武器を持たずに外国の侵略に抵抗し、国内の独裁体制を抑止・打倒することは可能か。国家ではなく市民ひとりひとりを主体とする非暴力抵抗運動により悪しき体制の権力の源泉を無力化し、軍事システムを超える武器なき防衛体制を実現するための道筋を示す。「アラブの春」においても大きな注目を集めた「非暴力の政治学」の先駆的研究者による、憲法第9条を考えるうえでも必須の書。
ジーン・シャープ(シャープ ジーン)
(Gene Sharp)
1928年生。マサチュセッツ大学名誉教授。オハイオ州立大学にて社会学の修士号、オクスフォード大学にて政治学の博士号を取得。サウスイースタンマサチュセッツ大学(現マサチュセッツ大学ダートマス校)政治学教授、ハーバード大学国際問題センター「紛争と防衛の非暴力的制裁」プログラム責任者をへて、非暴力闘争に関する研究・政策研究・教育に携わる非営利組織アルベルト・アインシュタイン研究所を設立し、現在も上級研究員として在籍。その著作は45を超える言語に翻訳されている。日本語訳に『武器なき民衆の抵抗』(小松茂夫訳、れんが書房新社)『独裁体制から民主主義へ』(瀧口範子訳、ちくま学芸文庫)他。
三石 善吉(ミツイシ ゼンキチ)
1937年生。筑波大学名誉教授、筑波学院大学名誉教授。71年東京大学大学院博士課程人文科学研究科単位取得満期退学、同大学助手をへて76年筑波大学社会科学系(政治学専攻)助教授、のち教授。98年東京家政学院筑波女子大学(現筑波学院大学)国際学部教授、2008年から筑波学院大学学長、2012年同大学学長任期満了退職。政治学専攻。著書に『中国の千年王国』(東京大学出版会)『伝統中国の内発的発展』(研文出版)『中国、一九〇〇年』(中公新書)『ポルシェの生涯』(グランプリ出版)『ナチス時代の国内亡命者とアルカディアー』(明石書店)『武器なき闘い「アラブの春」』(阿吽社)他、訳書にドーソン『ヨーロッパの中国文明観』(共訳、大修館書店)スペンス『中国を変えた西洋人顧問』(講談社)厳家其『首脳論』(共訳、学生社)他。
※上記内容は本書刊行時のものです。 序 文
第一章 戦争なき防衛?
防衛の必要性
市民力による防衛
歴史的原型
クーデターへの事前の準備なき闘争
ドイツ、一九二〇年
フランス、一九六一年
侵略への準備なき闘争
ドイツ、一九二三年
チェコスロヴァキア、一九六八~六九年
体系的発展のための基礎
第二章 権力の源泉を利用する
予想外の力量
他人頼みの支配者たち
権力の源泉を特定する
被統治者への依存性
抑圧では不十分
集団的抵抗の可能性
実行の必要条件
人々による抑制の構造的基盤
自由の構造的基盤
防衛の社会的起源
第三章 権力を行使する
非暴力の武器体系
非暴力行動の方法
非暴力的抗議と説得
非協力
非暴力介入
権力を行使する
戦略の重要性
〈遍在する権力核〉の重要性
敵方の諸問題
抑 圧
攻撃的な非暴力という規律
政治的柔術
変革の四つの仕組
回 心
妥 協
威 圧
崩 壊
威圧と崩壊とに影響を与える要因
権力の源泉を取り去る
権 威
人的資源
技術と知識
無形の要素
物的資源
制 裁
失敗あるいは成功?
闘争集団内部の変化
独裁制にも抵抗して
第四章 市民力による防衛
新しい防衛政策を発展させる
国土への侵略あるいは集団殺害
攻撃者による目標と成功との予測
〈市民力による防衛〉による抑止
〈市民力による防衛〉の戦闘能力
正統性と自治能力とを堅持すること
防衛戦略を選びとる
攻撃者の暴力に抵抗する
初期段階における二つの戦略
伝達と警告の戦略
「非暴力電撃戦」戦略
防衛闘争遂行のための戦略
総力的非協力
選択的抵抗
〈市民力による防衛〉への国際的支援
成功と失敗
第五章 「超軍備」に向けて
事前の準備なき非暴力闘争と〈市民力による防衛〉
〈市民力による防衛〉を行う動機
根源的な変革が〈市民力による防衛〉には不可欠の前提条件であるのか?
「人間本性」の変革が必要なのか?
国際システムの変革が?
社会制度の変革が?
超党派主義的方法による〈市民力による防衛〉政策の考察
超軍備の過程
政策検討と超軍備のモデル
〈市民力による防衛〉の全面的で急速な採択
特殊な目的のために市民力構成要素を付加すること
段階的全面的超軍備のための計画を立てる
多国間超軍備
〈市民力による防衛〉と超大国
〈市民力による防衛〉政策の潜在的利点
この選択肢のさらなる考察
注
訳者あとがき
人名索引
事項索引
第一章 戦争なき防衛?
防衛の必要性
市民力による防衛
歴史的原型
クーデターへの事前の準備なき闘争
ドイツ、一九二〇年
フランス、一九六一年
侵略への準備なき闘争
ドイツ、一九二三年
チェコスロヴァキア、一九六八~六九年
体系的発展のための基礎
第二章 権力の源泉を利用する
予想外の力量
他人頼みの支配者たち
権力の源泉を特定する
被統治者への依存性
抑圧では不十分
集団的抵抗の可能性
実行の必要条件
人々による抑制の構造的基盤
自由の構造的基盤
防衛の社会的起源
第三章 権力を行使する
非暴力の武器体系
非暴力行動の方法
非暴力的抗議と説得
非協力
非暴力介入
権力を行使する
戦略の重要性
〈遍在する権力核〉の重要性
敵方の諸問題
抑 圧
攻撃的な非暴力という規律
政治的柔術
変革の四つの仕組
回 心
妥 協
威 圧
崩 壊
威圧と崩壊とに影響を与える要因
権力の源泉を取り去る
権 威
人的資源
技術と知識
無形の要素
物的資源
制 裁
失敗あるいは成功?
闘争集団内部の変化
独裁制にも抵抗して
第四章 市民力による防衛
新しい防衛政策を発展させる
国土への侵略あるいは集団殺害
攻撃者による目標と成功との予測
〈市民力による防衛〉による抑止
〈市民力による防衛〉の戦闘能力
正統性と自治能力とを堅持すること
防衛戦略を選びとる
攻撃者の暴力に抵抗する
初期段階における二つの戦略
伝達と警告の戦略
「非暴力電撃戦」戦略
防衛闘争遂行のための戦略
総力的非協力
選択的抵抗
〈市民力による防衛〉への国際的支援
成功と失敗
第五章 「超軍備」に向けて
事前の準備なき非暴力闘争と〈市民力による防衛〉
〈市民力による防衛〉を行う動機
根源的な変革が〈市民力による防衛〉には不可欠の前提条件であるのか?
「人間本性」の変革が必要なのか?
国際システムの変革が?
社会制度の変革が?
超党派主義的方法による〈市民力による防衛〉政策の考察
超軍備の過程
政策検討と超軍備のモデル
〈市民力による防衛〉の全面的で急速な採択
特殊な目的のために市民力構成要素を付加すること
段階的全面的超軍備のための計画を立てる
多国間超軍備
〈市民力による防衛〉と超大国
〈市民力による防衛〉政策の潜在的利点
この選択肢のさらなる考察
注
訳者あとがき
人名索引
事項索引
書評掲載
「出版ニュース」(2016年9月中旬号)にて紹介されました。