苦難を経て、大衆の想像力と集合的記憶のなかで古き良き過去が懐かしまれ、物語られ、再演・表象される歴史をたどった野心作。

著訳者プロフィール

ドミニク・カリファ(カリファ ドミニク)

ドミニク・カリファ(Dominique Kalifa)
1957年生まれ。1994年、パリ第7大学博士課程修了。パリ第7大学、レンヌ第2大学を経て、2002年、アラン・コルバンの後任としてパリ第一大学教授に就任。2015年、フランス大学学院の会員に選任。近代フランスの犯罪など社会史を専門とし、著書に『犯罪・捜査・メディア──19世紀フランスの治安と文化』(法政大学出版局、2016年)、『ビリビ──フランス軍の植民地徒刑場』(ペラン社、2009年)、『どん底──ある想像物の歴史』(スイユ社、2013年)などがある。本書でアカデミー・フランセーズ「ウジェーヌ・コラス賞」を受賞。2020年没。

寺本 敬子(テラモト ノリコ)

寺本 敬子(テラモト ノリコ)
成蹊大学文学部准教授。一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了、パリ第一大学(パンテオン・ソルボンヌ)歴史学科博士課程修了。専門はフランス近代史、日仏交流史。単著に『パリ万国博覧会とジャポニスムの誕生』(思文閣出版、2017年)、共著に『〈フランス革命〉を生きる』(刀水書房、2019年)、『万博学──万国博覧会という、世界を把握する方法』(思文閣出版、2020年)ほか。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

プロローグ 見出された時?

第一部 「一九〇〇年の時代」

世紀の境目
 一九〇〇年代に入る
 修復の年

逃げてゆく時

「ダンスしていたから、もう何も重要じゃなかった」

「一九〇〇年」の発明
 先駆者──アンドレ・ヴァルノー
 「ポール・モラン効果」
 「一九〇〇年」の流行
 小説的断絶

第二部 「あぁ、ベル・エポック!」

占領されたパリ、「ベル・エポック」のパリ?

解放されたパリ、「ベル・エポック」のパリ
 スクリーンの再来
 前衛の巻き返し

精彩を放つ「半世紀」
 「ムーラン・ルージュが蘇った」
 記憶の砕け波
 「再現」の映画
 歴史の分担
 時代の諸特徴

第三部 「世紀末」の試練

「ベル・エポック」はもはやかつてのそれではない
 音と映像
 ベル・エポックの殺害?
 逆 流

ベル・エポックのフランス全土
 「ベル・エポックのわが村」
 もしベル・エポックが私に語られたなら

大きく広がる「ベル・エポック」
 世界中に
 まるまる文化的なものからヴィンテージ時代へ

エピローグ 混ざり合う時間

謝 辞

訳者あとがき

資 料
『あぁ!美しい時代』1936年
『ベル・エポック!』1944年
「もし一九〇〇年が私に語られたなら」フランス帝国出版、1978–1988年
一九〇〇年代の回想録・手記
「ベル・エポック」を対象としたフランス映画(1943–1968年)
ベル・エポックのわが町

原 注

索 引

関連書籍

『犯罪・捜査・メディア』
ドミニク・カリファ:著