叢書・ウニベルシタス 176
真理と方法 II 〈新装版〉
哲学的解釈学の要綱
ISBN978-4-588-14018-1 C1310 [2015年06月 刊行]
H.-G.ガダマー(ガダマー ハンス ゲオルク)
(Hans-Georg Gadamer)
1900年マールブルク生まれの現代ドイツを代表する哲学者。マールブルク大学などで学び、1922年同大学でナートルプに師事し博士学位を、28年ハイデガーのもとで教授資格を取得。68年にハイデルベルク大学を退官するまで、マールブルク、ライプツィヒ、フランクフルト各大学の哲学教授を務め、占領下のライプツィヒ大学では学長の要職にあった。ハイデガー哲学の影響のもと、自身の古代哲学・近代哲学研究を生かし、主著『真理と方法』でロマン主義的・歴史主義的な解釈学を超える存在論的な“哲学的解釈学”を確立し現代思想界に多大な影響をあたえた。その後、精神科学論に限定されない世界経験論・言語論を展開し、またツェラーンなどの詩を解釈し、さらに適用論を実践哲学論として展開するなど、その解釈学を発展させ精錬した。「ガダマー著作集10巻」(J. C. B. Mohr)が刊行されている。邦訳書に、『真理と方法』『科学の時代における理性』『理論を讃えて』『詩と対話』『健康の神秘』『芸術の真理』『哲学の始まり』(以上、法政大学出版局)、『哲学・芸術・言語』『ヘーゲルの弁証法』『ガーダマー自伝──哲学修業時代』(以上、未來社)などがある。2002年3月ハイデルベルクにて死去。
轡田 収(クツワダ オサム)
1934年生まれ。1959年東京大学大学院修了。ドイツ文学専攻。慶応義塾大学、学習院大学教授を歴任、現在、学習院大学名誉教授。訳書:『挑発としての文学史』(岩波現代文庫)、イーザー『行為としての読書』(岩波モダンクラシックス)、プレッサー『書物の本』(法政大学出版局)、ハーバーマス『近代の哲学的ディスクルスⅡ』(共訳、岩波書店)ほか
巻田 悦郎(マキタ エツロウ)
1961年生まれ。1991年筑波大学大学院哲学・思想研究科修了。92-93年フンボルト財団奨励研究員(ハイデルベルク大学)。現在、東京理科大学准教授。編著:Gadamer-Bibliographie(P. Lang)。訳書:ドゥット編『ガーダマーとの対話──解釈学・美学・実践哲学』(未來社)、ガダマー『詩と対話』、『真理と方法Ⅱ』、『真理と方法Ⅲ』(以上、法政大学出版局)ほか。
※上記内容は本書刊行時のものです。第二部 真理への問いを精神科学における理解へと拡張する
第 I 章 歴史的準備
第1節 ロマン主義解釈学およびその歴史学への適用における問題点
a 啓蒙思想とロマン主義のあいだに起きた解釈学の本質変化
α ロマン主義解釈学の前史
β シュライアーマッハーの一般解釈学の構想
b 歴史学派のロマン主義解釈学へのつながり
α 普遍史の理想に対する困惑
β ランケの歴史学的世界観
γ G・J・ドロイゼンにおける歴史学方法論と解釈学の関係
第2節 ディルタイの陥った歴史主義のアポリア
a 歴史の認識論的問題から精神科学の解釈学的基礎づけへ
b ディルタイの歴史意識分析における科学と生の哲学との分裂
第3節 現象学的探究による認識論的問題設定の克服
a フッサールとヨルク伯における生の概念
b ハイデガーの解釈学的現象学の企て
第 II 章 《解釈学的経験の理論》の要綱
第1節 理解の歴史性を解釈学の原理に高める
a 解釈学的循環と先入見の問題
α ハイデガーによる理解の先行構造の発見
β 啓蒙思想による先入見の信用喪失
b 理解の条件としての先入見
α 権威と伝統の復権
β 古典性を例として
c 時代の隔たりの解釈学的意義
d 作用史の原理
第2節 解釈学の基本問題を取り戻す
a 適用という解釈学的問題
b アリストテレスの解釈学的アクチュアリティ
c 模範としての法解釈学の意義
第3節 作用史的意識の分析
a 反省哲学の限界
b 経験の概念と解釈学的経験の本質
c 問いの解釈学的優位
α プラトンの対話術という模範
β 問いと答えの論理
原注
訳注
訳者あとがき